恋愛簿1
……荊。君は、志乃の命の代わりとして生まれたんだね。
君は病気になり、その役目を解かれた。今度は、身の危険の大きい任務。
……閉鎖的な環境で育ち、信じられるものは無い。
それでも、その目は……生きることへの執着に向けられていた。
志乃にない鋭い視線。間違えるはずがない。
慧の手に入れた情報で、裏風紀会の招集がかかる。
「結南の会計をしていた人物が行方不明。横領の罪を被っている。すぐに学園関連の警察に協力を要請!」
「捜せ、絶対に見つけろ!」
「各機関、気を引き締めろ!死体が見つかるまでは奴は、しばらく動かない。」
表として参加している俺は暇だ。
敬一は、本当は知っているのかも。俺が裏の情報屋Kだと。
「ケイ。教室に戻るぞ?」
敬一の記録。
須藤 敬一。
私立冬北高等学校一年A組。
表の風紀委員会長。
家族は、父・敬一・妹の瑠衣。
瑠衣は、私立結南学園 中等部3年。
血の繋がらない妹。
母親の親友の子。体の弱い母親の、強い願いで引き取った。
「……大切な妹だよ。ずっと守ると約束したんだ。幸せなら良い。」
「敬一、言いにくいんだけど……彼氏は良くない噂だ。」
「あぁ。……見張りをつけている。」
「買収の話が出てる。いつ崩れるか分からない。」
「まずいな。墨、いるか?」
噂で聞いた須藤家の影。
「最初から、お前に頼めばよかった。聞いていた通りだ、行ってくれ。」
敬一の影……母親は、前代の裏の情報屋だったと聞いた。
「ありがとう。」
「いや。偶然入った情報だ。」
言わなくても、墨が報告していたのかもしれない。いや……
俺は、友達として……出来るだけのことをしたい。
「はぁ。……何故、急に付き合いだしたのかな。」
それは、お前の心を惹くためだ。
「一応、釘をさしてあげろよ?」
彼女は、それを望んでいる。
待っているんだ。気持ちを伝えるタイミングを。
「感情的になりそうだよ。」
珍しい敬一の弱った姿。
だから俺の情報を疑ったりしない。
そのまま流れにのって、幸せを得て欲しい。




