・・
体育館。
部活の時間帯。
「凌子、捜査してるんでしょ?ね、『髪切り』いつ解決するの?」
バレー部のクラスメートに声をかけられ。
「離れていいぞ、大切な情報源だ。荊は、ここにいて。会話が終わったら、二人で倉庫の中に。俺は先に中で調べるから。」
励治は真剣な表情で指示を出し。淡々と捜査。
「か……っこいい。誰?凌子の彼……いや、武がいたか。」
武と一緒にいることが多いので、みんなが誤解している。
「武とは、つきあっていないよ。それに、あの人は刑事。事件の捜査だからね。」
思わず説明調。
まだ、武とは付き合っていない。付き合えるのか……
「なぁ~んだ。で、どこまで捜査進んでるの?」
「警察が絡んでいるから言えないよ~。捜査に協力を、お願いします。」
断っても、問題のない程度に。
前回、話しかけられていたら返事に困っていたかもしれないな。
「いいよ、分かることなら答えるね。」
「最近、髪の長い子がショートにしてるけど、その中に武を好きな子っているかな?」
私の質問に、彼女はニヤリ。
何を勘違いしたのかな。あえて聞かず。
「いるわよぉ~。まず、橘川 茉莉香。最近、体調が悪くて休んでいるけどね。それと、『髪切り』の被害にあった氷上 美鶴。後はライバルにはならないから、安心して?」
安心とは。
思わず笑ってしまう。しかし、思った以上にモテるのね。
「一応、捜査の為!他の人の名前を、分かるだけ教えて下さい。」
荊が間に入り、詳しく聞いてくれた。
荊、それは本当に捜査だからかな?目の輝きが、いつもと違うような。
「ね、テスト期間中に体育館に入るとしたら目立つかな?」
「そうね、生徒会の目には付くと思うよ。」
生徒会?不思議そうにしていると。
彼女は体育館の入り口に歩いて行き、指さして。
「ここ、あそこが生徒会室だから丸見えなの。前に、ふざけていた子が……~」
また生徒会?
確かに、入り口から生徒会室が見える。
「あぁ……武は、ここで?なるほど。」
後に、勘の良い情報通な彼女は、荊が推薦して情報屋になった。
情報を得て会話を終え、体育館倉庫に入る。
中にいるのは、後ろ向きの励治。武も、こんな風に後ろを向いていたのだろうか。
私は何だか怖くなって、励治に話しかけた。
「励治、武を殴った武器って……」
「見つかってないよ。」
振り返った励治の顔を見て、少し安心した。
「『髪切り』の共通点を、もう一度考えたほうが良いのかもしれません。」
複数人の女生徒情報を得た荊。
言っていることは正しいので。目の輝きには、あえて触れず。
しかし謎が多すぎる。
【携帯のコール音】励治の携帯。
「はい。……分かりました、今すぐに。」
仕事場から。
働いている大人。私達とは別の世界にいるような壁。
「凌子、別件が入ったから戻る。報告や、疑問等まとめておいて。無茶はするなよ?荊、後は頼む!」
慌てながらも、励治は私の心配をする。
それが、どうしても素直に受け取れず。走っていく後ろ姿を見つめ。
「荊、鍵を返しに行こう。警備事務室で、会議よ!」
気持ちを切り替えなきゃ。
その日、別の事件が起きようとしていた。
謎は深まるばかり……
事件に追われ、忘れていたけれど。
学園は、文化祭の準備が進められていた。
その準備中。
屋上で一人の男の子が、頭を殴られ病院に運ばれた。武と同様だった。
蒼井 秀一。高等部二年、成績順位3位。
あれ?蒼井って、生徒会長と同じ苗字?まさか、また生徒会と関係が?
「現場に、【花冠】が落ちていたそうです。」




