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A【学園シリーズ】情報屋Kの恋愛簿  作者: 邑 紫貴
花冠の伝説

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27/81

・・


緋……。学園内の長。その人の推薦で私は、表の警備になった。

それが励治だったなんて……


励治は、もっと前に私と会っている。

いつ?推薦の前……記憶にないけれど、傷ついた表情をどこかで見た気がする。


ううん、今は捜査が優先。

学園は『髪切り』事件で、不安や恐怖で騒めき混乱状態。早く解決しないと。


「荊、Kから情報は得ているな?関連する人物や、状況の説明を。」


励治の見た事のない一面。これが役員を統率する人。


「はい。『髪切り』の被害者は、同じくらいの長さです。……あの。」


報告の途中、荊は口を閉ざす。


「続けろ。」


「はい!その長さは、凌子さんと同じくらいです。」


嫌な予感。


「凌子、命令だ。」

「嫌!」


励治が何を言いたいのか分かる。


「絶対!ぜぇ~~っ……たいに、髪は切らない!」


励治を睨む。


沈黙。

何か言いたげで。一度口を開いたけれどあきらめたのか、ため息。


「この件は、後だ。続きを、荊……報告して。」


荊も緊張している。

少し口調が和らいだように感じるけれど、励治の存在感が特別に思えて。


励治はひい。でも今の学園の長は、緋ではなく……ひい。女性だ。

励治が、過去にその立場だったとしても。私を推薦した人物でも、今の学園に係わる権力はない。

Kが言いたかったのは、多分そのこと……。


励治は何故、学園にこだわるの?私を護ろうとするのは……。

優先は任務、分かっているけど感情が追い付かない。


「武さんの事件後、『髪切り』が続きました。武さんの目撃した人物と髪の長さが近いことからも、二つの事件が関連していると考えたほうが、良いと思います。後……後任の生徒会の動きや校長の動きにも、注意が喚起されています。特に、生徒会長の情報が少ないのが気になるとの事。」


生徒会長?

Kの情報が少ないって、余程の事だ。


「分かった。今から、もう一度現場に向かう。鍵のある職員室から、犯人になったつもりで行動してみよう。気がついたことは二人ともメモして。今から良いと言うまで、言葉は出すな。いいか?」


「はい。」

「はい!」


励治はまるで……いや、刑事だった。


捜査の開始。遊びではない。

自分の身は、自分で護る。一つの条件が、自分の身を危うくしているから。


私の我儘。

だけど髪だけは嫌だ。



職員室。

3人同時に入る。

事前に捜査が周知されていたのか、先生方に戸惑いなどなかった。


前は気づかなかったかけれど。鍵の場所は、思ったより死角になっている。

3人がいて窮屈でもなく。先生達の様子をうかがう事は出来る。先生方からも見えないことはない。

テスト前で事件など起きる前なら、先生方が注視することもないだろうし。


警備の一人から、生徒会に提案をしたはず。

鍵の管理に改善の動きがない。あの野郎ぉ~~。


私達は静かに鍵を持ち出し、現場に移動する。

廊下、階段、また廊下を通り、体育館へ。


普段なら、ここで誰かに見つかっても違和感も疑問も無いだろう。

あの日は部活動もないテスト期間中。通る人がいただろうか。




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