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緋……。学園内の長。その人の推薦で私は、表の警備になった。
それが励治だったなんて……
励治は、もっと前に私と会っている。
いつ?推薦の前……記憶にないけれど、傷ついた表情をどこかで見た気がする。
ううん、今は捜査が優先。
学園は『髪切り』事件で、不安や恐怖で騒めき混乱状態。早く解決しないと。
「荊、Kから情報は得ているな?関連する人物や、状況の説明を。」
励治の見た事のない一面。これが役員を統率する人。
「はい。『髪切り』の被害者は、同じくらいの長さです。……あの。」
報告の途中、荊は口を閉ざす。
「続けろ。」
「はい!その長さは、凌子さんと同じくらいです。」
嫌な予感。
「凌子、命令だ。」
「嫌!」
励治が何を言いたいのか分かる。
「絶対!ぜぇ~~っ……たいに、髪は切らない!」
励治を睨む。
沈黙。
何か言いたげで。一度口を開いたけれどあきらめたのか、ため息。
「この件は、後だ。続きを、荊……報告して。」
荊も緊張している。
少し口調が和らいだように感じるけれど、励治の存在感が特別に思えて。
励治は緋。でも今の学園の長は、緋ではなく……妃。女性だ。
励治が、過去にその立場だったとしても。私を推薦した人物でも、今の学園に係わる権力はない。
Kが言いたかったのは、多分そのこと……。
励治は何故、学園にこだわるの?私を護ろうとするのは……。
優先は任務、分かっているけど感情が追い付かない。
「武さんの事件後、『髪切り』が続きました。武さんの目撃した人物と髪の長さが近いことからも、二つの事件が関連していると考えたほうが、良いと思います。後……後任の生徒会の動きや校長の動きにも、注意が喚起されています。特に、生徒会長の情報が少ないのが気になるとの事。」
生徒会長?
Kの情報が少ないって、余程の事だ。
「分かった。今から、もう一度現場に向かう。鍵のある職員室から、犯人になったつもりで行動してみよう。気がついたことは二人ともメモして。今から良いと言うまで、言葉は出すな。いいか?」
「はい。」
「はい!」
励治はまるで……いや、刑事だった。
捜査の開始。遊びではない。
自分の身は、自分で護る。一つの条件が、自分の身を危うくしているから。
私の我儘。
だけど髪だけは嫌だ。
職員室。
3人同時に入る。
事前に捜査が周知されていたのか、先生方に戸惑いなどなかった。
前は気づかなかったかけれど。鍵の場所は、思ったより死角になっている。
3人がいて窮屈でもなく。先生達の様子をうかがう事は出来る。先生方からも見えないことはない。
テスト前で事件など起きる前なら、先生方が注視することもないだろうし。
警備の一人から、生徒会に提案をしたはず。
鍵の管理に改善の動きがない。あの野郎ぉ~~。
私達は静かに鍵を持ち出し、現場に移動する。
廊下、階段、また廊下を通り、体育館へ。
普段なら、ここで誰かに見つかっても違和感も疑問も無いだろう。
あの日は部活動もないテスト期間中。通る人がいただろうか。




