表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
A【学園シリーズ】情報屋Kの恋愛簿  作者: 邑 紫貴
花冠の伝説

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/81

・・


夜、また長い髪の女の子が髪切りの被害に遭った。


後日、警察の捜査や検査などを終え、学校の登校も可能になった頃。

表の警備として、私は被害に遭った子から話を聞くことにした。


警備事務室。


「どうぞ、座って。」


氷上ひかみ 美鶴みづる。高等部一年生。綺麗な顔立ち。

切られた髪は、整えられてショートになっている。


「警察に、聞かれたことで良いんですか?」


「同じこと聴いて悪いけど、学園の指示だから。」


嘘は吐いていない。

表と裏に与えられた学園からの役員権限。


「その日はテストが終わったら行く約束だった買い物に、友達と行ったんです。遅い時間になってしまって。近道で公園を通ったら、被害に遭いました。いつもは、その道は使いません。最近通った記憶は3・4ヶ月前です。犯人は見ていません。後ろから、いきなり髪を引っ張られてバッサリ……。信じられなくてパニックになりました。警察に言ったのは、これぐらいです。」


冷静な口調。吹っ切れたわけでもないけれど、どこか安定しているような表情。

彼女の荷物に、可愛いラッピングの紙袋が目に入る。


「……それは何?」


指さした物に視線を向け。


「あぁ、【花冠】ですよ。」


雰囲気が和らぎ。顔を赤く染めながら。


「ごめん。その……【花冠】って、何?」


氷上さんは、知らない私が信じられないという表情。


「【花冠】の伝説を知らないんですか?警備以前に、女の子として常識です!自分で調べたほうが良いですよ、今後の為にも。」


今後?そんなに知らないって、駄目ですか?

何故か警備の私が怒られてしまった。


聴取も終わり。

氷上さんが部屋を出て、手帳を開く。


聴いた情報を記録する。

目の前で記録すると、同じ人から次の情報を得られないことがあった。

自分が疑われているという印象を受ける人もいるし。


警備事務室の静かな時間。

武に対する暴行・髪切り事件が未解決のまま。

学園の平穏を守るため、警備の人員は出払っている。


【花冠】か、少し気になるな。女の子として常識らしいからね。

でもその前に。体育館の鍵を手に入れやすい人を捜さないと。



職員室に到着。


鍵の保管庫と鍵の持ち出し票。体育館倉庫の鍵を、貸し戻した日付を確認する。

私の名前から、誰かが記入した形跡は無い。

鍵は誰でも持ち出せるような管理システム。職員室の端。

当日はテスト期間。該当の記入はない。

いつから鍵を持っていたのか。どうやって戻したのか。


管理システムは改善が必要。

生徒会に提案しないと。そもそも生徒会が機能しているのか怪しい。

試すために警備の一人に指示を出し、鍵の管理について生徒会に提案して様子を見ることにした。


連続の髪切り事件に対して学園からは、遅い時間の外出を控えるように注意喚起があった。

今回も結南の生徒だったけれど。



「……さ~ん。凌子さぁ~ん!」


遠くから呼ぶ、久しぶりの声。近づいてくる姿。


「荊!」


裏の警備隊。安西あんざい いばら

私立結南ゆひみなみ学園の中等部3年生。


「ただいま!」

【ムニ……】


私の腕に抱きついた荊。弾力を感じた腕。

あれ?違和感。


荊は私の腕から離れ、正面で微笑む。


「凌子さん?」


私は荊の両胸に、手を当てた。

荊は一瞬、思考が止まったようだ。


「……りょ、凌子さん?」


最近、事件に巻き込まれて。

落ち着くまで海外にいた荊。


「胸が大きくなってるのは、どうして?」


思わず問う私。

これが成長期……


荊は意外だったのだろう。私の質問に赤面。

あぁ、色々な事が落ち着いて。きっと荊の成長を促したのだろうか。

うらやましいとさえ思う。そこまでの道のりも、苦労も知らず。


「Kと、上手くいったのね?」


荊は更に真っ赤になって、うなずいた。

良かった。安心した。二人の気持ちが通じたんだ。

裏の情報屋K……武知たけち めぐむ。姉妹校の冬北高等学校1年生。


「そっかぁ。そうだよね~。私に会いに来たのは後回しなのね?ふふ……。許してあげるよぉ。詳しく、オネエさんに教えてごらん。」


恥ずかしがる荊にセクハラ。いや、パワハラか。

幸せそうに、Kとのことを話してくれる素直な荊。


彼女は私の補佐として、一緒に前校長の事件を捜査した。

それはKの優しさだった。荊を、とても大切に思い。私に護って欲しいと依頼したのだ。

Kは優しい。そっかぁ。あのKがねぇ。手を出しちゃったのかぁ……むふふ。

高い情報料も何回か無かったことにできるかしら……くくく……Kの弱みを握ったぜ。


「恵ね、凌子さんにバレるだろうって。情報は3つまでタダにしますって、言っていました。」


そんなに甘くはなかった。Kめ先手を打つとは……。

荊の胸が大きくなったこと認めているんだな、うんうん。

あれ?何か、私が悪者みたいになってない?口止めとか。


「ふう……荊、Kに言っといてくれる?幸せなら良いって。」


荊は嬉しそうに笑う。


「でも、約束の情報3つは貰うね!」


Kの情報が一番速くて正確だから。


「そうだ、荊。【花冠】の伝説って、知ってる?」


荊も、知らない私が信じられないという顔。


「凌子さん、女の子の常識ですよ?この結南学園にいるなら。」


みんなが知っているのか。ちょっと悔しい。

けれど私は情報屋ではないし。


「教えてよ。あ、これはカウントしないでね?情報は荊からだから!」


荊は明るく笑っている。

前に感じた荊の表情を曇らせるようなものが、今はないのだと悟る……




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ