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学園シリーズ3作品  作者: 邑 紫貴
情報屋Kの恋愛簿
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裏風紀


1階廊下にて友人、須藤すどう 敬一きょういちに話しかけられる。


「……ケイ、5組の奴が捜していたぞ?」


「あぁ、さっき会ったけれど。またKと間違えられただけだ。」


窓の外。

木陰にいる人物を見つける。


「どうした?」


「いや、教室に忘れ物をしたみだいだ。先に行ってくれ。」


昨日、情報を渡せなかったから。

嫌でも来るはすだ。


見つけた木陰に走り寄り。


「昨日は、ごめん。」


「何の事?……それより情報!」


茨は情報を暗記し、俺と視線を合わそうとしない。


「学園に私の情報なんて、あったのね。」


遠い目で空を見た。

涙が流れないように、我慢している。


「意図的に消された、情報のカケラだ。……しの。大柳おおやなぎ 志乃しのは、俺の幼馴染。ずっと、幼い頃から好きだった。彼氏は、俺の親友。二人はとても大事な存在で、幸せになって欲しい。告白なんて出来なかった。」


荊は、彼女の名前を聞いても反応しなかった。

これだけ似ているんだ、関係があってもおかしくない。


「……ふん。こんなことで、昨日のことを無しに出来るとでも?」


「……ふっ、厳しいね。」


少し機嫌が良くなったのは、気のせいではないかな。


「K……あなた、名前は?」


武知たけち めぐむ


「じゃ、メグ……またね。これからも情報よろしく!!」


メグ……久々に呼ばれたな。今でも、志乃だけが呼んでいる。

小学生の時。漢字を学んで、みんながケイと呼ぶようになった。それからずっと。

最近、みんながケイと言うのが普通だったから、忘れていたな。

……いや。無意識に、誰からも『メグ』と呼ばれたくなかったのかもしれない。


だから、情報屋のコードはKなんだ。

未練だらけだな。



今回の情報は、私立結南ゆひみなみ学園。中等部・高等部の校長。汚職の噂。

危険度は高い。


「ケイ?お前も、サボりなの?」


「も?て、夏……」


光田みつだ 夏希なつき

もう1人の友達。


「大丈夫。保健室に、行ったことになってるから。」


「あぁ……。俺は授業出るよ。間に合うルートを、知ってるんだ。」


「じゃ、昼に!」


裏風紀の任務。

背の低い彼は、今成長中。156センチ。みんなに可愛がられてる。

性格は、本当にいいが、1人に対しては違う一面を持っている。

まだ隠しているので、彼女は苦労するだろう。


「ケイ君。夏希くんは?」


「あぁ。保健室らしいよ。」


ね、真庭まにわ 優香里ゆかり


「……?」


「どうしたの?」


「いいえ。ちょっと、寒気が……?」



敬一も、任務だと知っている。


「……またか?」


「あぁ。」


夏は、学園の裏の風紀。

敬一は、表の風紀。


「この冬北ひゆきたでも大変なのに。」


「結南の件か?」


「……あぁ。昼休み、夏も例の部屋に呼んでいる。」


学園が用意した一部の人間しか知らない特別な部屋。

俺は、表の情報屋として参加していた。


裏の事は、命に係わるから教えていない。


「敬一、妹は大丈夫なのか?」


「……彼氏が出来た。」


「知ってる。」


須藤すどう 瑠衣るい。敬一の妹。血のつながりは無い。

それを妹が知っているとは、まだ敬一が知らない。どうして付き合い始めたのかも。


「いくら仲良くしていても……離れなければいけない時が来る。」


本当は、想いは通じているのに。

情報は濫りに出せない。



「裏風紀会の前に、内通者について報告する!」


表風紀会長、敬一。


「一名。結南に出入りしていたのを捕らえた。裏の警備からの報告に、裏の風紀が確認。現在、調査班が取調べ中。結南の活動が活発化。厳重な注意をして欲しい。」


裏風紀会長、夏。

任務は、この件だった。


裏の警備、荊に情報を渡したのがK。俺だ。

彼女の初仕事が順調で安心した。




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