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A【学園シリーズ】情報屋Kの恋愛簿  作者: 邑 紫貴
情報屋Kの恋愛簿

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奇跡のモノ


「生命工学、科学的探究心だった。金が無く、諦めかけていた。……最初は、命を生み出すなんて……考えていなかった。もちろん倫理的な問題。試験管ベービ-と同じ。いずれ、こんなことが普通の時代も来る。そう自分に言い聞かせた。奇跡のモノに……自分が狂う。普通ではいられなかった。まさか成功するなんて。……奇跡だった。異常な死亡率がクローンの最大の課題。新生児の体細胞からなんて無理がある。しかし金銭的な援助してくれた麻生グループには逆らえなかった。信じられない確率。奇跡が起きる。一人目の後は数年間、研究に追われた。今度は、2人同時。失敗は無かった。俺の手が造った命。誰かの犠牲。怖くなった。俺は何に裁かれる?神の裁きが俺に降りかかるだろう。逃げたが……逃げきれるわけが無い。正気を取り戻したのは五年前。1号が、事故で……本体の為に死んだと、聞いてから。そして二年前。2号の本体が亡くなって急速に、後始末に追われた。常に麻生グループの配下。今回、捕まったということは。それだけ大きな組織が動いている。奴等の狙いはクローン人間の公表と、裏での臓器密売。……麻生グループの考えと、どれほどの差があるだろう。いつか君たちと会うことを決意していた。……こんな形になるとは。荊、名を貰ったのか。……これから、すべてを話す。いいか、俺の命は。ここで消えた方が良い。覚えておいてくれ。裁かれる、俺のことを……。」


決意の見える目。覚悟の上。

すべての話が終わり、気になっていたことを聞いた。


「博士、命を絶つ方法を……お持ちですね?」


「あぁ、時が来たら。君たちの安全が確保されたら消えるよ。」


……死をもって封じる。

志乃はまだ知らない。それなら。


「博士、私も……共に消えます。どちらか一方になれば、この話は隠せるのでは?」


「……覚悟が?」



突然。

警告音が鳴り響く。


「……何、火事?」


寝ていた志乃が起きる。

この音では起きてしまうのは仕方ない。


「何だ……?」


博士も、異常な状態に戸惑う。


私は確信する。

メグだ。


鍵の開く音と、扉の開く音。


「出ろ!場所を移す!……早く来い!!」


男が志乃の手を取ろうとした。


【ガッ】

男の背後から、首の辺りに何かが当たった。

衝撃で志乃に倒れ掛かる巨体。それを素早い動きで回し蹴り。


「……メグ!!」


……え?今、メグって……言った?よね。

無意識で、同じ呼び方をしていたなんて。


「志乃、この人に付いて行け!」


メグは一緒に来ていた人の方に向いて、志乃に指示を出す。


「博士も一緒に!」


緊急事態なのに。思考が停止している。


「荊、無事か?」


返事が出来ない。

メグの目を見ることもできない。


「……荊?どこか怪我でもしたのか。」


心配してくれるメグに、数人が襲い掛かる。

私が邪魔してしまった。


メグは私を抱き寄せ。庇いながら。

長い棒を振り回し、次々に倒していく。


さらに気配を察し、攻撃を続け。棒が邪魔になると放り投げ。

私を背に回して、少林寺拳法。


強くて、ただ護られる。

メグは盾のように…………






由side。その日は緊張していた。恵君……情報屋Kから奇襲があると伝えられ。こちらに分散されて手薄になる敵地に、恵君は荊を救出に行く。私のそばには夏希くんがいるけれど。彼に何度も、危険だから止めて欲しいとお願いした。それなのに譲らない。「命に換えても護る。」誰かの代わりでしかなかった私。危機が迫って、命も危ないというのに。隣で微笑む。「夏希くん。私は」いない存在だ。前なら簡単に言えた。もう言えない。言いたくない。そして時は来る。20人ほどの怪しい、体のがっしりしたプロの人たち。「逃げて、お願い!……夏希くんに何かあったら……」私を護るため。敬一君と、墨さんが加勢する。立ち尽くす私が見たのは、圧倒的な強さの夏希くん。敬一君は、剣道。墨さんは長刀。あっという間の出来事。警察が集まり、捕らえていく。「由、無事か?」「うん。」私の存在意義。それは…………

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