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A【学園シリーズ】情報屋Kの恋愛簿  作者: 邑 紫貴
情報屋Kの恋愛簿

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15/81

モノの価値

side恵。



裏庭。人気のない時間帯。

野茨からの接触。


慧に存在を知られ、わだかまりがなくなったとは言えないけれど。

行動範囲が広がって、野茨も荊を守りやすくなったようで。

俺としても、情報のやり取りがスムーズで良いことなのだけれど。

慧の気持ちは、まだ穏やかではない様子。


あえて、お互いに触れず。


ゆう……。彼が付けたのね、いい名前だわ。荊は、私が名付けた。……名が無いなんて、どれほど悲しい存在なのかと。」


「野茨。荊は由と話をした後、何か言っていたか?」


あれから数日、会っていない。会いにいけるような状況でもなく。

ただ心配して、日々が過ぎてしまった。


「そうね、少し……落ち込んでいるかしら。」


驚くよな……俺も情報を知って、戸惑った。

由が、優香里のクローンだったなんて。



「K!荊が連れ去られた!」


野茨がいるから、慧を外していた。

気になっていたのもあって、荊の様子を見に行ってもらっていたのだ。


「どういうことだ、慧。」


「荊が!」


動転した野茨が、行き先も分からないのに背を向けた。

慌てて手を捕る。


「野茨、待て!慧からの情報を聞いて。落ち着くんだ。」


自分にも言い聞かせていた。

野茨は息を吐き、頷く。


「慧、報告を。」


慧は野茨の様子を見てから、俺に視線を向ける。


「結南で、彼女を見つけられず。役員数名に捜索を依頼したところ。『不自然に消えた』との事。内、一名から。情報屋が絡んでいるとの報告です。引き続き、調査中。ただ、学園内から出た形跡が。」


最悪の事態。

俺の管轄に居ない情報屋。学園の監視を抜け。安易な相手ではない。


「……野茨、思い当たることは?」


「嫌な予感がする。……いつか来ると覚悟していた事態。」


クローンの荊に望む危機。それなら命の保証はあるだろうか。

それでも。後を追うなら。


「……慧。墨にも協力を要請してくれ。彼には由の警護を。凌子には『警察の力も借りる』と伝えてくれ。野茨は結南に戻って、役員から詳しい情報を。緊急事態だ。瑠衣の力も借りる。今の彼女なら、情報が一番速いだろう。」


忘れていることは無いよな?

学園の庇護に、油断した。


「K……ありがとう。調べて欲しいことがある。……研究所、生命工学の……」


クローン。死亡率が異常に高い。

自然の摂理。それが当然なのだろうか。そんな中、身近にいることの奇跡。

本体は病気など短命の血筋。荊・由・事故で死んだ野茨のクローン月……3人が存在する。

同じ高い技術。世間に出ない方がおかしい。


野茨が言っていた。親族の動き。

由の環境の変化。噂の制御が出来ていない。


いつかは世間の目に触れる。存在してはいけないモノ。

価値あるモノ。下手に手は出さないはずだ。

荊……無事でいてくれ、必ず助けに行くから。


夏と由の安全を確認し。今の状況を知ってもらった。

今回、巻き込まれなかったとしても……いずれやってくる事態に備えて。


「K、今の状況は?」


凌子が冬北にやって来た。


「言っておかないといけないことがあるの。」


「大丈夫、言って。」


「荊、いなくなる前に私のところに来たの。封筒の中身を見せたわ。……少し考えるからって。」


人気の無いところに行ったのか。


「凌子、気にするな。いつかはこうなっていた。みんなの隙を狙ったんだ。誰も対応が出来ていない。頼む……警察の情報が得られるのは、凌子だけなんだ。協力してくれ。」


「うん。今、動いてもらっている。そうだ。瑠衣から伝言。情報屋に、荊の周りをうろついていた男がいる。現在、行方不明だと。」


やはり学園の情報屋が絡んでいる。

それなら、まだ由に害が及ぶ可能性も残っている。


「夏。由に、敬一の影……墨をつけている。今も近くにいるだろう。けれど、瑠衣にも危険があるから。万全とは言えない。」


「あぁ、何かあっても俺が由を守り抜く。命に換えても……」


緊張感の中。俺に出来る限り。


それにしても……クローンか。

一つの命。今まで、誰かの代わり。取るに足りないモノの扱いだった。

でも、存在価値を同じ人間が変える。


普通が、特別なんだ。

一体、彼女たちはいつ普通に生活できる?



【携帯のコール音】

画面には【隆】?


也田なりた たかし

俺の親友。志乃の彼……っ!!……


忘れていた。

まさか……まさか!


「はい。」


『ケイ……。ごめん、志乃が……』


「……何やってんだ!隆……」


『……もう知っているのか。すまない、連れ去られた。意識が戻ったときには……もう……。』


「隆、怪我してるのか?とにかく、病院へ……」


どうして気が回らなかったのか。

本体だから?


違う……俺のミスだ…………




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