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A【学園シリーズ】情報屋Kの恋愛簿  作者: 邑 紫貴
情報屋Kの恋愛簿

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12/81

夏希

side:夏希。



保健室。


「夏希くん、また体調が悪いの?」


心配して俺に駆け寄る。

保健室は二人だけ。警戒心は無い。


「……?」


彼女は……本当の俺を、知らない。


「ん。成長中で、体が痛いだけ。……ね?」


俺は体を近づけ密着させる。


「ホントだ!」


腰に手を回し抱き寄せ。俺の額と、優香里の額が引っ付いている状態だ。

それなのに。


「私と、並んだね。」


余裕なのか、にっこり笑顔。


「……でしょ?」


心折れて。そっと離れる。

……男として見て欲しいな。わざとじゃないよね?俺のこと……信用してるの?


優香里は、背が高い。やっと、同じ163センチ。

俺の家系は成長が遅いけど、背は高い。並べば、少しは意識してくれると期待していた。

どこまで、手を出しても大丈夫だろうか……。


背が低いときは、胸に触れても大丈夫だった。

揉んだら……さすがに駄目だよな?


はぁ……。

他の男が、髪に触れても笑っていた。

冗談だと思っている?髪にキスした奴なんかに、『汚いですよ?』とか言ってたし。


自覚がないのかな?自分が綺麗な女の子だと、思ってもいない。

俺が、こんなことを考えているとも知らないで……。


「夏希くん、可愛いね。」


額にキス。

子犬扱いかな?


「……優香里?俺も、一応男だよ?」


反応を見る。


「ん?……ふふ。知ってるよ。」


最高の笑顔。

可愛い!!


俺の理性は……いつまで持つのか。

……分かってないよ。あぁ、押し倒してみたい……。

柔らかい体を、抱きしめて。きれいな肌に触れたい。どんな味がするだろう?


「夏希くん?聞いてた?」


……いいえ、全く。


「何?もう1回。」


「私たちが、付き合っていないって言ったら……友達が紹介してって」


優香里の言葉に、俺の何かが切れた。

軽く、優香里の足を払う。


【ドサッ】

優香里は近くのベッドに転がる。


「……?」


優香里は、何が起こったのか分かっていない。

彼女の両手首を左手で掴む。


【ギシッ】


右手と左足は、ベッドの上。

優香里は、上にいる俺をじっと見る。表情は、変わらない。


なぜだ……?

じっと、見つめる彼女から何も感じない。


【ポタ……】


情けない……涙が出る。

掴んでいた彼女の手を離し、目元を隠した。


「……優香里。俺の気持ちは……どうしたら良い?」


「夏希くん……。」


優香里は起き上がり、俺の頬を伝う涙に触れる。

そして胸元のリボンを外した。


「?」


上着の両裾を引っ張ると、勢いよく前が開いて……白い肌に、可愛いブラジャー。


「ゆか……」


優香里は俺の後頭部に手を伸ばし、引き寄せる。

胸の谷間に、俺の唇が触れた。


「……いいよ?」


優香里の顔が見えない。

良い匂いがする。柔らかい。夢見た状況……だが、望んでいるものと違う。


優香里……?



【コンコン】

ノック音に驚き、優香里から離れる。


「夏、緊急だ。来てくれ!」


ケイ?


「わかった、すぐ行く!」


良いタイミングだった。


「優香里……。話は、また……。」


表情は、見なかった。

怖くて。自分の感情が追いつかない。



「ケイ……」


保健室を出たすぐ。

落ち着いて立っていたが、不安そうな顔のケイ。


「場所を変えよう……。」


急ぎは無い……か。

俺に、用事。この状況からの助け。


俺も……敬一も言わないが、知っている。ケイが、裏の情報屋Kだと。

優香里の情報……なのだろうな。



人気の無い場所。


「ケイ……。気にしなくていいよ。良いタイミングだった。まだ、気持ちの整理がついてないけど……情報をくれ。多分、その方がいい。」


ケイも、まだ整理がついていないのか……?


「あぁ。どこから話せばいいのか……。待ってくれ。」



優香里が……クローン……?

閉鎖的な環境で、限られた情報。受けることが無かった愛情。

感情の欠如が、生い立ちを裏付ける。


俺は、優香里にとって……何?

あんなに簡単に、体を差し出して……。


「夏。しばらく、ここを使うといい……。」


ケイは、静かにいなくなる。

……独り。






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