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亜人会議(中編)

「我々があまり食糧としていなかった魚が、人間達にはこれほど食べられている食糧だったとはな……」


「はい、一ヶ月前の答え合わせになりますが、人間と貿易をすればよかったんです」


 ダークエルフ軍に降伏してから一ヶ月が経とうとしていたが、ダークエルフ達の悩みの一つを解決したことで、私とルランドはグランデル皇太子からの信頼を得ていた。


 ダークエルフ達が魔法で捕えた大漁の魚を、ルランドの人脈を通じて人間達と貿易し始めたことで、ダークエルフの国民に必要な食材を十分に確保することができた。


「それに、人間にとっての海は、魚以外にも豊富な資源がある場所だということも分かってもらえたと思います」

 

 海の鉱物資源を開拓し、人間達との取引で得た物資をダークエルフの王国に送ることで、貧困問題を解決する見通しも立った。


「まさか、長年の悩みであった貧困と食糧問題が、こんな簡単に解決するとはな。二人には心から感謝したい」


 グランデル皇太子は頭を下げて私達に感謝の意を表した。


「いえいえ、頭を上げてください。今回の貿易はお互いにとってよかった話なんです。それに、それだけでは、本当の解決にはなっていないんですよね」


「ああ、そうだな。魔族達に我々の領地が奪われていっている」


 グランデル皇太子は深刻な表情でそう答えた。


 貧困や食糧問題は付随ふずい的な問題で、魔族が亜人の領地を侵略しに来たことが問題の根本。


 この世界は、大きく分けて人間大陸、亜人大陸、魔族大陸の三つに分かれている。

 人間大陸と魔族大陸の間の大陸に住んでいる亜人は、昔から魔族の脅威にさらされてきた。


 そして、数年前に大陸への侵入を許してからは徐々に亜人の領地は奪われ、既に大陸の半分が魔族のものとなっている。

 このままでは、いずれ人間大陸にも脅威が迫って来ると考え、人間と亜人の間で同盟が結ばれたのだが、実質は形だけの同盟となってしまっていた。


「正直、我々だけでは限界を感じている。今回のように、人間達にも協力をお願いしたい」


「そうですね、ルランドはどう思いますか?」


「それに関しては、一度、亜人大陸に行って、この目で現状を確認したいと思っているのだが……」


「だが?」


 現状を確認しに行きたいと思っていることは、私も同じ意見なんだけど。

 ルランドが言いよどんでいるのが気になった。


「それよりも、俺はお前達の距離感が近すぎることの方が、今は気になっている」


 え?

 それって。

 

「……もしかして、ルランド、嫉妬してるの?」


「くっ、婚約者が他の男と仲良さそうに話をしているのに、嫉妬するなと言うのか?」


 うわー、うわー。

 ルランドが嫉妬するとか。


 いつも余裕そうにしてるのに。

 ちょっと新鮮かも。


「ふーん、ふーん、ルランドが嫉妬するなんてね」


 つい、意地悪くそう言ってしまった。


「悪いか」


 ルランドが恥ずかしそうにそっぽを向いた。


「ううん、ちょっと嬉しかったかも」


 私が笑顔でそう言ってルランドの肩に身を寄せると。


「そ、そうなのか?」


 ルランドは少し戸惑った様子で答えた。

後編に続きます。

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