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ルランドの決意(後編)

「魔王二天王デミストと仲間になっていたんだな……」


「あ、うん、仲間と言っていい関係なのかは分からないけど、口止めされていたから、言えなかったの」


「そうか……」


 もし俺がデミストよりも強かったら口止めされていても言えていたのか?


 そう聞き返したかったが、俺はその言葉を飲み込んだ。


 デミストに続き、サビスルとの戦いでも惨敗した。


 相手は魔族だから仕方がない。

 そう思ってしまえば楽なのかもしれない。


 いや、俺の誇りの問題だけなら、それでもいい。

 しかし、俺はラティリスを二度も命の危険にさらしてしまった。


 これは俺だけの問題ではない。

 俺が強くならなければ、ラティリスは今後も同じように、何度も命の危険に晒されるだろう。


「どうかしたの、ルランド?」


「ああ、ラティリスが無事でよかったと思ってな」


「なに言ってるの? ルランドの方が重症だったんだよ……。ああいう時は、自分の命を優先してよね」


「ラティリスがそれを言うのか?」


 命がけで俺を護ろうとしておいて、何を言っているのか。

 俺は苦笑した。


 そう、ラティリスは危険をかえりみない。

 場合によっては、俺の存在がラティリスを危険にさせてしまうこともある。


 だから、このままの俺ではいけないんだ。

 

「ラティリス、今までありがとな」


「ふふ、なに改まって。婚約者なんだから、当たり前でしょ」


 俺に向けられる眩しいまでの笑顔。


 ラティリスのこの笑顔を護れる男になりたい。

 俺は心からそう思った。


 ◇


「俺は修行の旅で、たまたまこの秘境の地に来ましたが、ダレフはどうしてこんな所まで来ていたのですか?」


『見たところ魔剣使いのようじゃが、魔剣は使いこなせておるのか?』

 

 ダレフから、そう声をかけられた時は驚いたが、更に驚いたのはその実力だった。

 ダレフが魔剣を通して魔力を放つと、魔剣によって目の前の大地が引き裂かれた。


 俺はダレフによって魔剣の本当の価値を教えられた。

 俺はその場ですぐにダレフに頭を下げて、魔剣の使い方を教えて欲しいと懇願した。


「ワシにも事情があってな、強くなれる見込みのある男を探してこの秘境まで来たのじゃが、そこでお主に出会った」


 見込みのある男として、俺はダレフに見られているのか。

 

 ダレフは魔王二天王デミストにも劣らない実力を持っている。

 そのダレフから見込みのある男と思われているのであれば光栄だ。


「どうして、強くなれる男を探しておられたのですか?」

 

「今はまだ言えぬが、お主がもう少し強くなったら話そうと思っておる」


「そうですか」


「……魔王様の花婿に相応ふさわしい強い男としてな……」


 ダレフが小声で何かを呟いていたが、俺には聞こえなかった。

次回、『ルランドと私 追憶編』

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