表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/57

お勉強

 ふふふふ。


「暇だよ」


 MP切れた。


「あー、だりー……」


 時間は3時くらいかな。

 お昼は過ぎてる。飯は食った。


 今日は6回くらい毒薬は飲んだのかな?

 どれくらいステータス上がったんかね?


「すておーぷん」


 雑って言わないでね。


 体力:420/430(240up)

 魔力:14/510(280up)


「おおっ!」


 爆上げぇぇぇぇぇええ!!こういうの待ってたんだよ。

 2倍以上はいいねえ。いいよお。そういうの好きだよお。そのままガンガン上げてこうねえ。ふふふ。


 さて、しばらく暇になったし、資料室でもいこうかね。







「よし、綺麗なままだな」


 これでもう汚くなってたらブチ切れてたよ。



 到着したのは冒険者ギルド資料室。

 何の本を探すかといえば、なんでもだ。


「じゃあまずはこれかな」


『森の中の薬草全書』


 うん、良さげ。

 大抵こういうのは、さっさと覚えた方が役に立つんだ。使わないかもしれないやつでも、覚えてたらいつかは役立つからね。前世からの習慣だよ。


「………」


 そうして読んで、100分。


「《毒薬作成》『賛美の狂歌』」


 パクっとな。


「……っ、ぎっ……」


『じゃあ、俺が読めばいいんだな?』


 ああっ…、頼むよ…っ。


 身体の制御を切り離して、別思考に渡す。今回は俺が耐えるターンだ。


 〈《並列思考》のLvが2に上昇しました〉


『再びの俺見参!』

『あ、俺の3人目だ』

『おう、俺は俺の2人目か?』

『おい、なんかもうよく分かんなくなってきてるぞ、いったん黙れ』

『いや、せっかく生まれたんだから喋らせろよ』


 ……俺らもう喋んな……うるさい…っ。


『『へいへい』』


 次はこの役は俺にもやってもらうからな、俺。


『えっ、やだなあ』

『前の俺と俺は平等にやってんだよ、お前の俺もやれ』

『分かったよ……』


 何言ってんだ俺らは……。

 これは……結構ヤバいスキルだな……《並列思考》。いろんな意味で。


「うぐっ……」


 痛え。


 声は漏れるが、身体は勝手に動いて、文字を視線で追う。変な感覚だね。まあ、全部俺だからどうでもいいんだけどね。


 全ての並列思考の記憶や感情は、全ての俺に共有される。つまり、並列思考の俺は全て俺だ。別の俺が俺に反乱をっ!なんてことにはならない、というか俺はしない。俺がゲシュタルト崩壊しそうだけど、つまりは俺は俺ってことだ。


 自己がブレるなんてことは、有り得ないよ。



『『「俺は、強いからね」』』





 〈《並列思考》のLvが3に上昇しました〉



 〈《激痛耐性》のLvが9に上昇しました〉





 薬草全書の他にも魔物の見分け方の本とか、スキル大全とか読んでから帰宅。

 空はもう暗くなっている。集中しちゃったね。

 早く帰らないと。まだやりたいことあるし。


「ちょっと走るか」








 なんか。


「ふっ、ほっ」


 めちゃ速い。


「あ、着いた」


 息も切れない。


 ……毒薬の効果、か?


「キモいくらいに効いてるなあ」


 ありがたいけどさ。



「ただいま帰りました」

「おう、おかえり」

「おかえり、ユウカちゃん」

「おかえりなさい……」

「…ああ」


 まあ。


「ほらユウカちゃん、こっちこっち」

「はいっ」


 とりあえず、晩ごはんですね。


「いただきます」


 ……肉。







 ◇








 ごはんの後はやりたかったこと。



「いらっしゃーい」

「大歓迎です……」

「お、おじゃまします…」


 女子部屋への侵入。……なんかいい匂いがする。


 ……いや、別に下心があるわけじゃないよ?ホントだよ?ちょっと聞きたかったことがあるだけで。


「で?何が聞きたいの?」

「はい、あの、この世界の常識のことを……」

「常識、ですか……?」

「えっと、通貨とか、暦とか、そういうのも、全く覚えてなくて……」


 だって知らないもの。


「そう、だったのね。分かったわっ、教えてあげるっ!」

「ありがとうございます」


 いやホントに。本にはわざわざそういうの書いてくれてないしね。

 そこでカレンさんとリュエルさんに教えてもらおうという訳だ。明日いなくなっちゃうって言ってたし、今日中にね。


「……うん、まずはこっちいらっしゃい、ユウカちゃん」

「はい?」


 ベッドに腰掛けるカレンさんが手で叩くのは彼女の膝の上。

 ……え、乗れと?


「……はい」


 ぽふん


「やだもー可愛いわねー」

「わっ」


 後ろから抱きつかれてる。抱きつかれてるよ。

 頭の後ろに、胸が、柔らかいのがっ!幸せの感触がっ!!


「ふへぇ」


 あ、今顔緩みまくってる気がする。


「髪の毛サラサラ、綺麗ね」


 美人に頭を撫でられる。ああ……幸せ……。


「む……カレンだけズルいです……私も触らせてください……」

「ぶむっ!?」


 リュエルさんの巨大なお胸にDIVE!

 もにゅもにゅ、ふかふか。柔らかかかかかかかか。

 ああああああああああああ!!!

 ……ぐはっ。


「あへぇ」


 分かる。俺、今、他人に見せちゃいけない顔してる。胸に埋もれて見えないだろうけど。


「あ、ちょっと、返してよ」

「ダメです……ユウカちゃんは私のです……」


 私のために争わないでっ!


 ああ……これがハーレムというやつか……何という幸福感……今死んでもいいかもしれない……。






「もがっ、むぐ」


 ……あ、息苦しい。マジで死ぬ。









 ちょっとジタバタして開放してもらった。無念。胸だけに。なんでもない。


「で、えっと、常識…だっけ?」

「はい、なんでもいいので教えてくれたらと」

「うーん、じゃあまずは――――」



 カレンさん&リュエルさんの話によれば。



 ・この世界の暦は1年は360日(時々上下する、どっかの国が計算してるらしい)、1年は12月、1月は30日、1月は5週、1週は6日。曜日は火曜日、水曜日、風曜日、土曜日、闇曜日、光曜日となっており、光曜日は休日にしている人が多い。

 ・通貨は万国共通。特殊な魔力が込められており、偽造は不可(と言われている)。通貨は価値の低い順に、石貨、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨となっており、石貨1枚が10円程度のレートである。石貨10枚で銅貨と同価値で、同様に通貨は一つ下の価値の通貨の10倍の価値を有する。

 ・言語、文字は万国共通(一部に異なる民族、部族がある)。名前は特にない(強いて言えば“共通語”)。

 ・この世界には大陸が2つ存在しており(と言われている)、片方は魔物が溢れかえっている(らしい)。もう片方が俺達のいる大陸である。国は多く分立しているが、4つの大国が存在しており、その国が実質大陸を支配している。

 ・宗教は様々にあるが、最大手は女神教であり、これを信仰する宗教国家が4大国のうちの一つである。

 ・魔法に詠唱は必須(特殊スキルに《詠唱短縮》や《詠唱破棄》は存在するが)。魔法は魔法書(高価で出回りにくい)というものを読めば覚えられる。回復魔法には神への信仰が必須である(と教会は主調している)。

 ・冒険者の地位はそこまで低くない。基本的に傭兵のようなものである。また、高ランクになれば名誉貴族の位も得ることがある。


 etc……




 以上、カレン&リュエルのありがたいお話でした。

 その間俺はずっとカレンさんかリュエルさんの膝の上でモフられてました。役得です。


「ありがとうございました」

「いいのよ、もっと頼ってくれても」

「全然大丈夫です…」


 いい人たちだなあ。


「いつか、このお返しは必ずしますので」

「そんなこと気にしないで」

「私達が好きにしてるだけです……」


 そういうわけにも、いかないよね。

 恩は返すのが、俺の流儀なんだよね。


「それよりもっ、ユウカちゃん明日講習でしょ?早く寝なさい」

「寝ないと育たないですよ……」


 ……リュエルさん、どこが?(でかい胸を見ながら)


「分かりました、おやすみなさい、カレンさん、リュエルさん」

「おやすみ、ユウカちゃん」

「おやすみなさい……」


 女子部屋を出る。


 うん、有意義な時間だった。


「カレンさんの言うとおり、早く寝ようか」


 明日はギルドでの講習。


 ちょっと楽しみだなあ。





「アハッ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ