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苦行

 名称:ユウカ=ロックエデン

 種族:神族

 職業:Gランク冒険者

 称号:異界を彷徨う者、女№の仔

 Lv:1

 体力:190

 魔力:240

 スキル:《毒薬∌成Lv1》《見分けLv3》《激痛耐性Lv7》





 いや、うん、なんか、もうね……。

 ツッコミどころしかないよね……。


 でも、最初に言わせてほしいのは。





 血を垂らしただけで称号が分かるって何っ!?


 ていうか称号って何っ!?


 え、何、この世界では血に称号が刻まれてるの?怖いわ。


 しかもその称号も結構人に見せちゃいけない感じのやつだしさあ……文字化けしてるし……。


 あれ、毒薬作成も文字化けすんの?そんなヤバいの?


 あ、それと後で『賛美の狂歌』でどれくらいステータス上がるか検証しないと。




「ユウカちゃーん、どうしたのー?」

「……はっ!」


 いかん、若干トリップしてた。


「何かあった?」

「いえ……分かったことは、何も」

「そう……まあ、気長に考えましょ」

「…はい」


 罪悪感が……。


「さっ、食べましょ」

「はい」

「あ、おかえりなさいユウカちゃん、アレンさん……」

「………」(ゲイル)

「ああ、ただいま」

「ただいま帰りました」


 食堂でゲイルとリュエルに合流。


 またみんなで食べるのね。仲いいね。


 そして目の前には、薄いスープ、茶色いパン(以下チャパンと呼ぼう)、サラダ、肉っ!以上っ!


 …ゔぁりえーしょんぇ……。そして肉ェ……。


 これは……早く自炊すべきか?

 いや、これに飽きるまでは我慢しよう。面倒くさいし。


 ……はあ。



「いただきます」



 味が濃い。







 ◇








 お昼を終えて。

 さてさてこれから2日間、暇になったわけでして。

 何をするかと言いますと。




「ふぅぅううっ、うぎっ」




 苦行?


 あー痛い。




「っ……ぁっ……ふううぅぅ」


 終わった。15分は長えべさ。


「ペッ」


 噛んでた毛布を吐き出す。なんかもうボロボロになってるな、この毛布。


「うへえ、気持ち悪い」


 汗びっしょり。



 〈《激痛耐性》のLvが8に上昇しました〉



 お、上がった。ラッキー。


 さて、ステータス上昇幅は……っと。


 ステータスオープン。



 体力:198/210(20up)

 魔力:143/260(20up)



 ……なんだろう……微妙……。

 いや、たぶん結構な上がり幅なんだろうけど……20……痛みと釣り合うかと言われると……。


 うーん……。


 いやまあ、塵も積もればなんとやらとか言うし……頑張ろうか。


「よしっ、もう一回やろ」


 MP余ってるしね。










 MP切れた。


「暇だな……」


 MPは安静にしてると、1分に1%くらい回復する。つまり100分は暇なわけでして。その間何をしようかと、思うわけでして。


「……することねえな」


 どうしよう。

 さすがに講習を受けないで依頼を受ける、っていうのは避けたいし。


「……ギルドの資料室でも行ってみるか」


 本読んで時間潰そう。







 ギルド資料室。


 それは、ギルド内で、最も使用率が低い施設である。

 なぜなら。


「あ?本?読めねえよ」(街頭インタビューより)


 と言う輩が多い、つまり、識字率がそこまで高くないのだ。

 さらに加えて。


「ゴホッ、ゴホッ、埃っぽ……」


 部屋が、汚い。


「誰か掃除しろよ……」


 目の前には、本、本、本。本の山だ。


「まあ、これだけあれば、いろいろ読めるだろうけど……」


 まずは、整理ですかね。


「なんで俺が……」







 〈スキル《整理Lv1》を獲得しました〉







「ふふふ……」


 見よ、この整理整頓された美しい部屋を。

 ああ、そうだよ。一回始めたら止まらなかったよ。

 あんな汚部屋は存在してはならないっ!


「……ギルド職員がやれや」


 なんで俺がやってんだよ。


「ああ……もうこんな時間……」


 空は若干薄暗くなり始めている。

 ……何しに来たんだ、これ。


「……帰るか」


 明日、また来よう。

 2日間は暇だし。







 ◆




「あら?この部屋こんな綺麗だったかしら?」

「ホントね、職員の誰かが整頓してくれたんじゃない?」

「ふーん、物好きもいるわね」

「そうね、わざわざやるなんて」




 ◇







「ぎっ……ぐ……ぅ……」


 苦行再び。

 クソッ、痛ってえなあ。


「ふっ、ふぅぅっ、ぅぅ……」


 痛い痛い痛い。


「ふううぅっ」


 はい終わり。


「ああぁぁぁぁ……」


 疲れる。

 身体も、精神も。


「これはダイエットできるな……」


 激痛ダイエット。誰もやりたがらないな、うん。


「……そろそろ晩ごはんか」


 下に行きましょうか。







「あ、こんばんは、皆さん」

「おう」

「あ、ユウカちゃん」

「ユウカちゃん、こんばんは……」

「……ああ」


 もう揃ってた。ホントに仲いいなー。


「はい、ユウカちゃんはここね」

「ありがとうございます」


 定位置となった(?)カレンさんの隣へ座る。


 えーっと、晩ごはんは……


 薄スープ、チャパン、サラダ、ステーキ、以上っ!


 ……え、3食全部肉ですか。


「魚とかは……」

「ん?魚?ここは内陸だからそんなのは流通してないぞ」


 ……ああ、そっか。まだ冷蔵車みたいなのなんて発達してないのか。そりゃ流通するわけないね。


「氷魔法の使い手も少ないしね〜」


 氷魔法もあるのか……取りたいな。


「ま、そんなことはいいから早く食べましょ」

「そうだな」


 ……こんなに食えるかなあ……。


「……いただきます」







「うえっぷ」


 胃もたれ気味です。

 あれは華奢な美少女に食わせるモンじゃない。ゴツい冒険者が食うモンだ。


「さて」


 またやることがない。

 どうしよ。


「……レベル上げるか」


 《見分け》のレベル上げ、やろうか。ここでも出来るだろ。


 苦行の間も出来るかな。出来そうだな。なんか最近余裕出てきたし。


「見分け見分け見分け見分け見分け見分け見分け見分け見分け見分け見分け見分け見分け見分け………」


 暇だなー。







 〈《見分け》のLvが4に上昇しました〉



 〈《見分け》のLvが5に上昇しました〉






 ◇








 目をパチリ。

 おはよう。


「ふわぁぁあ」


 眠い。

 昨日は夜遅くまで《見分け》のレベル上げしてたからなあ。おかげで結構上がってたけど。


「……《毒薬作成》『賛美の狂歌』、ふぁぁあ」


 目覚ましの激痛。


「うぎっ……!」


 過激ですね。

 めちゃ目覚めるよ。


「ふっ、ふぅぅううっ、うぅ」


 ていうかなんだろ。痛いんだけど、痛いって感じる所と考える所が別れてきてる気がする。何言ってんのか分かんない?大丈夫、俺も自分が何言ってるか分かんない。


「ぎぃぃ……くぅぅ」


 慣れてきたのかな?いや、痛いことは痛いんだけどね。


「うぐっ、ふぅ」


 終わった〜。


「…べっちょり」


 これ汗かくのはなんとかならんかね。気持ち悪いんだよ。




 〈スキル《並列思考Lv1》を獲得しました〉




 おん?









「おはようございます」

「ああ、おはよう」

「おはよう、ユウカちゃん」


 昨日と同じ席で、昨日と同じメニュー。


 ……また肉ェ……。


「ユウカちゃん、明日から私達依頼に行くことになったわ。だからしばらく会えないと思うの」

「あ、そうなんですか……」


 寂しくなるね。


「なるべくすぐに帰ってくるから、待っててね」

「はい、でもそこまで急がなくても大丈夫ですからね」

「ふふっ、分かったわよ」


 俺が皆の迷惑になりたくはないからね。


「たぶん、3日後くらいに帰ってくるから」

「分かりました」


 りょーかい。







 さて、今日のやることは決まってる。



「ふぐっ、ふ」


 一日中耐久レース。


「見分け見分けっ、ぅう」


 兼、見分けのレベル上げ。


 忙しいね。


『痛いんだけどー』


 いやあ、悪いな、俺。

 こっちだって見分け上げてるんだからいいじゃん。


『こっちの方がめっちゃキツイじゃんかよー』


 悪かったって。


 今、何をしているかと言えば、俺との対話である。ヤバいやつじゃないよ?《並列思考》使ってるだけだよ。


 そう、なんか獲得した《並列思考》は文字通り、思考を増やすことができるスキルだった。なんか多重人格みたいになってるけど。

 で、今は一つしか作れないけど、その思考に痛みの処理を任せると、主人格はだいぶ楽になったのだ。やったね。


『おかげでこっちが痛いんだけど』


 悪いって。後で変わるからさ。


「ふっ、ぎぃ」


 しかし身体は一つなわけで。


 身体には冷や汗しか出てこない。




 めちゃダイエットできそうだね。ホントに。クソが。

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