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登録

「あー、じゃあ下の階で登録してこい。すぐに済む」

「私達は依頼を選んで、先に帰ってるわね。アレン置いてくから」

「えっ……」

「ありがとうございます、行ってきます」


 礼を言ってから下への階段へ。

 アレン頑張れ。


 ふふふ、れっつ冒険者登録。

 微妙にワクワク。


 階段を降りきれば、そこには俺に注がれる視線。……いや、怖いわ。


「アレン様と一緒にいた子よね……(ボソボソ)」

「どういう関係なのかしら……(ボソボソ)」


 いや、受付嬢怖いわ。仕事しろよ。


 居心地の悪い雰囲気の中、マトモそうな受付嬢を探す。冒険者登録……。

 あ、あの人良さそう。ちょうど空いてるし。行こ。


「すみません……」

「はい、なんの御用でしょうか?」


 おお、普通の対応だ。


「あの、私、冒険者登録をしたいんですけど……」

「えっ……?あ、はい、了解しました」


 めちゃ怪訝な顔された。

 まあ、そうか。こんな美少女が冒険者なんて珍しいよな。他にいくらでも仕事ありそうだし。

 それでもすぐ対応してくれるこのお姉さん、素晴らしいじゃないですか(上から)。


「冒険者についてご説明は必要でしょうか?」

「あ、お願いします」

「分かりました。それではまず、冒険者制度について――――」



 マトモ姉さん(命名)の説明によれば。



 ・冒険者とは、魔物を討伐、またはある程度以上に危険な仕事をする者達のことであり、冒険者ギルドは、冒険者の相互援助機関である。

 ・冒険者ギルドは独立機関で、国などからの干渉は原則受けない。

 ・冒険者はランク分けされており、上からSSS、SS、S、A、B、C、D、E、F、Gとなっている。ただし、SSS、SSランクは存在しない場合が多く、実質Sランクが最上位ランクである。

 ・ランクを上げるためには、依頼を一定数こなし、ギルド側の審査を通れば良い。なお、Dランク・Bランクへの昇級には試験が存在する。

 ・依頼はランク分けされており、自らの冒険者ランクの上下1ランクの依頼しか受けることが出来ない。ただし、Sランク以上の冒険者はその限りではない。(Aランク以上の依頼は数が少ないため)

 ・依頼には報酬があらかじめ設定されており、失敗した場合、冒険者は、あらかじめ設定されている補償金を支払わなければならない。

 etc…



 とのことだ。

 ほーん、テンプレ?


「ご質問はありますでしょうか」

「いえ、大丈夫です」


 分かりやすかったです。


「では、こちらの書類にご記入ください。代筆が必要でしたら、私にお知らせください」

「分かりました」


 あ、そういえば文字読めんのかな?普通に話せてはいるけど。

 ……読める、読めるけど、文字は分かんない。ナニコレ、何この感覚、キモい。意味わかんない、どうなってんのこれ。


 ……まあ、読めるならいいか。


 ふむ、いろいろ記入する欄があるな。

 名前は……ユウカだけにしとこう。名字を知られるのは面倒くさそうだ。

 得意武器・魔法は……まだ決まってない。まあたぶん、この身体なら何でもできるだろうけど。空欄っと。

 種族は……人間?ああ、人族って書くのね?

 性別は女……女……うん……。

 年齢は……たぶん13歳。

 親類……?……無し、かな?

 え〜っと、なになに?15歳未満の方は身元保証人が必要?え、どうすんのこれ。


「あ、それは俺達がするよ」


 いたのか、アレン。てかそんなことまでしてくれるのか、ありがたいなあ。

 じゃあ保証人は、竜の咆哮…w…っと。


「はい、終わりました」

「ありがとうございます……はい、確認しました。登録の手続きをして来ます、少々お待ちください」

「はい」


 うん、これで一段落かな?



 ガタガタッ



 なんじゃい。


竜の咆哮(ドラゴンロアーズ)が保証人っ!?」

「どういうことっ!?あの子はアレン様とどういう関係なのっ!?」

「ま、まさかっ……娘っ!?」

「「「っ!??!?」」」


 なんか……受付の奥の方からすごい視線を感じるんだけど……。あと娘ではないよ……。


「確かに……可愛いわね……ていうか可愛すぎない?」

「アレン様の娘なら……ありうる……」

「いえ、ゲイル様かも……」

「じゃあ、相手は……?」

「カレンさん?それともリュエルさん?」

「「「………」」」


 ……違うからねー……。


「お待たせしました」

「あ、いえ」


 そして颯爽と戻ってきたマトモ姉さん。

 この人だけ普通なのが逆に違和感。既婚者ですか?


「では、こちらがユウカ様の冒険者カードになります。このカードに血を垂らせば、冒険者登録が完了し、ユウカ様自身のステータスの確認も可能となります」

「は…え?ステータス確認できるんですか?」

「はい。確認の際は他人からは見えない仕様となっておりますので、ご安心ください」


 なんだその便利仕様。


「聞いたところでは、冒険者ギルド創設者が、『“ぷらいばしい”は大切だ』という言葉を残して、この体系となったそうです」


 創設者異世界人ェ……。


「では、こちらをどうぞ」


 そう言って、マトモ姉さんが差し出してきたのは一本の針。

 これで刺して血を垂らせってことね。おけおけ。プスっとな。


 カードに血を垂らせば、カードは少し光を放った。


「はい、これで登録は完了です。お疲れ様でした」

「はい、ありがとうございました」


 やったぜ。冒険者じゃ。


「それから、これは新人冒険者の皆様全員におすすめさせて頂いているのですが、新人講習を受けませんか?」

「新人講習、ですか?」

「はい。毎月、新人冒険者さん達に、ベテラン冒険者が冒険について指導するんです。武器の扱いだったり、冒険の際の荷造りだったり。魔法も少し習えますよ。まだ扱ったことがないユウカさんにはピッタリだと思いますよ」


 ふむ、それはありがたいな。


「是非、お願いします」

「分かりました、受注しておきます。次の開催は……あ、ちょうど2日後ですね」

「2日後ですね、分かりました」

「お昼頃にギルドへ集合すればいいそうです。お昼ごはんは各自で準備してください」

「分かりました。ありがとうございました」

「いえ、こちらこそありがとうございました。またのご利用お待ちしております」


 マトモ姉さんから離れ……いや、名前聞いてないな。


「ちょっとすいません」

「はい?なんでしょう?」

「お名前、何ていうんですか?」

「あ、これは失礼しました。私はルミルと申します」

「ルミルさんですね。では改めて、私はユウカです。今後ともよろしくお願いしますね」

「はい、ユウカさん。よろしくお願いします」


 マトモ姉さん、改めルミルさんから、俺の渾身の笑顔を振り撒いてから離れる。後ろの受付嬢がノックアウトされた。お前じゃねえよ。


 ……うん、まあ、いい出逢いだった。


「……()()()()ンさんは?」


 ダジャレじゃないよ?


「アレンさーん、終わりましたよー」

「おっ、終わったかっ!」


 声のする方向を見れば、謎の受付嬢達の団子が。


 ……なんだあれ。


 その受付嬢達を押しのけて出てきたのが我らがリーダー、アレン。めっちゃ疲れた顔してる。


「よしっ、帰ろう。早く帰ろうっ」


 ……ああ、うん、なんか、お疲れ様です。


「あれ〜、アレン様お帰りですか〜?」

「また来てくださいね〜っ!」


「あ、ああ、また来るよ」


 若干引き攣った笑みを浮かべて答えるアレン。


 ……お疲れ様です。大変だね。








 ◇








「あ、おかえりなさい」

「ああ、ただいま」

「ただいま帰りました」


 無事帰宅。

 時刻はお昼を少し過ぎたくらい。


「これからみんなでごはん食べようって思ってたところよ、一緒に行きましょ」

「ああ」

「分かりました」


 待っててくれたのかね。


「ユウカちゃんは登録は済んだかしら?」

「はい、無事登録できました」

「そう、良かったわね」

「はい!」


 登録出来なかったらどうしようかと。


「あ、そういえばステータス確認した?何か記憶が戻るきっかけがあるかも」

「え、ああ……確かにそうですね。一回見てみます」


 忘れてた記憶喪失設定。いけないいけない。


 でもステータスは早く見たい。

 どんななんだろう。


 服のポケットからクレジットカードを取り出す。……いや違うけどね。形と大きさが似てるんだよ。


 ……これ、どうやって見るんだ?


「『ステータスオープン』って頭の中で言えばいいのよ」


 ぶふっ。

 なんだそのテンプレェ……。


「……ああ、はい」


 まあいいや、ステータスオープン。






 名称:ユウカ=ロックエデン

 種族:神族

 職業:Gランク冒険者

 称号:異界を彷徨う者、女№の仔

 Lv:1

 体力:190

 魔力:240

 スキル:《毒薬∌成Lv1》《見分けLv3》《激痛耐性Lv7》







 ……OH……。


 何か、いろいろツッコミどころがあるけど……。


 とりあえず。






 すまん、ルミルさん、人族じゃなかったわ。

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