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【非公開】元勇者、異世界をゆく  作者: 千夜みぞれ
第五章 暗殺者、南の大陸でがんばる!
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第97話 暗殺者、新たな同行者と一緒に

 屋敷から馬に乗って揺られること数時間。

 以前に立ち寄った村は、依頼主にウェンズデイが死んでいないとバレる可能性がある。

 と言うことで別方向にしばらく進んで、ようやく最寄りの村にたどり着いた。

 四人全員がこの周辺の土地は初めてであることもあり、土地感ゼロの一行は(なか)ば迷子になりつつ道なき道を進んだのだ。


「人が住むのは川沿いだ! 町や村を探すには川沿いなんかの水源を探すんだ!!」


 なんて言ってたカティのどや顔がどんどん暗くなっていくのが、今でも思い出される。

 そうこうしていると空さえも暗くなって、野宿かなぁと思い始めた頃──ようやく村にたどり着いたのだった。

 最寄りの村(仮)にたどり着いたのは満天の星空が広がる深夜である。


「最寄り、遠かったね」

『ピピピッ』

「……ごめんなさい」


 シュンとして謝るカティ。

 とりあえず宿には空きがあったので助かったが、四人の相部屋だった。

 ベッドは譲ってくれたので、床で寝るであろう三人には文句なんて言えない。

 さっそく寝ようとすると、カティが出かけると言った。


「どこに行くの?」

「店主が言うにはここからしばらく行った所に、大きい町があるらしくてさ」

「えっ……今から行くの?」

「いや、レインは寝ててくれ。俺とカティで行ってくるさ」

「カーチャは残るんだね」

「寝ている時に誰かが襲ってくるかも知れないから、私が部屋を守るわ」

「ありがとう。で、大きな町で何するの? また依頼?」


 カティは首を横に振る。

 大きな町にはイジェルド人がいるので、その者に連絡して貰って転送魔法が使える魔法使いを呼ぶのだとか。

 依頼が思ったよりも早く終わったので、帰っても良いらしい。

 こちらとしても自宅に帰れるのはありがたかった。


「それじゃあ行って来まーす」

「気を付けてね?」

『ピッピィ~』


 カティとルドヴィヒが出ていったあと、二人きりとなったボクとカーチャではあったがろくに会話も出来なかった。

 カーチャは窓に近い椅子に腰かけると弓を持って限界体制となり、常にゴゴゴッと音が出そうなくらいには気合いを入れて外を見ている。


「あ、あのさ」

「どうしたの? 敵は来ていないから安心して眠ってね」

「いや……うん」


 せっかく守って貰っているのだからと、ソラを抱き枕にしてベッドに横になる。

 とりあえず目を瞑っているだけではあったが、いつの間にか本当に眠ってしまい、気がついたら朝になっていた。

 小鳥がさえずる早朝の空気を吸い込んで目が覚めると、カーチャはいまだに椅子に座っている。


「おはよ……え? 寝てないの?」

「おはよう。私なら大丈夫よ? 依頼の時は数日眠れないのも珍しくないし」

「……ありがとう」


 そのあとは二人で朝食を食べて、カティたちが帰ってくるのを待った。

 ちょうど食事を終えた頃、彼女らは戻って来る。

 どこも怪我などはしておらず、安心もしたが──出発時とは違っていた。

 三人に増えていたのだ。


「レインちゃ~ん、一緒に戦おうぜ!」


 ヘラヘラと笑いながらファイティングポーズをとっているのは袖の長い巫女服の少女だった。


(あれ、サタデイだ)


 カティは言いにくそうに苦笑いながらチョイチョイと手招きする。


「町に行ったらさ、サタデイが来てて……会わせろっていうんだ。すまない」

「あー、いいんじゃない、別に。同じ〈七曜〉なんだし」

「いや、気を付けてな?」

「うん?」

「もー! 隠れて何を話してるのっ?」

「ちょっとね。それより一緒に戦おうってサタデイと一緒に何かと戦うってこと?」

「そーそー。私の依頼を手伝って欲しいなぁ~なんて!」

「でもボク、帰──」

「すまねぇ。魔法使いは今、離れた所にいるらしくてな。町に戻るまで数日かかるらしい」

「あ、そうなんだ……。みんなはどうするの?」

「あたしらはあの依頼主を探そうと思ってるんだけど、どうするかは任せる」


 どうするか。

 つまりカティたちと一緒に依頼主を探し出して、脅すなりして金を支払わせるのか、サタデイと一緒にサタデイの依頼を手伝うのか。


(どうしたもんか)


 そこでボクはサタデイを選ぶ。

 暗殺者、そして〈七曜〉において先輩にあたる彼女に、いろいろ聞いてみたかったのだ。


「あんな事をしたケジメはつけさせるからな?」

「金か命かどっちもか、楽しみにしててくれ」

「たーんと払わせるから待っててね?」

「無理はしないでね」

「そっちこそ気を付けてな?」


 そうして三人組と別れたのだが、カティたちの不安そうな表情がトゲのように心に引っ掛かる。

 サタデイを見ると、彼女は優しげに微笑んでいた。

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