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第37話 歓迎






 ガリウスさんと別れてすでに1日と半日。

 僕たちはあの言葉の意味を測りかねていた。


「ガリウスさん……アルテナって人と何かあったんでしょうか?」


「んー……今の時点では何とも言えないかな、なんにせよ一度会ってみないことには」


 気が重い。

 だって、伝言で僕たちはアルテナという人に「くたばれ」って言わないといけない。

 少し話しただけではあるけど……明るい人に見えた。

 そんなガリウスさんの人柄とあまりにも違い過ぎるその一言。

 少なくともそんなことを言う人には見えなかった。

 一瞬なんて言われたのか分からなかったからね。


「その……もしかしてその手紙にも……」


 姫木さんが言い辛そうに手紙のことを言ってくる。

 確かに普通に考えたらロクでもないこと書かれてそうだよね。

 だけど人の手紙を勝手に開けて見るわけにもいかない……ううむ。


「気は進まないけど、預かっちゃったからにはこれだけでも届けないとね」


 丁寧に布で包まれた本。

 そして、先ほども話題になった手紙。

 地図にエルフの里の結界を通るための精霊言語が書いてあるメモ。

 これがガリウスさんから預かった物だ。


「そういえば佐山先輩はさっきから何してるんですか?」


「ん? ああ、レベル上げだよ」


 以前やっていた石でのレベリング。

 強化スキルで石を砕いて、神殺しで存在を殺す。

 その経験値を成長スキルで増幅させる……というレベル上げ方法だ。


 ばぎっ

 

 砕いてはまた違うものを手に取り、また砕く。

 それの繰り返しだ。

 馬を休ませる休憩の合間にその場に落ちている石やら小枝やらを布袋に詰めておいたのだ。


「ほんとにチートですよね……佐山さんって」


 と、秋山さん。

 どうやら馬車にはだいぶ慣れてきたらしい。

 頑張って魔力操作を行っている。

 ちなみに秋山さんが覚えた魔法は2つある。

 少し前にも話した『遠視』……そして、もう一つは『強化』だ。

 魔法の強化はスキルの強化とは区別されるらしい。

 似たような効果……っていうかほとんど同じだね。

 身体能力を強化することができるんだ。

 ただし他人にもその力をかけることができるらしい。

 ほかにも物を固くして壊れにくくしたりとか……地味だけど便利そうな力だ。 

 何度か使ってもらったけど凄かった。

 スキルの強化との併用で力が何十倍にもなったように感じた。

 秋山さんの魔導スキルの影響もあるんだろう。 

 今後きっと役立つ場面が出てくると思う。

 だからこそ秋山さんは魔法に慣れるために今も練習中……というわけである。

 さて、話を戻そう。

 僕がチートって話だっけ。


「でも石ではもうほとんど上がらなくなってきたよ」


 ちなみに王城を出た時点で僕のレベルは19だった。

 カルラを倒したこともだし、出るまでの間に魔物を倒したりしたからね。

 さすがに19にもなったら石では無理があるのか1レベルたりとも上がらない。

 効果がないわけではないから続けてるけど、ここまで上がらないと飽きてくる。


「あ! 何か見えてきましたよ!」


「ん?」


 僕は顔を上げた。

 レベル上げは中断。

 栗田さんの見ている方向に目を向ける。


「もしかして……あれが目印?」


 確かに一つだけやたらと巨大な大木がある。

 そこだけ色がやや明るくて……分かりやすい。

 

「地図はありますか?」


「うん、今確認してる」


 貰った周辺の地理を確認。

 インクで丸が書いてあるところと照らし合わせる。

 

「……あれみたいだね」


 しかしこの距離であそこまで見えるって……相当大きいぞ。

 

「すいません、馬車で行けるのはここまでです」


「なにかあったんですか?」


「いえ、木々が密集してて入りにくくなってるんですよ。今はまだ何とか入れますけど……それに道がないので馬車の方が壊れてしまうかもしれません」


 僕たちは馬車を降りることに。

 御者の人とは3日後に再びここで会う約束をした。

 歩いたとしても1日もあれば到着すると思う。

 そこからここに戻る時間を考えてもそれだけあれば十分だろうという計算だ。


「じゃあ行こうか」


 そうしてしばらく歩く。

 歩いて歩いて……太陽もだいぶ傾いてきた頃だった。

 ようやく到着する。


「じゃあ精霊言語を唱えるよ」


「あ、ま、待ってください!」


 秋山さんが慌てて僕を止める。

 どうしたのかと聞くとどうやら自分で言ってみたいらしい。

 ファンタジー好きな秋山さんらしい。

 僕は少し微笑ましく思いながらメモを渡した。


「じ、じゃあ行きますよ……えーと」


 そして、秋山さんが精霊言語を唱えた。


「アムステル・ルーン・ギークルーネ・ロ・バルムサム・ルルロ・リ・アデム」


 その瞬間だった。

 ビルのような大きさの大樹が強く発光する。

 眩しくて目が開けていられない。

 僕は手で光から目を守りながら強烈な光が収まるのを待った。

 そして、ゆっくりと目を開ける。

 そこで見えたのは―――


「人族の者よ、歓迎しよう」


 エルフの生活の跡が見える場所。

 自然と共存しているエルフのイメージにピッタリな集落。

 自然の実りが豊かで、奥の方には湖らしきものが見える。

 そして迎えてくれたのは、総勢10……いや、20人はいるなこれ。

 全員耳が尖ってる。

 2、3人鑑定したけどエルフで間違いなかった。

 どうやら歓迎してくれるらしい。


「とりあえず武器下ろしません……?」


「大人しくしてもらえるならばいくらでも」


 なるほどなるほど……

 姫木さんは……おっと、さすがだ。刀を構えて臨戦態勢。

 栗田さんと秋山さんは……めっちゃびびってるね。

 それでも一応戦闘準備っぽい姿勢ではある。 

 すごいへっぴり腰だけど。

 僕は思わず空を仰いだ。


「凄い……歓迎されてるね」


 





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