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第1話 召喚






 HRの終わった放課後。

 教師の長い話を聞き終えて背伸びをする。

 今日は一段と長かったな……少しだけ凝った筋肉を解すように肩を回す。

 

「悠斗は今日どうする?」


 クラスメイトの健太が話しかけてきた。

 どうするって言うのは放課後の予定のことを聞いているのだろう。

 

「帰ってからラノベでも読もうかな」


 僕はオタクだ。

 隠してもいないので、このクラスの人間はみんな知っている。

 まあ何人かはキモいと思っているようだが、僕は気にしない。

 

「相変わらずだな……」


 はは、と苦笑を浮かべられる。

 いいじゃないか、好きなんだから。

 ちなみにジャンルはラブコメ、ファンタジー、SF、現実、歴史、問わない。

 基本的に可愛い女の子が出るラノベは皆好きだ。


「じゃあ、帰るよ。健太は?」


「俺はゲーセンかな」


「そっか」


 そうしてカバンを手に取り、席を立ちあがる。

 その瞬間――――


「え」


 地面が光った。

 見たことはないけど黒魔術とかで使われる魔法陣のような……


「な、なんだこれ!?」


 健太の慌てるような声。

 魔法陣は僕の真下だけに現れている。

 不思議と動けず、僕は唖然とその光景を見ていた。

 もしかしてこれ……と、そこまで考えたところで一際強く発光した魔法陣に僕の体は飲み込まれた。














 気が付くと真っ白い空間。

 周囲には何もなく、目の前には一人の男が立っていた。


「よう、突然悪かったな」


 長ズボンにシャツを着た茶髪の男。

 歳は20くらいだろうか?

 若い上に顔も良い。

 

「あなたは?」


 僕が問いかける。


「俺はとある世界の管理を任されている神だ」


「そうですか、ここはどこなんですか?」


「おい、さては信じてないな?」


「いや、信じますよ。オタクなのでこういうのは知ってます」


 よくある異世界ものだろう。

 受け入れが早い気もするけど慌てても話は進まないのでとりあえず信じる。


「くくく、面白い奴だな。この空間は……そうだな、お前のいた世界と異界の間にある空間だと思えばいい」


 ってことはこれから僕は異世界に飛ばされるのだろうか?

 僕があれこれどうなるんだろうと考えていると神と名乗った男は口を開く。

 

「この空間には精神を落ち着けて説得しやすくする効果が働いてる。それにしてもお前の理解はかなり早い方だったけどな」


 ああ、だから僕は焦ってないのか。

 言われてみればリラックス出来ている気がする。

 心地良い状態だ。


「早い方ってことは他にもここに来た人がいるんですか?」


「それに関しては順番に答えていこう。お前は勇者召喚されたんだ」


「魔王を倒してくれみたいな?」


 そうだ、と神様が頷く。


「日本各地からそれぞれ選ばれててな、今回はお前を入れて4人が召喚された。ほかの3人は既に異世界に送る途中だ」


「日本からだけなんですか?」


「この手の話に関して理解が早いからな」


 ああ、なるほど。

 僕みたいなオタクもいるからね。

 ファンタジーとかネット小説とか色々流行ってるし。


「それで送る前に一人一人と直接会って好きな能力を与えている」


「ふむふむ」


 僕が言葉を反芻するように頷く。

 すると神様が言う。


「どんな能力がいい?」


「1人1個だけなんですか?」


「基本的にはそうだ、不公平になるからな」


 その言葉を聞いて考える。

 神様は言った。


 ―――基本的にはそうだ、と。


 つまり絶対ではない。

 例外、抜け道が存在する。

 色々と考えたところで思いつく。

 聞くだけはタダだなと、僕は提案した。


「賭けをしませんか?」










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