壱話「恋と真実」
長いですが読者様に自己満小説を読んでもらえるのであればありがたいです。
桜咲くある新学年の春。僕は恋をした。
緒方 利秋、成績・運動・顔面偏差値ともに全て普通。友達も多からず少なからず普通の日常を過ごしていたのだが...
「あぁぁぁきぃぃぃ!」
「りゅう?どうしたんだ。そんなに慌てて来て。」
りゅう、僕の昔からの友達で本名は西住 龍一。頭脳明晰・スポーツ万能・イケメン。こんなモテそうなスペックを持ってるくせに実はモテないのだ。その理由は...
「昨日発売したゲームの「俺嫁ハーレム」ってゲームを1日中やってたんだ!面白かったから秋に貸そうとおもって。」
そう。超ド級の世に言うオタクという奴だ
「いらね。それより、この前貸してくれたロスファンの新作出たら教えてくれ。あれ結構面白かったから。」
「あー。あれかぁ。次発売は来年あたりだろー。」
「そうかぁ。じゃあ発売したら教えてくれ。」
「おう任しとけ。あと、もう一つあるんだが」
「もう一つ?」
いつも通りの落ち着いた龍一に戻ってこう言い出した
「なんか今日転校生来るらしいぞ?超美女の。」
「え?なんて?」
「いや美少女の転校生来るらしいぞ。って。」
「お、おまえやっと現実を見る気になったのか...俺は友達として嬉しいぞ...」
と僕は泣きながら友達が成長した事に感動した。
「いや。全然興味はないんだけど...」
「え?はぁ?僕の感動と涙を返せよーてめぇ。」
「いや。秋が勘違いしたんだろ。ちょ、まて、俺を殴ろうとするな。」
教室に少し鈍い音が響いた。
「いてて...手加減をしろよな。せめて。」
「ごめんごめん。」
「んで、さっきの話なんだが。」
「美少女だっけ?」
「そう。その美少女ってのが有名アイドルらしいんだ。」
「アイドル?こんな平凡な高校に?冗談だろ?」
そう僕が笑いながら言うと
「いやこれが本当で教室に来る途中宿題を提出しに職員室に寄ったんだが、教員全員慌てててな。教科担の中野に聞いた話なんだが」
「中野センセー。これ宿題。何でみんな慌ててるんですか?」
「おー。西住か。はい。たしかに受け取った。今から話すことは他には喋んなよー。」
「喋んないですよー。秋に喋りそうですが。」
「まぁ緒方ぐらいならいいだろ。んで、理由は今日転校生が来るらしいんだ。」
「転校生一人でこんなに慌てるものなんですか?」
「いや。その転校生ってのが...元アイドルの美少女なんだよ。」
「へぇ。アイドルですか。」
「反応薄!」
「てなわけなんだよ。」
「確かにお前反応薄いな」
「まぁそういう訳なのよ。転校生て話も本当だからー。」
龍一はそういいながら自分の席に戻っていった。
ガラガラガラ。教室のドアから先生が入ってきた。
「皆さんおはよぉございまーす。」
「「「おはようございます」」」
「はい。では今日は転校生の方がいますのでそちらから紹介します。入ってきてくださーい。」
ガラガラガラ
その途端皆が騒ぎ始めたら
「あれ?この子...」
「ほ、本物...!」
「え?嘘でしょ...」
中には発狂する者もいた。僕もその子を見てみると。
「ん?あれ?どこかで見たことあるような...」
僕が頭を抱えて悩んでいると
「では、自己紹介お願いします。」
「はい先生。皆さんはじめまして。花沢 結衣菜と言います。前は仕事でアイドルをやっていましたが、普通の学校に通ってみたいと思ったので転校生してきました。よろしくお願いします。」
「「「うぉぉぉーー!!!」」」
クラス中が騒いでる中僕は思い出した。
「あ、思い出した。あの有名アイドルの花沢 結衣菜か。龍一が言ってたアイドルの転校生ってのはこの子か。」
「では結衣菜さん。あそこの空いている席に座ってください。」
コツンコツンコツン。花沢結衣菜が歩く先にみんなの目線が集まっている。
「あれ?こっちに来る...」
花沢結衣菜は僕の隣の空き席に座った。
「じゃあ緒方くーん?花沢さんに、校内案内などお願いします。」
「「「えーー!!」」」
一同が騒いだ。
「なぜあいつなんだ...」
「うらやましい...」
皆が影でコソコソ僕の事を言っているようだ。
「よろしくお願いします。緒方さん。」
「あ、よろしくお願いします緒方 利秋っていいます。」
「ではホームルームを始めます。今日の放課後学級委員の人は...」
先生が話している途中隣から話しかけられた。
「あの...今日の放課後校内案内してもらってもいいですか...?」
「え?あ、全然構いませんよ?」
そういった途端彼女の顔が凄い笑顔に変わった。
「ありがとうございます!では放課後お願いします!」
ーーー放課後ーーー
教室から他の生徒が居なくなるまで待って、校内案内に俺は向かった。
「最初にどこに行きたい?」
「そうですね...。図書館に言ってみたいです」
「図書館か、わかった。」
コツン、コツン。二人の足音が廊下に響く。
「休み時間大変だったね。皆から質問ばかりで。嫌いにはならないでやってくれない?皆、花沢さんと仲良くなりたくて質問攻めしてただけだから」
「分かってますよ。あのぐらいの質問攻めで他人を嫌いにはなったりしません。」
「そうか。それは良かった。」
「緒方さんは優しいんですね。」
「そう?ありがとう。」
そんな会話をしながら僕は校内を案内していった。
ーーー1時間後ーーー
「じゃあ最後にこの高校名物の校舎裏の桜を見に行こう。」
「校舎裏の桜ですか?それが名物なんですか?」
「まぁ意外な事にね。何年か前に卒業生が埋めた苗が育って今ではとても大きく育ったんだ。それが今では花見などの場所になっているだけなんだよ。」
「あれ...ですかね?」
「そうあれあれ。」
そこには大きな桜の木があった。
「この木は毎年3年生が世話を見てるんです。だから、毎年咲いてくれるらしいです。まぁ聞いた話なんですけどね」
「美しいですね世代の交代といいますか...」
そう、すこし悩んでいそうな顔をしている花沢さんを見て僕は昔の記憶を少し思い出した。
「昔...」
「昔ですか?」
「いや。なんでもないよ。少し小さい頃の記憶を思い出しただけだよ。僕、小さい頃頭を打って一部だけ
ど記憶が失くしたんです」
「記憶を失くしたんですか。それは辛いですね。実は私も昔頭を打って一部の記憶が失くしたんです。その後泣いていた私はテレビでしていたアイドルの番組を観て紛らわすためと自分もあんなふうにキラキラしたいと思ったんでアイドルやったんです。」
「そうですか。なんか二人の共通点がお互い頭を打って記憶失くしたって少し面白いですね。」
「そうですね。そろそろ暗くなって来ましたね。帰りましょうか。」
「そうで...」
その時、彼女の顔を見た僕は言葉を失った。優しい笑顔に懐かしい感じもする。僕はずっとこの笑顔を見ていたいと思った。
(なんだこの気持ち。すこし胸が締め付けられる感じ。もっと彼女を見ていたい。知りたい。)
そう。どう表現したらいいかわからないのだけど、簡単に言うと僕は恋に落ちたのであった。
その途端、頭に激痛が走った。
「う、うぁぁ。い、痛い。」
「緒方さん大丈夫ですか?しっかりしてください!」
僕はそんな彼女の言葉を聞きながら意識を失った。
誰かの声がした。
「大きくなって、.....だったら......約束しようぜ...」
そう、誰かの声は消えていった
「まって。あなたは誰なんだ!行かないでくれ!待ってくれぇぇぇぇぇぇぇ!」
「待ってくれぇ。」
僕は目を覚ました
「あれ...ここは...。学校の保健室。そうだ俺。頭に激痛が走った後気絶して..あれ。何か夢に見てた気がするけど。なんだっけ。」
ガラガラ。カーテンが開いた。
「あ!緒方さん。目を覚ましたんですね。心配しましたよ。いきなり叫び出したと思ったら意識を失ったんでとりあえず保健室に運びました。」
「ごめん。ありがとうございます。」
そういいながら時計の方に目を向ける。すると19時を過ぎていた。
「うぁっ!もうこんな時間。花沢さん。大丈夫?こんな時間まで付き合ってくれて。親御さんとか心配してない?」
「親には事情を説明しているので全然大丈夫です。」
その途端保健室の先生が帰ってきた
「あれ?緒方くん。起きたのね。痛いところとかない?」
「はい、大丈夫です。迷惑かけました。」
「じゃあ念の為、後日病院に行って見てもらってください。」
「ありがとうございます。では帰ります。」
「先生。ありがとうございました。」
僕達はそういいながら帰路に着いた。
次の日、僕は病院に行った。結果は医者でもわからなかった。正しくは、何もなかっただ。
医者曰く「何もなかったよ。多分ストレスで倒れたんでしょう。また倒れたら来てくださいね。はいじゃあ次のー…」でした。
そして倒れた日から数日が立った頃、花沢さんから「ねえ。今日一緒に帰りませんか?」と朝誘われた。
もちろん僕は「もちろん喜んで」と了承した。
---放課後---
「では緒方さん一緒に帰りましょう」
「は、はい!」
学校案内をした日、僕は花沢さんに片思いをし始めた。なので少し緊張している。
「あ、あの。緒方さん!」
「え?あ!はい!なんでしょう!」
花沢さんのいきなりの呼びかけに僕は動揺してしまった。
「実は今日誘ったのはお話したい事がありまして……」
「話…?」
(僕何かしただろうか。もしかして好きなことばれてた!?いやそんなはず。でももしそうなら「気持ち悪いです。もう近寄らないでください。」って言われるのだろうか)
「その、実はお話しないといけないことがありまして…」
「あ、はい…」
(もう覚悟はできた。言うならきっぱりと言ってくれ!)
「あの…大丈夫ですか?顔色が優れないようで……」
「あ、全然大丈夫です。気にしないで話を続けてください。」
「じゃ、じゃあ…。」
「あ、あの!緒方さん。私ずっと前から好きでした。私と付き合ってもらってもよろしいでしょうか?」
ん?いま花沢さんなんて言った?僕の聞き間違いか?僕が好き?付き合ってください?僕は幻聴を聞いたのか?
「あ、あの緒方さん…?どうかしました?」
「ん?あ、いや。僕はとうとう幻聴を聞いてしまったのかと。花沢さんが僕が好きで告白してきたって幻聴ですよね」と僕は笑いながら話した。
「あ、いや…幻聴ではなくて本当に言いました。」
「それで告白の返事を聞きたくてですね…」
「え。ええぇぇぇぇ!」
「わッ!いきなりどうしたんですか?」
突然のことで大きな声で驚いてしまって、花沢さんを驚かしてしまったようだ。
「あ、ごめんなさい。ただちょっと驚いただけです。あ、僕の家ここから近いんで家で話しましょう」
「そ、そうですね。こんな道路の真ん中でなんて他の人にも聞こえますよね。では行きましょう。」
僕なんで家に招いたんだろ今日はお母さんも妹もいるのに…そんなことを玄関前で考え込んでしまった。
(あぁ!こんなところで考えていては進まない!もうどうにでもなれ!)
「ただいまー!」と僕はガチャと玄関のドアを開けながら言った。
「あ、トシにぃ!お帰りなさーい!」
リビングから出てきたのは僕の妹で、緒方 千由美、兄の僕が大好き?で毎日べたべたしてくる僕の三つ下の中学二年生だ。
「おー。ただいま~。チユ。」
「おじゃまします。」
僕の言葉の後に花沢さんは続いてあいさつをする。
「お久しぶりですね。チユちゃん。」
「え?だれこの美人の人。トシにぃの彼女?てかお久しぶりって?」
僕も驚いた。お久しぶり?チユと会ったことあるのか…?そういえばさっき告白してきたときも「ずっと前から好きでした」って。ずっとってほど前から知り合いではないのになんでだろう?
「チユ~玄関で大きな声を出さないの~」
キッチンから出てきたのは母親だ。本名を緒方 利子といういっつもマイペースなお母さんだけども少し謎が多い人だ。先ほどまで一回の台所にいたのにいつの間にか二階の寝室にいたりとか。
「あれ?もしかして、結衣菜ちゃん!?お久しぶりねぇ~いつこっちに戻ってきたの?元気にしてた
~?」
「先月あたりです。おばさまもお元気でなによりです。」
僕とチユは話がついていけなくなった。
「え?母さん知り合いなの?あとチユとも。」
「あれ?トシは結衣菜ちゃんの事覚えてなかったのに一緒にいたの?」
「え?僕も花沢さんと知り合いだったの?」
「ええ。トシが6才ぐらいの時までお隣に住んでいてよく遊んでもらってたのよ。そういえばトシが無くした記憶の中にはこの頃の記憶も含まれてたわねぇ。あとチユはあんまり覚えてないのも当たり前かもね。トシ以外とはあまり遊んでなかったですもんねぇ」
え?昔お隣だったって?覚えていない僕も悪いけど何で何も教えてくれなかったんだろ。何か事情があるのかな。そういえば、花沢さんも記憶を少しなくしているんだよね。この頃の記憶があるということはもっと前か後の記憶をなくしてしまったのかな?
「そういえばトシにぃ小さい頃ほぼ毎日のように「隣に行って来る~」みたいなこと言いながら遊びに行ってたよね。」
「そうですね~。チユちゃんは時々緒方さんに連れられて来てましたね~。」
「それより結衣菜ちゃんは今日は遊びに来たの?」
「いえ。今日、緒方さんに告白したので返事を聞きに。」
「ええぇぇぇぇぇ!!」
チユの叫び声が家中に響いてとてもうるさかった。
「にぃ告白されたの!?なんでメールで教えてくれないの!?早めに言ってくれれば「にぃ、彼女できて
おめでとう!」パーティーしたかったのに~」
「いややらなくていいよ!恥ずかしい!それに最初から言うつもりなかったのに。」
「え~なんでぇ~!」
「こういうことになるからだよ!」
「結衣菜ちゃん。いや結衣菜さんこの子の事お願いします。」
「ちょっと何勝手に話を進めるの母さん!」
「緒方さん。いや、利秋さんの事は任されました。」
「ちょっと花沢さんまで乗らないで~!」
「わ、私じゃあいけませんか…?」
そういうと涙目にしながらこちらの顔を上目遣いで覗いてきた。
「ちょ、あの。いけないって訳じゃないけど…心の準備というものがありまして…」
「にぃ。何も準備することないじゃん」
「いや、あるって!」
「そうよトシ。男の子なら女の子の気持ち一人ぐらい抱えられなきゃ生きていけないわよ!」
「母さんまで。」
「大丈夫です。絶対に幸せにしてみますから!」
そんな花沢さんの言葉についツッコミをしてしまったのが失敗であった。
「そのセリフを言うとしたら僕が言うべきでしょ!」
あ!やらかした。
「え!では付き合ってもらえるのですね!私うれしいです!」
「いやそういう意味で言ったわk…」
「おめでとう!にぃ!じゃあ今からパーティーの準備だね!」
「さあ。結衣菜ちゃんも上がって行って!今日の主役は二人なんだから!」
「お言葉に甘えさせていただきます。おばさま。」
「おばさまじゃなくてお母様って呼んでくれたらいいわよ~」
「ではお母様。お邪魔します。」
「二人して話を進めないでよ~。花沢さんも夜遅くなるからご両親が心配するよね!?」
「心配ご無用です。もう連絡済みですので」
と携帯をギュッと握りながら言ってきた。
「そういうことなのでパーティーには出席いたします。あともう付き合っているのですし、お名前で呼ん
でください昔みたいに。利秋くん。」
「へ?あぁ。そういえばそうだったけど昔の記憶ないから昔なんて読んでたかわからないよ?」
「それでもいいのでお名前で呼んでください。」
「わかったよ。その…ユイ…でもいい?」
そう僕が名前を呼んだ瞬間花沢さんの顔が今まで以上に笑顔になった。
「は、はい…それでお願いします…。」
そう僕は花沢…いやユイの笑顔を見たかったんだ。と思いながら校舎裏の桜の木のことを思い出す。
すると突然また頭に激痛が走った。
「ま、また、かよ…」
うずくまる僕に周りが声をかける。
「え?トシにぃ!ねぇ!」
「トシ!しっかりしなさい!」
「利秋くん!」
皆の声が頭に響きながら僕はまた意識を失った。
次話の急展開に乞うご期待あれ!