第3話 この家の生活
それから、みんなが昼食を食べ終わった後だった。唐突に橙子がこんなことを言った。
「あのね、知也くん。私は仕事が忙しくて、あまり家にはいないの。
だから、家事当番でやる家事を決めているの。」
「仕事って何の仕事をしているのですか。」
「それは秘密よ。とにかく、これから家事当番を決めまーす。
まっ、もちろん私は家事をしないから、知也と蓮で決めるのよ。」
「はーいって、誰がそんなわがまま聞くか!!」
「蓮、俺が全部家事していい?料理はもちろん、洗濯とかも、ちゃんとするから。」
知也がすがるような目で見る。もちろんやっていいけど…
「えっ、あっうん。別にいいけど…なんかごめんね。」
「いいよ。お、お母さんもそれでいいかな?」
「うん。」と喜ぶばかりに橙子はうなずいた。
「次に寝る場所を決めるよ。この家は私の部屋と蓮の部屋が
あるんだけど、どっちに寝る?」
「俺はソファで寝ます。」
「えっ、でも、ソファで寝たら腰痛くなっちゃうよ。」
そうまっさきに言い出したのは蓮だった。蓮はなぜか知也と寝ることにこだわっていた。
「でも、俺、女の子と一緒に寝るわけにはいかないし。」
蓮は顔を少し赤くした。
「姉弟なんだから、一緒に寝るくらいいいでしょ。」
「だめだよ。そもそも、俺は一人で寝たいし。」
「わかったわよ。」蓮は怒った口調で言った。