第1話 再会
「はあ…はあ…やばい、遅刻しちゃう。」
少女はある人と会う約束をしていた。
「遅れてごめ…」
少女は思わず途中で言葉を止めた。そこには自分よりも背が高く、顔立ちのよい少年がいた。
その少年は少女に気づいたようだった。少女は声をかけた。
「君が広川知也くん?」
「そうだけど…」知也は少女を見つめ返した。
「私は広川蓮、よろしくね。じゃあ私の家に行こうか。」
知也と蓮は蓮の家に行くことになった。これからは知也と一緒に暮らすと思うと蓮はどきどきした。
蓮と知也は姉弟だった。しかし、物心つかないうちに両親は離婚してしまい、知也は父親と、蓮は母親と暮らすことになった。だから、蓮も知也も今日始めて会うようなものである。父親が交通事故で死亡してしまったため、知也は蓮たちと暮らすことになったのだ。
「君は前にどこに住んでいたの?」
「熊本の田舎のほうに住んでた。」
「いいなあ、田舎かあ…きっと空気がおいしいだろうな…。
そういえば、君は中1の13歳って聞いたけど…」
「そうだよ。」
「あっ、私より背が高いじゃん。身長何センチ?」
「160センチぐらいだけど…」
「へえ、背高いね。なんか、君と姉弟なんだし、君って呼ぶのはちょっとって思うんだけど…
と、知也って呼んでいい?」
「うん。じゃあ…そっちのことも蓮って読んでいい?」
蓮は「うん」と言った。家族が増えることにわくわくした。