0話目 どうやら俺はまだ不在なようです。
都内某テーマパーク。
休日のこの日は、カップルや家族連れで賑わっていた。
さらにこの日は有名なキャラクターのパレードもあると言う事で、裏方も大忙しだった。
そんな中、通り過ぎていくカップルを睨み、子供の食べているソフトクリームを
舐め回すに見つめている“不審者”がいた。
そんな彼を見るに見かねた、隣にいる女性が一括をいれる。
「リョウガ、さすがにその目はなんとかできないのですか?
気持ち悪いというか気味が悪いというか・・・はっきり言って不快です。」
リョウガと呼ばれた青年はチッ、と舌打ちをしながら返す。
「俺は変な目で見てるんじゃない。あいつらが変な目だと認識しているんだ。」
そういうとリョウガはさきほどまで飲んでいた『ゴッドサイダー!!!』の空き缶を道に投げ捨てた。
間髪いれず、彼の連れ人である白い髪の少年が拾い上げる。
「道にゴミを捨てるのはマナー違反ですよ。知らないんですか?」
彼はリョウガを一瞥すると近くのゴミ箱に空き缶を投げ入れる。
ガラン!という大きな音と共に空き缶はゴミ箱の中にシュートされた。
「というかそもそも、ここに捨てても後で係員が集めにくるだろぉが。」
リョウガはそうゆうと近くの出店でソフトクリームを購入した。
そして、その場で豪快にかぶりつく。その姿はまるで町を食うゴジラだ。
そして一口でクリーム全てを食べつくしたゴジラは残ったコーンを
白い髪の少年に押し付け、自分は再びジェットコースター乗り場へと向かう。
二人の“保護者”はそれを見て深くため息をつき、
「本当・・・救えませんね。」
「ですね。」
と、呆れながら自分たちも乗り場の方へ歩いていった。
そして、それから約十分後。
都内テーマパークは地獄と化した。