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奴隷王とご主人様  作者: ぐっすり
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第15話ー奉仕ー

 その日、セシルは城内に設置された特設会場でスケジュール通り奉仕活動に励んでいた。将軍になってもやっていることは名誉奴隷の時と変わらないのである。否、寧ろ魔手将軍という悪名が流布するようになってからの方がタチが悪いなどと心の中で考えていたが、そんな考えを打ち消す程、多種多様なおっぱいが彼に襲いかかっていた。この会場は防音の整った部屋で、入った者は胸揉み券の枚数分だけ声を気にすること無く魔手を味わうことが出来る。また自分の番を待っている者達は部屋の外で待機し、中の様子を伺い知ることは出来ない。これは今回イベントの企画立案にあたったエリスの配慮によるものである。エリス曰くー誰もが等しく新鮮な気持ちで味わえるーがコンセプトだとか。更なる配慮としては胸揉み券の裏に揉み方の要望記載欄がある。これを見てセシルは事前カウンセリングをし、彼女達の要望、否欲望に応えるのである。このカウンセリング時間は乳揉み時間と別に押さえてある点、宰相エリス侮りがたしと皆の思う所である。胸の種類も様々でエトワール国において神乳と呼ばれるアリシア女王のような巨乳を超越したおっぱいを持つ者、神ぱいというちっぱいを超越したちょっと心配なちっぱいを持つ者、突乳と呼ばれる通常の張り具合を超越した手を押しのけて突入してきそうな張りを持つ者、様々な猛者が集っていた。その多くは先日の祝宴に出席していた女性ばかりである。そして胸揉み券の裏面に記載のある要望も様々でー力強く、ストロングに、ハードに、優しく、恋人のように、自然に、ゆっくりと、素早く、丁寧に、上から、下からーなど様々に書かれていた。中にはーフォルテッシモに、先を重点的に、弧を描くようにダイナミックに、中央からエグルようにーなど個性的で本人に改めてヒアリングしなければ意味不明な要望まであった。また余りの気持ち良さに倒れるものも続出している。その辺に対してもエリスは有能でしっかりリスクマネジメントしている。セシルの隣には2名の看護要員を配置し、常に何が起きても対応出来るように隣の部屋にベッドを設置する力の入れようである。セシルは少ない休憩時間の中、ーこんなことに労力使うなら他に考えることがあるのでは?エリスさん。ーと心の中で叫んでいたことは誰も知らない。

 午前中から午後にかけてひたすら胸揉みを続けたセシルの表情にも流石に陰りが見え始めていた。既に両腕とも疲労困憊で指が乳を触っているのか肉を摘んでいるのかさえ分からない状況である。しかし、そこは彼が魔手将軍と言われる所以である。残り少なくなった彼女達にも本能で的確なスウィートスポットを責め続けていた。そして最後に本日の難関である10分ぶん胸揉み券を購入した女の子が登場したのである。彼女の名前はレイアと言い内務省で務める貴族である。なぜセシルが知っているかと言えばスケジュール表にそう明記されているからだ。セシルはー10分ぶんの金額はいくらだったのだろうーとこのVIP待遇のレイアを見ながらそう考えていた。

「あ、あの。私、あの時から我慢出来なくて。そ、それで奴隷購入資金に貯めていたお金全部使っちゃいました。きょ、今日は宜しくお願い致します。」

彼女のおどおどとした表情に似合わぬ大胆な行動にセシルは大きな戦慄を抱いていた。彼女はとても目鼻立ちの整った美人である。このようなことにお金を使わずとも他国であれば男の方が放ってはおかないだろう。

「こちらこそ、宜しくお願い致します。ご要望欄に特に記載が無いようですが。どのように揉みましょうか?」

「は、恥ずかしくて、書けませんでした。じ、実は先日の祝宴の時のように胸の先を重点的に責めて欲しいのです。ああ、私なんて破廉恥なことを。」

彼女は顔を真っ赤にしてそう答えた。でも目には言うことはしっかり言ったぞという強い意志を感じた。

「分かりました。ではご要望通り、先を重点的に責めたいと思います。時間がかなりありますので、他の要望も承ります。」

「で、では胸を絞るようにお願い致します、あの時のように。」

彼女が言っているあの時というのは祝宴のことであろう。セシルには身に覚えがなかった。だが、あの時は数百人を一気に揉んだため正直セシルも記憶が薄れているのだ。もし彼女の言う様な揉み方をしたとしたならそれは特殊であり、非常に悪いことをしたとセシルは罪悪感を感じずにはいられなかった。セシル本人も気づいていないことだが、彼の手はその女性の胸にあった乳揉みを常に実践している。そのため無意識にやっていても不思議ではないのだ。セシルは彼女が言うようにたわわな胸の先端部分を強く痛く感じない程度に責め始めた。

「はあん。そうです、もっと強くして頂いて構いません。」

彼女の息が段々と荒くなっていく。そして要望通り強く力を入れて胸を絞るように摘み揉んだ。

「いいっ、いいです将軍。そうです、この感じです。」

彼女はこの状況を10分近く耐えきり、そして最後の1分で更に強くするように要求して来た。

「これ以上は痛みが伴います。宜しいのですか?」

「か、構いません。そのまま締め上げ天国へと誘ってください。」

「分かりました、では行きます。」

そして更なる力を入れて彼女の弱い部分を強く引っ張りあげた。

「ひい、い、いぐ〜〜〜〜。」

彼女は意味不明な言葉を発しその場に崩れ果てた。すぐに看護要員達が彼女を隣の部屋に運ぼうと近づく。

そしてレイアは去り際にーああ、聖ソフィア様、ごめんなさい。この気持ち良さには抗えませんでした。ーと懺悔の言葉を口にしながら意識を失っていった。

 既に彼が会場入りしてからカウンセリング時間を含めて7時間が経過している。その間に休んだ時間はたった30分。少し外に出て気分を入れ替えたいと思い、そっと扉を開く。するとそこから急に声を掛けられた。

「セシル将軍、本日は長時間にわたる奉仕活動大変お疲れ様です。これから更にVIPな人達の対応して頂きますので、5分休憩の後この会場から特別室へご案内致します。ですので休憩時間はごゆっくりお寛ぎください。」

「たったの5分ですか?」

「はい、セシル様の体調に配慮した休憩時間5分です。この間に生理現象を含めた対応を行って下さい。」

「分かりました、ではお手洗いに行かせて頂きます。」

この恫喝とも取れるエリスの発言に気圧され、セシルはリフレッシュの時間より生理現象を済ませる方を選択したのだった。セシルは用を足しながらー鬼、悪魔、エリスーと心の中で叫び、短い休憩を終えた。そしてエリスに伴われ先程とうって変わった客室へと案内される。中に入ると2人の女性が待ち構えていた。パーシバルとティファニア大将軍である。セシルが部屋に入るなり彼女達はどちらが先に揉まれるかでもめているようだった。

「パーシバル、悪いがここは私に譲れ。」

「いえ、ここは決して譲れません。何なら剣技で勝負してでも先に揉んで頂きます。」

「ほう、まだまだ貴公の剣でやられるとは思えんがな。年長者を敬え!」

どちらも引く様子が見られないことを確認するとエリスは2人に声を掛けた。

「二人ともはしたない真似はお止めください。」

しかし、それはやぶ蛇だった。二人は標的を変え今度はエリスに襲いかかる。

「ほう、宰相殿。先程スケジュール表を確認したが、貴公の時間が30分となっている。宰相殿にしては珍しいミスをするものだ。」

そう言ったのはティファニアである。パーシバルもそれに賛同する。

「いえ、ミスではございません。この時間はアリシア様の了承を得てのものでございます。それにティファニア殿は先日のエルディア帝国訪問の際、船上にてセシル殿に大層可愛がって頂いたと聞きます。証人の騎士達も多数いる故、言い逃れは出来ないかと。わたくしから言わせれば15分でも長いくらいですわ。

「ぐぬぬっ。」

ティファニアは言葉にならぬ唸り声を上げた。

「あの者達、大将軍である私を裏切りよって。」

あの者達というのはセシルに随伴した騎士達のことである。彼女達は今回の奉仕活動対象から外れている。そしてエリスよりティファニアが更にセシルの魔手を味わえることを知り、その報復に情報を売ったのだ。セシルはこの時女性の怖さを身を以て体感する。ティファニアも旗色が悪くなりそれ以上は何も言わなかった。何より今確保されている15分が無くなる危機だけは避けなければならなかったのだ。戦術的撤退である。戦略上の撤退は何としても避けなければならない。エリスはパーシバルを残すのみとなった。

「エリス様、私は二人に納得がいってません。私の時間延長を要求致します。」

「パーシバル殿、あなたの剣の腕はこの国随一ですが、まだ将軍の任にも着いておりません。今回将軍の中には胸揉み券を購入して参加している者がいることを肝に銘じて下さい。あなたが今回この特別室に招かれたのはセシル殿の剣術相手として貢献して頂いているためです。ただ、わたくしもあなたの気持ちを理解しています。ではどうでしょう、パーシバル殿が最初に愛でて頂くというのは。わたくしは一向に構いませんが、ティファニア殿はどうでしょうか?」

パーシバルに反論の余地は無かった。彼女は名誉ある?一番槍を勝ち取ったのだ。これだけでも戦果は大きい。そう思いニヤニヤしながら納得するパーシバルの姿がそこにはあった。その場にいた他の2人は飴と鞭を上手く使われていることに気づいており、パーシバルがチョロすぎるチョロインであることを認識することとなった。

「ふん、わたしもそれで構わない。」

この現状を打破出来ないと悟り、ティファニアもぶっきらぼうにそう答える。

「ティファニア殿、そんなに怒らないで下さい。2番手は貴殿にお譲り致しますわ。」

彼女は一瞬考えた後、これ以上の議論は不毛と踏んで、仕方なくエリスの案を受け入れることにした。今回はエリスの策略にハマったが、心の中で次回のリベンジを誓うのだった。

「ではまず、パーシバル殿、次がティファニア殿、最後がわたくしということで宜しいですわね。」

二人とも言葉には出さぬが頷いて了承した。エリスは思った。ー全て計画通りです、二人ともチョロいですわ。ーと。セシルも今回の計画的犯行についてはティファニア将軍同様理解していた。そして今日程エリスを恐ろしいと思ったことは無い。セシルは心の中で再びー鬼、悪魔、エリスーと呟くのであった。

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