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奴隷王とご主人様  作者: ぐっすり
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第14話ー帰還ー

 リディアがエトワール国を訪れていたその頃、魔手将軍セシルはティファニア大将軍と他数名の騎士を引き連れ、ちょうどエルディア帝国最北端サリア川付近の港町タンジェまで到着していた。今回訪問した目的は今後エルディア帝国と同盟を結ぶにあたり実際の国の実情がどのようなものであるかを確認するためである。また、先日ファリス女王にリスト化して手渡していた人物達の引き取りも兼ねている。この者達はエルディア帝国前宰相レイムと関わりのあった者達がほとんどであり、何かにつけてファリスの若さを理由に彼女の行おうとする職務を邪魔する存在であった。ティファニア大将軍が随伴した理由はセシルのフォローもあったが、今後エトワール国軍で重兵の採用が検討されているため、その視察も兼ねている。またセシルに同伴した騎士数名は先日の祝宴に参加した者達であり、今回のエルディア帝国訪問に自ら志願していた。セシルは預かり知らぬことであったが、志願者は多数に上り、抽選で選抜されたという。一行は三日前にファリス女王に謁見し、滞り無く職務を全うしている。その際ファリスがセシルに胸揉みを要求したのは言うまでもない。彼女の話によれば食料も各都市に行き渡り、治安や物価も安定し始めているという。これについてはセシル自身エルディア帝国城下町のヨハネスクで確認している。またセシルはファリスの政権維持のため彼女と一緒にめぼしい人材を面接し、数人の採用を促した。周りから見れば越権行為であるが、彼女を補佐する新たな宰相や将軍が早急に必要だったからである。ファリス自身がいくら優秀であっても彼女一人の力でこの大きな国を維持することは難しい。その点では愛国心に溢れる若者数名を採用出来たのは極めて大きな成果と言える。ファリス女王はティファニアにも協力的で重兵の訓練や演習風景などを惜しみなく見せてくれた。今後同盟を結べば軍事協力もあり得る。彼女はその点に置いても理解しているのだ。たった1日の来訪ではあったが、ファリスはセシル達に感謝を述べ、丁重に送り出してくれた。このタンジェまでの道のりはエルディア帝国の兵士が案内してくれている。そのお陰で道中何事も無く、エトワール軍船が待つサリア川まで着くことが出来た。

 セシルがサリア川を眺めていると、後ろから声を掛けられた。

「セシル、引き取った者達や荷物は船に積み終わった。後は私達だけだ。そろそろ出発する。」

そう言ったのはティファニアである。あの一件以来、ティファニアはセシルと呼んでいる。以前のように彼を奴隷と蔑む様なことは無い。彼女なりに好意的に接しているのである。

「はい、ティファニア様。今参ります。」

そう答えてセシルはティファニアの後に続いた。

「セシル、サリア川を見ながらいったい何を考えていたのだ?」

「いえ、もし船以外での方法でここを渡河出来ればもっと両国の交流が深まるのではないかと考えていました。浅瀬など利用すればそう難しくないかもしれません。」

「ほう、いつから考えていた?」

「はい、先日のサリア会戦の時からですが。」

「貴殿は抜け目がないな。機会があればアリシア様に申してみると良い。きっと気に入るであろう。」

こうして軍船は対岸にあるエトワール国最南端の街グラナダを目指し進路を取ったのだった。この半日の船旅の間、セシルが彼女達に胸揉みを要求されることは彼自身知る由も無かったが。

 グラナダ到着から約1日休まずそのまま陸路を進みセシル達はようやく王都レイスに到着した。既に日は沈み肌寒くなっていた。彼らの到着をいち早く聞きつけた者がいたのか、エトワール城に到着した頃には城門付近にたくさんの女性達が待ち構えていた。彼女達は我先にと胸揉みを要求しそうな勢いであったため、アリシア女王から命を受けたエリスがそれを諌めた。一行もさすがの強行軍で疲れており、エリスの計らいもあってその日はゆっくり休むこととなった。ただし、帰りを待ちわびていたアリシア女王がセシルを自室に呼んだことは容易に想像出来た。

 翌朝、セシルはアリシア女王と添い寝していた彼女の部屋で目が覚めた。アリシア女王は既に朝食を終え、公務に励んでいるようである。ベッドにはまだ彼女の匂いが残っており、セシルは昨晩の彼女を思い出して急に股間に熱いものを感じていた。胸を揉む機会は多くなったが、セシルにとってもキスとなるとまた別の話である。ファーストキスの相手はアリシア女王であり、彼女との口づけは特別なものがある。そんなことを考えていると、ノックの音ともに扉が開き、エリスが入って来た。

「昨日は随分アリシア様と楽しんだようですね。その分今日はたっぷりと奉仕活動に励んでもらいますから、そのつもりでいて下さい。これが本日のスケジュール表となります。」

エリスは皮肉たっぷりに意地悪な口調でそれを手渡した。

「な、なんですか。この分刻みのスケジュールは?」

セシルもこれまでに見たことも無い内容である。本日のスケジュールと書かれた一枚の紙にはこれでもかと言うぐらいに胸揉みという言葉で埋め尽くされていた。最近の趣味として公言出来るぐらい胸揉みをしているセシルもさすがに驚きの表情を隠せなかった。

「普段冷静なあなたの歪む顔を見るとわたくしゾクゾクしますわ。ちなみに彼女達は対価を支払って今回の胸揉みイベントに参加しています。誰一人として手を抜くことは許されません。そのことを肝に銘じて下さいね。」

ー今日中に手の指紋が無くなるのでは?ーそんなことを考えながらセシルは奉仕活動と言う名の胸揉みをスタートさせるのであった。

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