木枯らしの魔女と眠れる森の王子
なろうラジオ大賞7
参加作品。テーマは「木枯らし」
ある国に心優しい村娘がおりました。
娘には草花や薬草の知識と、少々の治癒魔法が扱えました。
彼女はその力を使って、多くの病人や怪我人を治してきました。
しかしその魔法は初歩的で、薬は鎮静と鎮痛程度の効果しかなく、貴族たちには見向きもされませんでした。
そのため娘の活動は、助かる見込みのない重体の患者や末期の病人へと向けられたのです。
周囲からは見放された、手の施しようのない死を待つだけの人々を、その力で安らかな最期を迎えさせる。終末期医療と呼ばれる彼女の行動は、迫りくる死で恐れる人達の心の支えとなり、いつしか天使様と呼ばれるようになります。
それを快く思わないものいます。
死神や悪魔たちです。
死で恐怖し絶望する姿を見て楽しむ死神にとって、彼女の行動は目障りなのです。
そこで死神は娘に呪いをかけます。
触るもの全てが枯れて、朽ち果ててしまう呪いです。
触れた草木や動物は一瞬で枯れてしまいます。
次第に娘は周囲からは疎まれ、木枯らしの魔女として蔑まれるのでした。
それを不憫に思った花の妖精たちは、彼女の呪いを解こうとしますが、完全には解けませんでした。人には触れられますが草木は枯れてしまいます。
完全に呪いを解くには、彼女に“春”がやってくるしかありませんでした。
娘は放浪の旅に出ます。
何年かしてある国に辿り着きます。
その国は不思議なことに、国全体が大きな茨に覆われ、外部からの侵入を防いでいました。
娘がそれに触れると、呪いにより茨が次々と枯れて、そのまま進んでいくと大きな城が現れます。城内も全て茨に支配されていましたが、彼女によって枯れていきます。
中では多くの人達が眠ったままでいるのです。
娘は城の主である王子の部屋まで着きます。
ベッドには深い眠りにつく王子。
あまりの美しさに見惚れてしまいます。
娘は今までの経験から、この現象は植物の毒により昏睡状態に陥っているのだと気が付きます。
その毒を取り除くため、娘は王子にそっと口づけをします。
すると木枯らしの呪いにより、植物性の毒も消えてゆきました。
こうして王子は長い眠りから目を覚ますのでした。
王子達は悪い魔女により眠らされていたのでした。
王子は彼女に感謝すると共に、一目惚れしました。
娘もまた王子に恋をし、ここに“春”が訪れたのでした。これで彼女を束縛した木枯らしの呪いは消え去りました。
2人はそのまま結ばれ、妖精や人々から祝福されながら、幸せに暮らすのでした。




