進化
「んーっ、今日もやっていこう」
「ワフッ!!」
「うわっ!?」
ログインの後に体を伸ばしていると、犬の声と共に私の体が白い何かを受け止めた。
視線を落とし正体を見るとそこには、白い狼がいた。認識した瞬間、ピロンッと音がなりウィンドウが表示された。
『ボスモンスター《銀の狩人》のテイムに成功しました。報酬はメールボックスに転送されます。
称号《従魔を持ちし者》を取得しました。《銀の狩人》の名を設定してください。』
「情報多すぎ!」
でもメールボックスは見ちゃう!気になるから!
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ボスモンスター討伐及び従属報酬
【白銀狼の毛皮】5枚
白銀狼の毛皮。魔を弾き、呪いを克服する力を持つ
要求値 敏捷 70以上
【白銀狼の牙】
白銀狼の牙。魔を吸収し、返す力を持つ。
要求値 敏捷 40以上
【白銀狼の肉】
白銀狼の肉。喰らいし者に力と呪いを与える
要求値 無し
〈注意!〉この肉を食べると、魔族:人狼になります。
更に《呪詛:狩りの夜》をリアル時間で8時間受けます。
【白銀狼の血液】
白銀狼の血液。飲みし者に力を与える。汝にその覚悟はあるか?
要求値 無し
〈注意!〉この血液を飲むと、魔族の格が上がり進化します。
ただし激痛と狂気に侵されます。
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「なにこれ?」
「ワウ!」
いやいや、おかしいでしょ!?なにこれほんとに!?強すぎない?ボスってこんなに美味しいの!?
いや、とにかく元シルヴァに名前をつけなきゃ。現実逃避しないとやってられない!
「うーん、シルヴァ――シルバー、!!ギンなんてどう?」
「ワウッ!!」
安直?うるさい!
『銀の狩人に新たな名が与えられました。』
「ワウッ!」
―――2時間後―――
私は宿をとって、ベッドに腰掛けていた。
宿の部屋はセーフティルームになっていて、自分好みに変えることができる。
今あるのは、HPを回復する【回復の泉】と意志の力で物の姿を変える【錬成台】がある。
私は【錬成台】に【白銀狼の血液】を置き、魔力を集めて願う。
魔力は霧となり血の入った盃を覆う
「私は、新たな存在に進化することを願っている。その為に私は血を飲み、魔を喰らい、己が力とする。
どうか私に新たな力を!!」
そう唱え魔力を込め、まだ唱える。霧は濃く紅くなっていく。
「私の身は力を欲している。たとえそれがいかなる道であろうと。我が身に試練を!!」
その時に、私は更にすべての魔力を込めた。霧が晴れて、残っていたのは真紅の血液だった。
すかさず鑑定、及び配信開始。
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鑑定結果
【存在進化の血液】
これを飲むものは力を得る。狂気と痛みと共に。
汝にその覚悟はあるか?
〈注意!〉このアイテムを飲んだ場合、激痛と共に【状態異常:狂気】が与えられます。心して飲んでください。
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「覚悟……ねぇ。そんなものは決まっているよ!」
そう言い、私は盃を一気に飲み干す。口に広がる鉄の味と共に、全身を焼いた針に刺されたような痛みが押し寄せた。
「hぎゅえdhwdwんrfdべfげっ!!」
自分の口から出たとは思えないほどの声。それと共に私の心の底から湧き上がる歓喜に笑い声を上げる。
「あははははははははははははははははははは!!!!!!!」
素晴らしい!!心の底からそう思い、運営に感謝を述べる。
痛み!!力!!知識!!これほどに素晴らしいものがあるか!?いやない!!
狂っている?だから何だ!私はそれらを愛している!
「んjへvcげhぅえhdjwhづr3!!」
私は急いで【回復の泉】に向かいそれを飲み干す。
しばらくした後、全てが落ち着き賢者タ◯ムのような状態になった。
「素晴らしい!なんて素晴らしいんだ『AMO』!!これを私は求めていた!」
存在が進化した。らしい。
『種族が狂殺之吸血鬼に進化しました。』
その声を最後に私はログアウトした。