この女の真の目的は?
また、新たに書き始めました。皆様方、どうぞ宜しく御願い申し上げます!
田岡 陽翔は、見つけてしまったのだ。 スマート・フォンの小さな画面の中に光り輝くように、神々(こうごう)しい何かに包まれたかのように目立って仕方のないその文字列を。 とうとう、見つけてしまった、思った。 漸く出逢えた、感じた。 夢の中で待ち焦れていた、心が打ち震えた。 きっと出逢えると信じていた。「あ〜、何処かにいい女でもいないかな?いや、いるだけじゃなくてさ、俺のところに寄ってきてくれなきゃ意味ないんだけどさ!」 半分、ヤケっぱち気味にそんな独り言を吐きながらスマート・フォンの画面に眼を凝らしていた時だった。 あまりにタイミングよく目に飛び込んできたものだから最初、これは夢の中の出来事なのではないか、と疑ったが、ぱんぱんと自分の頰を平手で強く叩いてみたら見事に痛みを感じたので、夢ではないと判断したのだ。 見ていたのは、毎日のように閲覧や投稿に使用しているSNSメッセージ投稿アプリの画面であった。 その中の、ある人物による書き込み投稿が目に留まったのである。それは陽翔とその人物、お互いが相手を応援しようとフォロー・ボタンを押し合って、相互にフォローしているというの関係にあるという間柄であった。 そうかといって、お互い面識があるという訳でも何でもない。遭ったことなど一度もないのは勿論。プロフィール画面に記載された住まいの場所も、年齢も、すべてが身を守る為の虚偽のものである可能性だって否定は出来まい。 とくに相手は女性なようのだから、個人情報を晒すのは危険だと考えて、敢えて偽の情報を開示している可能性はネット界ではもはや常識でさえあるのだ。 画面に映っている本人だというプロフィール写真やアイコンの画像が果たして本人のものであるかどうかさえ、判断のしようはないのである。 そんな彼女(?と思われる)が書き込んだ投稿の内容であった。 以下。 ━━わたしには弟がひとり、います。愛する弟です。ですが、弟は難病と呼ばれる病気にかかっていて、手術をしないと助からないのです。手術をしないと余命は数年と医師から告げられています。でも、わたしにはどうしてもその呪術費用を工面する力がありません。それでも、どうしても弟の命を助けたいのです。そこでわたし、考えました。決意致しました。それはこういうものです。わたし、弟の為のお金のためならば、私自身を貴方様の中の、どなたにでもに差し上げます。わたしの人生のすべてを捧げるつもりております。ここまで言ってしまったのだから、端的に申しましょう。わたし、弟の手術費用を出して下さる男性とでしたらどなたとでも結婚いたします。御約束致します。年齢も御容姿もお仕事内容も、お住まいの場所も一切気に致しません。ですから、御願い申し上げます。わたしを貰って上げて下さいませ。。そして、弟を助けてあげて下さいませ。 以上の内容であった。
御読み頂きまして、誠に有難う御座いました。御意見、御感想など頂けましたら幸いです!