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vsブラックサンダー将軍/vsハッピーターンちゃん


 ここはお菓子の精霊が集うという精霊の国『お菓子パラダイス』だ。

 精霊の国には色んなお菓子の精霊が住んでいる。

 家は全部お菓子でできていてとても甘い匂いが漂う国だ。

 そんな国を治めるのはうまい棒仙人だ。

 うまい棒仙人は長年お菓子の国を引っ張ってきた。

 他の精霊の国とは争いをなるべく避けていたので、お菓子の国はとても平和かつすくすくと発展していった。


「さーて今日も工場の調子はどうウマか?」


 うまい棒仙人がうまい棒工場のことを考えつつのんびり過ごしているとその凶報は突如として届いた。

 部下の精霊がなにやら慌ててやってきたのだ。


「そんなに慌ててどうしたウマか?」

「のどが渇いたならうまい棒コーンポタージュ味でも飲むがいいウマ」


「飲んでる場合ではありません!!!」

「大変です仙人!!!」

「原材料の値上がりに耐え切れず、うまい棒が10円では無くなりました!!!」


「な、な、な、うまい棒が10円で無くなったウマか~~~」

「うまい棒最強の10円というアイデンティティが崩れたウマか~~~」

「遠足の300円で30うまい棒を買って配る子もいたのに、それが今後はいなくなってしまうウマか~~~」

「消費税が300円に入るかどうか議論している場合ではないウマ~~~」

「一大事ウマ~~~」


 うまい棒が10円ではなくなるというニュースに国が揺れた。

 今まで100円の物を買う際にうまい棒10本で交換することができていたが、今日からは上手く交換することができなくなるのだ。


「そろそろ国王の辞め時ウマか......」

「けど、次の国王をどうしようウマ......」

「......」

「そうウマ、国民それぞれに非売品のうまい棒空気味を渡して勝負で集めさせるウマ」


 次の日、お菓子パラダイスの住民全員にうまい棒空気味が配られた。

 そしてうまい棒仙人から説明があった。


「諸君、うまい棒が10円では無くなったのは知ってるウマか」

「いつも変わらないはずの物でもいつかは変わるウマ」

「この王国は今こそ変わる時ウマ」

「ここにお菓子の国のお菓子バトル開催を宣言するウマ」

「うまい棒空気味を賭けて周りの精霊と勝負し、最後まで勝ち残った者に次期国王の座を約束するウマ」

「では健闘を祈るウマ」


 次期国王の座をかけてお菓子の国のお菓子バトルが開催された。


 ******


 僕はビッグカツの精霊。

 ビックカツではなくビッグカツの精霊だ。


「次期国王の座か~」

「王様になったらちやほやされるカツかな~」

「ビッグカツの製造工場を倍に増やす夢も叶うカツな~」

「よし、早速だけどうまい棒空気味を集めるでカツ」

「どうやって集めるカツかな~」

「......」

「そうだ、近所のねるねるねるねおばあちゃんに聞けば何か分かるかもしれないでカツ」


 近所のねるねるねるねおばあちゃんの店に向かった。


「ねるねるねるねおばあちゃんいるカツかー?」


「ヒェーッヒェッヒェッヒェ」

「そんなに大声出してビッグカツ坊やは一体どうしたネル?」

「ねるねる魔法でねるねるしちゃうネルよ~」


「今、うまい棒空気味を賭けてお菓子バトルをやってるけど、どうやったら優勝できるか聞きたいでカツ」

「勝ったら次期王様になれるカツよー」


「そうネルね~」

「我が家に伝わる古くからの言い伝えによるネルと、人間と精霊が仲良くすると奇跡が起きるって言われてるネルよ」

「奇跡ってのが起これば国王でもなれるかもしれないネルね~」

「人間を探してとりあえずお菓子パワーでも与えてみたらどうネル?」


 お菓子パワーとはお菓子の精霊だけが持つお菓子のパワーだ。


「へぇ~、人間カツか~」

「人間にはまだ会ったことないけど、良いやつだといいカツな~」

「どこに人間が居るカツか?」


「神聖なるチョコマウンテンに人間の世界に通じる入り口があるらしいネルが詳しいことは分からないネル」


「チョコマウンテンにヒントがあるかもしれないカツね」

「これ以上は自分で探すカツ」

「そういえばねるねるねるねおばあちゃんは王様にならなくていいでカツか?」


「あたしゃこの店さえ守れりゃええネル」

「優勝頑張るネルよ~」


 ねるねるねるねおばあちゃんの店を後にした。


「ふ~ん、人間カツか~」

「どうやったら人間に会えるカツかな?」

「幼馴染のチロルチョコちゃんにでも聞いてみるかな」


 幼馴染のチロルチョコちゃんの家へと向かった


「チロルチョコちゃん居るカツか~?」

「......」

「うーん、今は家にはいないみたいでカツ」

「散歩中カツかな?」


 チロルチョコちゃんを探して歩き回った。

 歩いていると背後から声を掛けられた。


「よおビッグカツ坊や、探してたでサンダー」


「お、お前はブラックサンダー将軍」


「空気味のうまい棒を集めることで次期国王になれるって知ってるサンダーよな」

「俺様が国王になって皆を支配してやるからとっととうまい棒空気味を出すんだサンダー」

「弱きものは蹂躙されて当然サンダーよ」

「国王になったらブラックサンダー工場のために増税して世界をカカオマスで染め上げるサンダーよ」


「何を言ってるでカツ」

「お前が国王になったら国が亡ぶカツ......」


 小さい時からブラックサンダーに負けてきた思い出がよみがえる。


「ごちゃごちゃ言ってないでさっさとよこすでサンダー」

「サンダーストーム」


 ビッグカツ坊やの近くに多数の雷が降り注いだ。


「くっ、今は勝てないでカツ」


 ブラックサンダー将軍から逃げることにした。


「ほらほらどこへ行くでサンダー?」

「あんよが上手、あんよが上手」


「とりあえずチョコマウンテンに逃げ込むしかないでカツ......」


 そこからビッグカツ坊やは走り続けた。

 ブラックサンダー将軍は雷の攻撃力と雷の移動速度を持っているため、どれだけ走っても追いつかれた。


「とっととうまい棒空気味を渡すでサンダー」

「おっ?かくれんぼでサンダーか?」

「10秒だけ待ってやるでサンダー」

「い~ち、に~、さ~ん、」

「やっぱりやめたでサンダー」


 そう言うと同時にビッグカツ坊やの姿は消えた。


「どこ行ったでサンダー?」

「この俺様から逃げられると思うなでサンダーよ!!!!」


 ******


 ハッ...ハッ...ハッ...ハッ......

 ひたすらブラックサンダー将軍から逃げるために走った。

 手足の感覚が分からなくなるほど全力で走ったのは久しぶりだ。

 なにせ相手は雷の速度で動けるブラックサンダー将軍だ。

 全力で逃げても簡単に追いつかれてしまう。


「なんでこんなことになったカツ...」

「僕にもっと力があれば...」

「もっと力が欲しいカツよー!!!」


 そう願いつつチョコマウンテンの鳥居をくぐると奇妙な光で体が包まれた。


「な、なんだこれでカツ?」

「う、うわぁぁぁぁぁぁ」


「ここはどこでカツ?」


 目が覚めると見知らぬ土地にいた。


「あの細長くて二足歩行をする生物はなにカツ......」


 目の前にはよく分からない生物がたくさん歩いていた。


「早くブラックサンダー将軍から逃げないと......」

「あ、あれ?ブラックサンダー将軍は?」


 気が付くとブラックサンダー将軍はいなくなっていた。


「とりあえず逃げ切れたでカツか......」

「たしかチョコマウンテンに居たはずカツが...」

「も、もしかしてこれがねるねるねるねおばあちゃんの言っていた人間界ってやつカツか!?」

「もしそうならあそこを歩いている生物は人間カツか!?」

「これは確かめないといけないでカツ」


 そう思ってまずは近くの人間らしき生物に話しかけることにした。


「こんにちはでカツ」


「あ~何か変な生物がいる~」

「君だれ~?、どこから来たの?」

「名前は何て言うの?」


「僕はビッグカツの精霊でカツ」

「ビックカツじゃなくてビッグカツの精霊でカツよ~」

「気軽にビッグカツ坊やって呼んで欲しいでカツよ」

「お菓子パラダイスって国に住んでたんだけど、ブラックサンダー将軍に追われて逃げてきたカツよ」

「君の名前は何て言うカツか?」


「僕の名前は勝カツオだよ」

「マヨネーズ小学校の小学5年生さ」

「何でブラックサンダー将軍ってやつに追われてるの?」


「うまい棒が10円じゃなくなったから、次の国王を決めるお菓子のバトルが開催されたでカツ」

「それで空気味のうまい棒っていうお菓子をたくさん集めると国の王様になれるカツ」

「持っているうまい棒空気味を手に入れるため、ブラックサンダー将軍に襲われたでカツ」


「うまい棒空気味!?」

「なにそれすっごい興味あるんだけど」

「空気で味付けしたうまい棒でしょ?」

「食べてみたい!!!」


「ダメでカツ!!」

「これ1本しか無いでかつ」

「無くなったらブラックサンダー将軍の野望を止められなくなるでカツ」

「代わりにビッグカツならあげるでカツ」


「うまい棒の空気味は気になるけど1本しかないんじゃしょうがないね」

「代わりにビッグカツちょうだい」


「ビッグカツは魚のすり身のカツでカツ」

「ビッグカツならいくらでも出してあげるでカツ」


 お菓子パワーを使ってビッグカツを召喚した。


「おおおおおお」

「ビッグカツ坊やってすごいんだね!!!」

「じゃあいただきまーす」


 カツオは美味しそうにビッグカツを食べた。


「んー美味しい」

「何だか体の中から力が湧いてくるみたいだ」

「じゃあ休み時間が終わるから授業に戻るね」


「待って欲しいでカツ」

「僕と友達になって欲しいカツ」

「そしてブラックサンダー将軍と戦うのを見守っていて欲しいでカツ」


「えー、友達は良いけどブラックサンダー将軍との戦いはなんか怖いな~」


「別にブラックサンダー将軍と戦って欲しいわけじゃないでカツ」

「見守るだけでいいでカツ」

「これも何かの縁でカツ」

「ビッグカツをもう1枚あげるでカツからお願いカツ」


「んー、しょうがないな」

「いいよ」


「やったーでカツ」

「じゃあカツオについて行くでカツ」


「えっ!?こんな変なの教室に連れてったら笑われるよ」


「変なのとは失礼でカツ」


 教室にビッグカツ坊やを連れて行くと一瞬で人気者になった。

 そして驚くことに先生や大人にはビッグカツ坊やの姿が見えないのだった。

 クラスの皆で話し合った結果、ビッグカツ坊やをクラスで飼うことになった。


「僕はペットじゃないでカツ」


「まあまあ、細かいことはいいじゃん」

「これでクラスにビッグカツ坊やを連れて行っても問題なくなったんだし」

「それより聞いてよ」

「今までできなかった鉄棒の逆上がりができたんだよ」

「もしかしたらビッグカツ坊やのビッグカツを食べたからかもしれないよ」

「だってあの時、体に変な力が湧いた気がしたもん」


「ねるねるねるねおばあちゃんが言ってたことは本当だったカツか!?」

「どうやらお菓子パワーで作りだしたお菓子を人間が食べると特別な力を発揮するっぽいでカツ」


 ******


「......」

「それでビッグカツ坊やは見つかったでサンダーか?」


「いいえ、まだ見つかっておりません」

「それよりも気になるものを見つけました」

「ビッグカツ坊やの消えた場所の近くにある神社の鳥居をくぐると、見知らぬ世界に繋がっておりました」

「おそらくビッグカツ坊やがブラックサンダー将軍から逃げきることができたのも、その鳥居が原因かと思われます」

「ビッグカツ坊やはその世界に逃げたものと思われます」


「よくやったでサンダー」

「よし、追っ手をその世界へと差し向けるでサンダー」

「まずはその世界の情報収集を優先するでサンダー」


 ******


「凄いよビックカツ坊や!!!」

「ビッグカツ坊やの出してくれたビッグカツのおかげで、逆上がり以外にも二重跳びができるようになったんだ」

「ありがとう!!!」


 あれから1週間ほどカツオのそばにいて分かったが、ここは日本と呼ばれる国だそうだ。

 そして子どもたちからは精霊の姿が見えるが、大人からは姿が見えないらしい。

 そして何より、僕たち精霊の出せるお菓子がこの世界では普通に売っているらしい。

 しかし、その売っているお菓子をカツオが食べても特に変化は無いようだ。

 お菓子パワーで作ったお菓子は特別らしく、それを食べた場合のみカツオに変化があるようだ。


「どういたしましてでカツ~」


 ビッグカツ坊やは少し照れながら答えた。


「ねえビッグカツ坊や」

「最近学校で幽霊が現れるって噂になってるけどもしかしてビッグカツ坊やのことだったりして......」

「音楽室や理科室で笑ってたりした?」


「えっ!?僕は幽霊じゃないでカツ」

「そもそも音楽室にはまだ行ったこと無いでカツ」

「何者かは分からないでカツが、その幽霊を見に行くでカツ~」


「ええー!?」

「幽霊なんて見たくないよー」

「そもそも居るかどうかも分からないんだよ」


「居なかったらそれはそれで大丈夫でカツ」

「幽霊と言えば夜!!」

「さあ、今日の夜にでも行くでカツよ」


 そう言ってカツオとビッグカツ坊やは深夜の学校に忍び込むことにした。


「ううー深夜の学校は暗くて怖いなー」


「何を怖がっているでカツか」

「この僕の偽物がいるかもしれないでカツ?」

「ちゃんと探索するでカツ」


 クラスのマスコット的存在になっているビッグカツ坊やは偽物がいるのを許せないらしい。

 1時間ほど幽霊のいそうな場所を探してみたが幽霊には出会わなかった。


「やっぱり幽霊がいるなんて噂、嘘だったんだー」

「やーい、幽霊と間違われてるビッグカツ坊や~」


「そんなー」

「僕は幽霊じゃないでカツ~」

「ビッグカツの精霊でカツ~」


 そう冗談を言い合っていると音楽室の方から笑い声が聞こえてきた。


「ハッ......ハッ......ハッピ......」


「ぎゃああああああ」

「幽霊だー!!」

「ビッグカツ坊やにそそのかされて来なければ良かった~」


「近づいてみるでカツ」

「見てみないことにはまだ幽霊とは決まってないでカツ」


「ハッピーハッピーハッピッピー、ハッピーハッピーハッピッピー」

「ハッピーハッピーハッピッピー、ハッピーハッピーハッピッピー」

「ハッピーハッピーハッピッピー、ハッピーハッピーハッピッピー」


 不思議な生物が奇妙な歌を歌いながらピアノの周りをふわふわ浮いていた。


「ん?」

「こんな夜遅くに学校にお客さんが居るなんて聞いてないでハピ」

「こんにちは、私はハッピーターンの精霊でハピ」


「お前はハッピーターンちゃんでカツか!!!」

「こんなところで何してるでカツ」


「あっ!?」

「お前はビッグカツ坊やでハピか!?」

「探していたでハッピー」

「お前がこの世界にいることをブラックサンダー将軍に伝えればお礼に重要な役職になれるでハピ」

「ハッピーハッピーハッピッピー」

「いや、今この場でお前の持っているうまい棒空気味を奪って、ブラックサンダー将軍への手土産にしてやるでハピよ」


「何だとブラックサンダー将軍の手先だと」

「普段は温厚なハッピーターンちゃんが何故こんなことに」

「まさかブラックサンダー将軍のブラックオーラにやられてしまったというカツか?」


「いくでハピよ」

「ハッピーハッピーハッピーパウダー」


 ハッピーターンちゃんはハッピーパウダーをピアノに振りかけた。


「ピアノが浮いているでカツか!?」


 次の瞬間、浮いたピアノがビッグカツ坊や目がけて飛んできた。


ドーーーーーン


「ビッグカツ坊や大丈夫!?」


「アイタタタでカツ」

「間一髪で避けられたでカツ」


「運のいいやつハピな」

「だがそう何回も上手く避けられるでハピかな?」

「ハッピーハッピーハッピーパウダー」


 ハッピーターンちゃんはハッピーパウダーを机と椅子に振りかけた。

 次の瞬間、たくさんの浮いた机と椅子がビッグカツ坊やを襲った


ドーーーーー-ーン


「ビッグカツ坊やぁぁぁぁぁぁ!!」


 ビッグカツ坊やの腕が机と椅子の隙間から見えているが、反応が無い。


「ハッピーハッピーハッピッピー」

「さっさとうまい棒空気味を渡さないからこんな目にあうでハピ!!」


「そんな.......そんな......」

「短い間だったけどたくさん一緒に遊んだんだ......」

「どうしちゃったんだよビッグカツ坊や......」

「起きてよビッグカツ坊や......」

「友達にもなったし、こんなにたくさんのビッグカツをくれたのに」

「どうして......どうして......」


「お主はもしや人間と呼ばれる存在でハピか?」

「こちらの世界の情報を少しでも集めたいでハピ」

「お主をハッピーパウダーで操って連れ帰るでハピ」


「うおおおおおお」

「ビッグカツ坊やに何てことするんだぁぁぁぁぁぁぁ」


 カツオはハッピーターンちゃんに殴りかかった。


「ハッピーハッピーハッピッピー」

「そんな攻撃当たらないでハッピー」

「ハッピーハッピーハッピーパウダー」


 ハッピーターンちゃんはハッピーパウダーをチョークに振りかけた。

 チョークが空を飛び、カツオ目がけて飛んでいった。


「イタッ......イタタタタタ」


「さっさと降参して大人しくハッピーパウダーを被るでハピよ」


「イタッ......」

「どうすればいいんだ......」

「......」

「あっ、そうだ!!」

「ビッグカツ坊やに貰ったビッグカツを食べてパワーアップすればハッピーパウダーに対抗できるかもしれない......」


 カツオはポケットにしまってあったビッグカツの袋を開けて食べ始めた。


「ザクザク感が美味しいなー」


「ふん、ビッグカツを食べた程度で何か変わるハピか?」

「ハッピーハッピーハッピーパウダー」


 ハッピーターンちゃんはハッピーパウダーを鉛筆に振りかけた。

 先のとがった鉛筆がカツオ目がけて飛んでいった。


「フッ......」


 カツオ目がけて飛んでいった鉛筆をカツオは反復横跳びで避けた。


「な、なんだとハピ!?」

「その瞬発力、いったいどこから......」

「まさかビッグカツを食べて強くなったとでもいうハピか!?」

「ハッピーハッピーハッピーパウダー」


 ハッピーターンちゃんはハッピーパウダーを黒板消しに振りかけた。

 黒板消しがカツオ目がけて飛んでいったが、カツオは反復横跳びで全て避けた。


「くー、小癪なやつでハピ」

「ハッピーハッピーハッピーパウダー」


 ハッピーターンちゃんはハッピーパウダーを窓ガラスに振りかけた。

 窓ガラスがカツオ目がけて飛んでいったが、それもカツオは反復横跳びで全て避けた。


「ビッグカツの力は無限大だ」

「ハッピーターンちゃん、覚悟するといい」

「正義のビッグカツパンチ!!!」


ハッピーターンちゃんは攻撃され、ふよふよとその場に落ちた。


「ん......僕は何をしていたでハピか?」

「うーん、思い出せないハピ」


「......」

「正気に戻ったの?」


「君は誰ハピか?」


「僕は勝カツオ、さっきまで君に襲われていたんだ」

「それよりビッグカツ坊やをなんとかできない?」


「なんとハピ!?」

「それはすまなかったでハピ」

「この部屋の惨状は僕のせいハピね」

「なんとかするでハピ」

「ハッピーハッピーハッピーパウダー」


 机や椅子、窓ガラスが全て元通りに戻った。


「うーん、良く寝たでカツ」


 聞き覚えのある声が後ろから聞こえた。


「ビッグカツ坊やぁぁぁぁぁぁ」

「会いたかったよ」

「もう大丈夫なの?」


「大丈夫でカツ」

「机と椅子が飛んできたときはもう駄目かと思ったでカツ」

「もしかしてカツオがハッピーターンちゃんを正気に戻してくれたでカツか?」


「そうらしいでハピ」

「カツオに感謝だハピ」


「カツオありがとうでカツ」


「ビッグカツ坊やが生きて戻ってくれただけで満足だよ......」

「それにビッグカツ坊やのおかげでもあるんだ」

「これ......」


「僕があげたビッグカツじゃないでカツか」


「困ってどうしようもなくなった時にこのビッグカツが助けてくれたんだ」

「だから今回の勝利はビッグカツ坊やのおかげでもあるんだ」


「そうだハピ」

「このうまい棒空気味をビッグカツ坊やにあげるでハピ」

「正気に戻してくれたお礼ハピ」


「わーいありがとうでカツ」

「......」

「カツオ、うまい棒空気味がどんな味か気になるでカツよね」

「ここに2本あるから1本食べてもいいでカツよ」


「ううん、いいよ」

「ハッピーターンちゃんをブラックオーラで無理やり従わせるブラックサンダー将軍が王様になるなんて間違ってるよ」

「僕はこの1本をビッグカツ坊やにあげるよ」


「カツオ......」

「ありがとうでカツ」

「この1票、しかと受け止めたでカツ」

「そういえばハッピーターンちゃんはこれからどうするでカツ?」


「一旦家に帰ろうと思うでハピ」

「今まで壊してきたものを直して謝ってからまた遊びにくるでハピ」

「あと、ハッピーターンをプレゼントするハピ」

「これで皆をもっとハッピーにするハピ」


「ありがとう、ハッピーターンちゃん」


「行ってしまうでカツか」

「うまい棒空気味を持っていないから襲われないとは思うでカツが、気を付けるでカツよ」


「気を付けるハピ」

「バイバイハピ~」

「ハッピーハッピーハッピッピー」


「カツオ、今日はありがとうでカツ」

「カツオのおかげでうまい棒空気味が手に入ったでカツ」


「気にするなって、友達だろ?」


「そうでカツ~」


 ビッグカツ坊やと一緒に仲良く家に帰った。


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