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水巫女はハレムで溺れる  作者: 愛月なみ
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夢の中の泉の出会い(3)

「やっぱり違う?」


 うかがうように少し背をかがめて顔を覗きこまれて、思わぬ至近距離のきりっとした瞳が鋭くてドキリとする。


 なんか色々この夢は大変。


「あの、一応誤解がないように確認させてもらいたいんですけど……

娼館って、あの女性が男性のお相手をするそういう場所のことですよね」


 軽い頷きで肯定がかえってくるとなんだか恥ずかしくていたたまれなくなった。


「それなら、違います。

私、そういうのとは関係なく……

裸で驚いたとは思うんですが、家にいたはずがほんとにいつのまにやらこんなところに…… っくしゅ!!」


 説明していたのに体がひえたのか盛大にくしゃみをしてしまった。


 まわりに目をむけると木々の間からみえる空が少しピンク色になってきている。



 夢なのに日が暮れて、下がる気温にあわせてくしゃみするなんて、この夢すごい!!


 今までみたことのないようなリアルな夢に驚いている私の腕をつかんだままだった彼は隣に立つとぐっと肩をだいてきた。

 

 思わぬ急接近にかっと顔に熱があがった。

 

 裸に一枚布をまいただけの姿でこんなに男の人と接近するなんて初めてで、いい年して恥ずかしいけれど、聞こえてしまうんじゃないかと心配になるぐらい心臓の音がうるさかった。

 

「俺、体温高いから近くで触れてたら寒くないんじゃない?」


 彼の言葉に少し気持ちを落ち着けてみると、確かに彼の手がつかんでいる肩がほんのり温かい。

少しだけ触れ合っている体の右側もじんわりと熱を感じる。


 ずいぶん体温の高い人なんだな。

 

 くしゃみをした私のことを気遣っての対応だったのに真っ赤になった自分に今度は恥ずかしくなる。

 

「あのさ、何があったか、もう少し聞いてもいい? 俺も助けになれるかもしれないし」


 彼のマントにくるまった私にそう聞いてきた。

それはそうだろう。 こんな場所で裸でいたんだもの、不思議に思わないはずはない。


「座って話そうか」


 彼のうながしで二人で木々に隠れるように一際大きな木の根元に座った。


 彼の手はまだ私の肩にまわされたまま。

 いやでも、体はぴったりくっついて、どうみてもラブラブカップルがイチャイチャしているようにしか見えない体勢。

 

 やばい!!

 これは恥ずかしい!!

 

 でも、彼のイケメンフェイスをみなくてよいのは少しいいかもしれない。

これで顔が見えてたら、恥ずかしすぎる。


「何があったか……といっても、私もほんとによくわかないんです」


 ほてった顔を見られたくなくて、少しうつむき加減で状況を説明する。

 

「自分の家のお風呂につかっていたんです。

で、お湯に潜って、浮き上がったらここにでてたんです」


 端的に状況を説明したつもりだったけれど、自分でも何言ってんのと思う。

 


 ……沈黙が痛い。

 



「あ!!あの!!自分でもおかしいと思うんだけど!」と声をあげて彼のほうを振り仰いだと同時、彼も私のほうをふりむいた。


 ぎゃー!!

 間近で顔みちゃった!!

 この、少しきつめな目が!!たまらん!!

 

 どちらかといえば強面系がタイプの私の好みぴったりの顔が至近距離にあって続きを言うこともできず、ぽかんとしてしまった。

 

「精霊によばれたのかもね」


 だから、彼が最初いったことがよく理解できなかった。



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