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水巫女はハレムで溺れる  作者: 愛月なみ
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夢の中の泉の出会い(1)

 ぶくぶくと頭まですっぽりと温かいお湯につかっていると、ぐらりと体が傾いだ。

温かったのにひんやりとした流れを感じる。


 冷めたのかな?


 浴槽のふちをつかもうと伸ばした手はいつまでも水から出ることはない。


 え?


 慌てて立ち上がろうとしたところで今まで座っていたはずの床の感触もなく、水の中に放り込まれたような360度水に囲まれた感覚に驚いてとにかく重力に逆らって上と思われるところへ急ぐ。


 足で水を蹴って。


 いつの間にかお湯は冷たい水に変わっていた。


 息が苦しい。

 あんなに潜っているんじゃなかった。


 何が起きているのかわからないけれど、とにかく水からでないと。


 何度目かの足の蹴りで手が、そして頭のてっぺんが水からでた。


 ざぱっと勢いのよい音がして首から上が水上にでる。


 はぁはぁと荒い息を吐いて、ありがたい空気をたくさんたくさん吸い込みながらまわりを見渡す。


「え……

 どこ、ここ?」


 狭い単身用の浴室だったはずが木に囲まれた泉のような場所にでていた。


 とにかく一度、水からでて落ち着こうと岸を目指しながら息を整える。


 岸に手をかけたところで気づいた。


 私、服着てない!!!! 裸!!


 ふんわりとした苔のような芝のような緑が生えた岸に両腕をのせて自分の状況をもう一度考える。


 私、裸。

 ここ、知らないところ。

 さっきまでお風呂に入っていたはず。


 …………。


 うん、これはきっと夢だ!!

 そうだ!!


 よくお風呂につかったまま寝てしまうことあるし。


 そうだ、そうだ!!


 それならここをもう少しゆっくりみてみようかな。


 夢では自分の意思と違うことをしてしまうことが多いけれど、この夢は随分私の意識がしっかりしている。


 そういうこともあるのかな。


 もう一度まわりを見回してみる。


 とても静かな、そして綺麗な場所。


 他には誰もいない。


 小学校のプールぐらいの広さがありそうな楕円形の泉の端に私はいて、そのまわりは木々におおわれている。


 どこも緑が深い。


 泉のまわりは少し苔や芝がはえていて、しっとりとして周りの樹木の緑とあいまってとても水気にみちた場所に感じる。


 マイナスイオンたっぷりって感じ。

 思わず深呼吸してしまう。


「はぁーー」


 たっぷり深呼吸して新鮮な木々のあいだを抜ける空気を肺いっぱいにいれる。


 夢なのにこんなほんのりとした香りまで感じることができる。

今日の夢はなんだかすごい!!


 せっかくなのでもう少し木の先を見てみたい気もするけれど、裸だしなぁ。


 いくら夢とはいえ、なかなか勇気がいる。


 どうしようかなぁ。

と、少し考えたけれど「どうせ夢だし!」と結論づけて、えいやっと岸にかけた両腕に力をいれて体をもちあげて膝を岸にかけたところで空気がふわりと動いた気がした。


 ふと顔をあげると木々の間を歩いてきたと思われる男性が驚いた顔をしてこちらをみていた。


 それはもう、ぽかんとした、鳩が豆鉄砲を食ったようとはこういう顔なのだろう。


 でも、それでも損なわれないなかなかのイケメン。


 年齢は18から20くらいで私より多分、年下。


 長袖の服の上から生成色の布を首元にまいて背中にながし、腰のベルトでとめてあるようだけどそれでも長くてふくらはぎぐらいまできている。

 同じ生成のズボンにサンダルのようなものを履いていて、腰のベルトには長い剣のようなものが吊るされている。


 私のまわりではお目にかかったことのない服装だ。


 黒髪は短く整えられていて、きりっとした黒眉は精悍な印象をうける。

しっかりとした眉のしたには青い澄んだ瞳がこちらをじっと見据えている。


 この間数秒。


 はっと我に返って自分の姿を思い出し


「きゃーー!!」


 夢とは思えないほどの大声で叫んだ。

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