石と猿
一匹の猿が、足元に転がっていた美しく光り輝く石を手に取ると、不意に遠くに投げた。その行動に特に意味はなかったが、あえて言うなら暇を潰す為である。
それを見ていた仲間の猿達も、真似をする様に足元に転がっている、大小様々な色の石を投げ始めた。やがてその行動は、「仲間より、いかに石を遠くに飛ばすか」、といった遊びになり、猿達はその遊びに夢中になった。
それからしばらくして、空腹に気付いた猿達は石投げを止めて、バナナのなる木へと移動していった。
桃太郎のお供として、鬼を退治した褒美に与えられた金銀財宝も、腹の足しにもならなければ無価値のようだ。