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7品目 〜煮込みハンバーグ〜

大変お待たせしました更新します

さて、何食わせてやるかねあのクソジジイ…

塩分たっぷりの味噌汁でも作ってやろうかあのハゲ…


「え、えと…何を作るのですかっ!」


「めちゃくちゃ塩濃いもの…」


「殺す気ですかっ!?だ!ダメですよ!」


「えー…だめ?」


んだよ…じゃあ真面目に調理するか…まぁ塩分たっぷりなもん作って不味いとか言われたら実力行使に出ちまうからな!多分魔法で消し飛ばされるけど!!


「…はぁ、私にも食べさせてくださいね?あまり期待はしていませんが」


「ねぇ俺のことそんなに嫌いなの?お姉さん」


「えぇそんなことはありませんよ?さぁこちらが厨房になります」


笑顔で返事してくれる受付嬢のライラさん。これ絶対俺のこと嫌いでしょ…まぁいいや、とりあえずここが厨房ねぇ、火おこしとか大変そうだけどまあまそれはレベッカの家でもそうだったし…


「あざーす、とりあえず食料の代金とかはあのハゲにお願いしますねー」


「タカシさん…これで気に入っていただけなかったら首が消し飛びますよ…?」


「まぁなーに気にするな、料理人たるものどんな身分のやつだろうとかね払えばうまい飯作って食わせてやるさ、例えそいつが強盗でも魔王でも勇者に王族でもな、ただし無銭飲食は許さねえ!」


「そ、そういうものですか…?取り敢えず私も何か手伝いますが…」


「…ねえ、包丁の持ち方わかる?」

「あっひどい!私魔法は確かにてんでダメですけど料理スキルがゼロなわけではないですよっ!」


むぅ、と口を膨らませて俺に言ってくるレベッカ、もちろん可愛い。まぁそんなことよりも作るもの決めなきゃな…老人にはあっさりしたものが良さげだけどなぁ、あのおっさん…何が好物だ?


「ねぇ、あのおっさんの好み知らん?」


「そうですねぇ…一度うちの家で取引がてら両親と会食していたのに同席させていただいたのですが…お肉が大好きでしたね…まぁ10年も前の私が小さい頃の話ですけど…」


10年前のロリレベッカちゃんについて詳しく…ではなく…ふぅん肉ねえ、ただあのおっさん歯が弱くなってるとか言ってなかった?肉ねえ…


「…あっ、あったわ柔らかい肉料理」


「や、柔らかいお肉ですか!そ、そんなもの高価すぎて恐らくここのギルドの食堂の厨房なんかにはありませんよ!?」


あるじゃないか、老人でも食えそうな柔らかく、塩分たっぷり…じゃないやつ、できれば胃に優しいものにしてやるか、俺やっさしい!


「ま、牛肉と豚肉さえありゃ作れるさ、題して『煮込みハンバーグ』だっ!!」


「に、にこみはんばあぐ…お肉を煮たものですか?」


「ま、今から作るから見てろって」

「私も手伝いますっ!」


**********


取り敢えず用意するものは牛肉と豚肉…挽肉を作ります、ただこの世界にはもちろんミキサーはありません…え、どうしよっか…うーん、ちょっとしょっぱなかけになりそうだな…


「な、なぁ、めちゃくちゃ弱い魔法かけようとしてバカみたいな威力の魔法は出ないよな…?」


「?えぇ、逆は毎度のようにありますが…」


レベッカが戦闘用の高火力魔法打つとほとんどの確率で不発かよ…まぁいい。なら成功することを祈ってやってもらわねばならないことがある


「風の魔法ってある?」


「えぇ、ブレスのことですか?」


「それって対象のものが容器の中に入ってても当てられる?」


「さ、流石に魔法はそんなに便利じゃないですよ…そしたら敵のバリア魔法なんて意味ないじゃないですか…」


それもそうだ、できたら容器の中に肉突っ込んで最弱出力でかき回してもらおうとしたが…


「ふーむ…じゃあ穴がどの程度空いてれば当てられる?」


「ま、まぁ対象の大きさによりますが…魔法、使うんですか?」


「あぁ、最弱出力でいい、そりゃもう弱めで、な?筒の中に肉入れるからぐっちゃぐちゃのめちゃめちゃにして欲しいんだ」


「は、はぁ…まぁそれくらいならなんとかできそうですが…」


「OK!」


「え、いいんですか?」


**********


取り敢えず二人とも手を洗って肉を広げる、それから包丁の背を使って豚肉と牛肉を柔らかくなるよう叩く。


「あ、あのこれにはなんの意味が?」

「これやると肉が柔らかくなるんだよ、じゃあこれ筒の中に入れるから本当に弱めでお願いな」


「はい!わかりました!では…いきますよ…?」


俺が竹筒の中に肉を入れてレベッカに手渡す、レベッカは恐る恐る筒を手に取り唯一肉を入れるために開けてた穴に手をかざしてそのまま手で蓋をする。


「頼むぜ…!」

「はい!」


ヒュ…ウオォオオォ…グチャァ!べちゃあ!


「ひっ!?」

「まだ大丈夫だ!そのまま頼む!」

「な!なんか物凄く中身が凄いことになってるんですけど!なんか!なんかぁ!粘土みたいなのが手にいぃ…!」


「よぉし!ありがとう助かったぜ!」


「は、はぁ…なんか気持ち悪かったです…」


「何はともあれお疲れさん…取り敢えずこいつを取り出すか…」


深いボウルの中にグチャグチャになった肉の塊を放り出す、おぉ思った通りいけるもんだな、やっぱり魔法便利だわ。


取り敢えず玉ねぎをまるまる一つ微塵切りにしてしまう、鍛冶技術もまだまだなのかやっぱりネギを切ると目にしみる…うぅ…

その間に俺はレベッカに食パンを手渡してボッロボロの粉々になるまでむしってもらってる、なんだか隣で「ブレスで…」とかボソボソ言ってたけど気のせいだろう。


そして玉ねぎに挽肉、卵をひとつ割って入れてパン粉も全部混ぜてしまう、以外と労力がいるこの仕事、ちょっと疲れた顔を見せちまったのかレベッカが俺と交代してくれた。


あとはこいつに塩胡椒でぱっぱとやって大判型に丸める、このとき中の空気をできるだけ出せるようにキャッチボールをするようにしてパシンパシン…ともう片方の手にハンバーグを叩きつけて形を整えていく


「さて、これでまぁ1/3位は終わったな、野菜の付け合わせとか…まぁ適当にほうれん草に人参でも茹でればいっか」


取り敢えず昨日の夜にもやったからかだいぶ慣れた手つきで日をつけることができるようになっていた、取り敢えずフライパンを用意して油を引く。


「この丸めたお肉を焼くのですか?」

「まぁそんなところかなぁー」


フライパンに一つ一つハンバーグを入れていく…入れるたびにジュワアァ!と作っている俺の食欲もかき立ててくる。


「すっごくいい匂いですね…!」


「だろ?だけどこれで終わりじゃねえんだぜ?これ」


ある程度焦げ目が付いてきたので白ワインをだいたい100cc程度、サッと入れてハンバーグを裏返す、あとは蓋をして中火で7分ほど放置。


「ワインをお料理に使うのですか!?」

「そーそー、てか普通じゃないのか…うーんほんとこの世界の料理って…」


取り敢えずこの間に付け合わせのほうれん草や人参を丁度いい大きさに切って隣の鍋で茹でておく


さてまぁそんなことをしてるうちにハンバーグがいい感じに焼けたので皿に取り出して置いておく。


「完成ですね!」

「まぁまて慌てるな、煮込みハンバーグはここからが本番だ!」


棚からキノコを見つけたので一口サイズよりも小さく切ってフライパンの中の肉汁の中に放り込む、そしたらこの肉汁の中に小麦粉を大さじ2〜3、バターを25g、牛乳を450cc、固形のコンソメも見つかったのでそいつを一粒こいつらを弱火でじっくりと煮る。


「肉汁とミルクにバターを混ぜてしまうのですか…」

「あぁ、まぁあとはここに少しだけ粉チーズをかけて塩胡椒で調節すればソースは完成だ」


そういって塩胡椒で味を整える、そして思い切りよくそのソースの中にハンバーグをぶち込む、そしてじっくりコトコト煮ること3分間、これでようやく完成。

そしたら各々の皿の上にハンバーグを一つずつ乗っけてやる、1つ余ったのでここを使わせてもらったお礼にここの厨房の料理長にも食べていただこうと思う、そんなわけで 煮込みハンバーグ、ホワイトソース仕立ての完成っ!


「で!できましたね!」

「あぁ、玉ねぎの皮むいたり肉ミンチにしてくれたり色々とありがとなレベッカ」

「はい!」


**********


そんなわけで食事のお時間、俺が作るまでやっぱり酒を飲んでたジジイのやつ…!

一つの席に俺とレベッカ、向かい合うようにしてジジイ、ライラさん、料理長さんが座っていく、俺の作った料理の物珍しさゆえに机の周りに押し寄せてくる冒険者たち、さてこれで舞台は整った。


「さぁて、こちらが俺の作った料理、『煮込みハンバーグのホワイトソース仕立て』だ、まぁご賞味あれ」


「あぁんはんばぁぐ…?何じゃそりゃ聞いたこともねえぜなぁ?」


そういってさっきまで一緒に飲んでた冒険者たちを真っ赤な顔で振り向いて同意を求める、いいから食ってんだよ。


取り敢えずジジイはほっといてハンバーグをナイフとフォークで半分に割る、するとホワイトソースにハンバーグから溢れ出る肉汁がキラキラと川を作り食欲を掻き立てる、うぅむ中もきちんといい感じだしうまくいったな。

「いただきます…っと」

「大地に恵みをもたらすエルフの神よ、私にお恵みを与えてくださって感謝いたします…いただきます!」


俺が食うよりも先に料理長さんが我先にとハンバーグを食べやがった、それに続くようにレベッカにライラさんも食べ始める。


「!?な、なにこれ…!お肉…なのよね…!?柔らか…!?」


「な!なんだこれは!これが肉だっていうのかい!?柔らかい!柔らかすぎる!なにをしたらこんなに柔らかく…!?それになんだこのソースは!?とんでもなくクリーミーで…!!」


「お、美味しいです…!」


口に手を当て驚愕のあまり目を真ん丸く見開いたライラさんにメモ帳を取り出してなにやら真剣に味を確かめながら食べる料理長さん、目を輝かせて一口一口美味しそうに食べてくれるレベッカ、かわいいなぁ…あと酒を飲んでバカバカしそうにライラさんと料理長を見つめるジジイ。


「ま、種明かしをさせてもらうとこいつは挽肉…あー豚肉を3割、牛肉を7割ほどをぐっちゃぐちゃのめちゃくちゃにしたいわゆるミンチになった肉を丸めて焼いただけですよ」


「に、肉を…そんな風に…!」


「こいつをミンチにしてくれたのはこの隣にいるレベッカのおかげだ、いやぁ魔法って便利だねえ電気いらないし…やっぱ嘘電気ないと不便だけど…」


「電気だぁ?電気なんてものは上級魔法使いじゃないと扱えん代物じゃないか、なのになぜここで冒険者やめるなんて言った坊主の口から出てくる?」


「ま、それは機会があったら話してやるよ爺さん、とまぁここまでで恐らくレベッカは当然としてお二人には俺の料理を楽しんでいただけたと思う。爺さん、あんたは食わないのかい?じゃあないと後ろでよだれ垂らして物欲しそうにしてる冒険者にくれてやるかい?」


「ふん!わかったわい!食えざいいんじゃろ食えば!」


そういってジジイはナイフとフォークで一口サイズに肉を切り分ける、さて、まぁお気に召していただけるかねぇ?


「んっ……………なんだこれは…?」


「………」


「なんだこの肉はあぁっ!?美味い!美味すぎる!!肉ってのはもっとこう硬くて老人には食えないもんじゃなかったのかあぁっ!?」


「それに柔らかい肉だと思ったら次はこのソース!わしの舌はわかるぞ!白ワインを入れてやがるじゃあねえか!」


「あぁ、気づいたんだジジイ」


「ジ…!?だ!だめですよタカシさん!」

「あ、やべ」


うっかり俺が口を滑らせたけどもそんなことは全く気にせずに一口、もう一口とジジイ…もといマーリンさんがハンバーグを平らげていく。


「肉は赤ワイン、白ワインってのは魚介と合わせるもんだと思っていましたがまさかそんな…」

「ほ!ほんとだ確かに白ワインの味がすっごくちょっとだけど…!」


「この肉だけでも美味いのだがこのソースじゃ!こいつは牛の乳じゃろ!?それがこんなにもうまくなるっつーのかい!!」


ふむ、まぁみなさんにお気に召してもらえて何よりです。レベッカも完食して満足そうにナプキンで口を拭いている、可愛いなぁ。


「…さて、感想を聞かせていただいてもよろしいっすかね、爺さん」


「う、美味かった…正直今まで食べた肉料理の中で一番…じゃ…!」


「ん、気に入っていただけたなら何よりですよ」


「こんなに美味しいの初めて食べたわ…ご馳走様でした…」

「ソースはまだ…いえ、まずはご馳走様でした

美味しかったです…」


ソースはやらねえぞ、まぁ誰でも作れる簡単なやつだけどな、まぁギルドの大衆食堂とはいえ料理長を任される人だ、まぁいつかは作ってみせるだろ。


「じゃ、満足していただけたようなので、俺帰りますね」


「ちょ!ちょっと待て!」


なに?そういやギャフンと言わせたら金よこせとかなんだとか言っとけばよかったなぁ、レベッカの家に住んでるけど俺はまだ一応無一文なわけだしな。


「店を開くんじゃな?」


「あったりめえだろ、じゃなきゃこんな啖呵切ってあんたに飯作らないっすよ…」


「なら資金は全額わしが出してやる、その代わりまたあの料理を食わせろ」


「お、そうきます?」


「そうするさ、なぁに失礼なこと言っちまった詫びだ、気にするな」


ま、俺としてはここで「あんたに美味いと言ってもらうだけ」で十分だったんだけどね、あんたみたいな偉そうな老人が俺の飯を美味いって言ってくれりゃどいつもこいつも俺の店来てくれるだろうしな。


「ま、楽しみにしてな、今は調味料なかったから無理だけど本物のハンバーグを食わせてやるぜ」


「あ、あれが偽物なのか…!?」


「あーいや言葉の綾だよ、気にすんな」


取り敢えず飯屋開いたとしてもこうしてハンバーグ作るのに恐る恐るレベッカに頼んだり醤油がないしで色々問題点はありありだ、まず電気と醤油に味噌をどうにかしなきゃなぁ…うーん難しいねこりゃ。


「…ま、まぁマーリン様があんなこと言った手前もうお金をどうこう言ってもしょうがないのですがギルドとしても何か力になれることがあったら協力します、是非また来てくださいね」


「あらー?俺のこと嫌いなんじゃないですか?」


「何度も言いますけど一言も嫌いだとは言ってませんよー?」


んなこと言いつつこの人目が笑ってないんだけど?怖いよほんと…ギルドねぇ、仲間に着くのはありがたいけど…あ


「あーじゃあなんかこの辺りに時間進むのが早い部屋あるらしいじゃないですか、そこ管理してる方に俺が会いたいって言ってたとアポ取っといてくれません?」


「は?…ま、まぁいいですけど…」


「あ、あの…ソースのレシピ…あーいやでも…うーん…」


俺は何にも言ってないのにうんうん一人で悩んでる料理長さん、これじゃちょっといたたまれないし一言声をかけとこう。


「料理長さーん!さっき後ろにいた冒険者全員一口食えるくらいにはハンバーグ残してあるから勝手に食っていーよー!」


ウオオオォォォオオォ!!!


俺が言った瞬間矢継ぎ早にして冒険者たちがさっきまで俺たちがいた厨房に押しかけてくる、おい勝手に入っていいのかよ…


「ま、何はともあれ一件落着ってところかね」


「えぇそうですね!」


「まぁお前は俺のいないところで勝手に俺名義で喧嘩売ったのはやめろよなーほんとにー?」


「あうぅ…あれは本当にすみませんでした…」


「うんまぁ、いいけどさ帰ろうか、な?」

「えぇ、そうですね!」


取り敢えずどうなるかと思ったけど俺は色々と大きな後ろ盾を得たんだと思う…多分。

魔導師のマーリンってジジイからは店立てる際の資金を全額受け取ってくれるんだとか、ひぇー柔らかい肉のレシピもっと考えなきゃ…

あとはギルドの信頼も得た…と思う、あの人のことだからよくわかんないけどね。

あとは…まぁいい宣伝になったんじゃないかな。


取り敢えず俺の今日の冒険はこれで終わり、てか今日のどころかもう冒険しないけどね!

そんなことを考えながらレベッカと一緒に月明かりの下を帰っていく、だいぶ日も暮れてきたしお腹も空いた、夕飯はなにを食べようか__

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