4品目 〜トウモロコシにはこんな食べ方があるのですね〜
朝起きたら俺のすぐ隣にレベッカちゃんが寝てる た、これはどういうことでしょう。そして俺の膝には柔らかい毛布…掛けてくれたのかな、そういや俺昨日風呂入らないで寝ちまったな………
「…なんで隣でレベッカちゃん寝てるの?」
なんかめちゃくちゃかわいいネグリジェ着てるし!薄いピンク色のひらひらが沢山付いた薄手のネグリジェ、あまりに薄手なためにレベッカちゃんのお尻から胸に体型が丸わかり…あっ…いや見なかったことにしよう…平原なんてなかった…俺は見てないよ…
「ま、別にあってもなくてもレベッカちゃんが天使なことに変わりはないしな…最低限72さえあれば良いよ、うん」
ボソボソとそんな益体もないことを呟きながら起こさないようにしてソファと毛布の間から抜け出す。
昨日あれだけスライムから逃げ回るのに汗だくになり、そのまま寝てしまった…汗、臭わなかったのかな…なんで隣に寝てたんだろう、いや朝からレベッカちゃんの寝顔なんていう100万ドルの夜景すら劣る素晴らしい光景を拝めたから良いんだけどね。
シャワーなんてないだろうし風呂場でタオルで体拭かせてもらおうかな…お湯を沸かすために火をつけるの面倒だしな…
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タオルを水で濡らし、少し絞った後乾布摩擦をするようにタオルで身体中を隅々まで拭いた後、てかこのタオルで平気だよな…?まぁいいや、取り敢えず朝ごはんを作ろうと思う。
キッチンには以外と食材が揃っているがそのかわりに醤油や味噌と言った調味料は見受けられない…どうしようか、朝ごはんの味噌汁がダメってことだろ…?うーん、パンかなぁ。
ご飯を食べるには味噌汁が欲しくなるのでご飯以外、となると朝に食べるのはパンになる、まぁ昨日も勝手に使っていいって言ってたしいっちょ勝手に作らせてもらうとしよう、時計はあるのかいまはおそらく朝の6:30くらい…まぁレベッカちゃんが起きるまでには作り終えるかな。
冷蔵庫…とは言えない、木箱の中をあさると中には大量の袋で縛った氷に埋もれるように入ってた卵…ほかには豚肉…?に魚…朝から肉とか魚はなぁ、ベーコンは昨日使い切ってしまったし…
お酢はあるのか…米とかリンゴを発酵させることはできるのに大豆はできなかったのか…?それともレベッカちゃんがたまたま使わないとか切らしてただけなのか…まぁ後で聞いてみよう。
食パンも見つけた、バターもミルクもある、トウモロコシに人参ジャガイモ…玉ねぎに…基本的なものはやっぱりきちんとある…うーん、何だかないとわかると作りたくなるな…アレ。
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今回用意するものはとっても簡単、お酢に卵、食用油にその他もろもろ。まぁアレだねー手元にあるもので作れる調味料ってマヨネーズだよね、って話よ。
まずは卵を慎重にヒビを入れ、半分に割る、そこから二つの割った殻を器用にまるでピタゴラ装置を動かすかのようにして卵黄をいったりきたり…こうすると簡単に卵黄が取り出せる。一番ベストなのはペットボトルだけどね、まぁ無いし。
そこにお酢を大さじ1ほど、そして塩胡椒、水を小さじ…1くらい入れて十分に混ぜる!
そして食用油をだいたい270〜300ml入れていく、この時に重要なのがちょっとずつ油を足していくこと、家庭でマヨネーズ作りにチャレンジ!とか言ってまっずいのが出来上がるのは大抵ドバッと全部入れてしまうから。
少しずつ油を入れていき混ぜていく、分離しそうになったらもう少しだけお酢を入れて整える、これで完成出来上がり、うん、柔らかい酸味がいい感じ。
さてお次はゆで卵、まぁお湯沸かす…めんどくせえ…まぁ沸かしたら鍋に卵放るだけ、とっても簡単。
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半熟のゆで卵が出来上がったらそのまま気合と根性で…あっ、おたまはあるのねよかった…トングあるもんな、そうだよな…そしたら氷水に浸し、粗熱をとったら殻をむく、そしたら別の容器に移してマヨネーズと卵を投入
あとはフォークを裏にしてぐっちゃぐちゃに潰していきます…簡単だな。
さて、具ができたら食パンの耳を切り落とし、1cmぐらいの厚さに切り揃える。そして全てのパンの片面に満遍なくバターを塗りたくる。
あとは先ほどのたまごにパンを挟んで卵サンドの出来上がり!
まぁこれだけじゃ物足りないな…味噌汁が無理だし何か…スープでも作ろうか…そういやさっきトウモロコシもあったな…うん、コーンポタージュ作るか!
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時間は7時の五分前、まぁなんとか間に合うかな、てかスープ煮る時間でサンドイッチ作れば時間節約できたなぁ、まぁ過ぎたことだししょうがないか…
トウモロコシの実の根元部分にナイフを横から差し込む、そして90°回転!すると簡単に2〜4列ほどコーンがパラパラと器の中に溺れ落ちていき、後はそこから親指でグイグイむしり取っていく。
鍋にスライスした玉ねぎを半個分、水を150cc、塩を小さじ4分の1くらい、コンソメを小さじ1入れて弱火で20分間コトコト煮る…ああぉやっぱりこの時間にサンドイッチ作りたかった…
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待ってる間に思ったけど最初にレベッカちゃんと会った時あの子は電柱の陰に隠れていたけど特に電気が通っている様子はなさそうだな…あれ電柱じゃなかったのかな…しかしテレビでニュースとか見たいなぁ…新聞読みたいなぁ、この圧倒的情報不足よ…何もかもレベッカちゃんに聞いてばかりじゃなぁ…
さて、火を消したらミキサーで…ミキサー…?あっ…
「…どうしよう、いまさっき電気製品無いよなって考えてたばっかじゃん…バカなの?死ぬの俺?」
……もう一つの鍋を用意する、ザルも用意する、一度スープをザルを通してもう一つの方に移し替えます。
移し終えたらスプーンを使ってザルにコーンを押し付け…うーん…まぁ、粒荒いけどいっか…しょうがないよな…?
一応できました。本当に一応だけどな!
そしたら鍋に牛乳を100cc、生クリームを50cc入れて後はもう一度火にかけて完成!
ちょいとレベッカちゃん起こしてくるかな…
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「おーい、レベッカちゃん、起きてー飯作ったよー」
「ふぁ…朝…です…かぁ…?」
寝ぼけた顔を懸命に両手でこすりあくびを一つ、寝癖ができてしまったのか頭にアホ毛がぴょこんと生えているのが最高に可愛らしい、なんだよこの生き物…可愛すぎかよ。
「おう、朝だ朝!外はこんなに明るいぞ!」
そう言って寝ぼけた人間に対し無慈悲にもカーテンを勢いよく開く俺、強い陽の光を浴びてようやくレベッカちゃんの意識が覚醒する。
「…ん…おはようございます…朝ごはんまで作っていただいてしまって…」
「いやいや構わないって、ささ、顔洗ってきなよ、盛り付けてテーブルに並べておくからさ」
「はい…」
そう俺が言うとまだおぼつかない足元でとてとてと洗面所へ歩いていく…可愛くてしょうがない。
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「顔洗ったら目が覚めました!朝ごはんありがとうございます!何から何まで…」
「おう、おはよう!てか俺は寝床に風呂使わせてもらったんだし気にするなって!」
「え、えぇ、あれ?お風呂?あのあとお風呂沸く前にタカシさん寝てませんでしたか?」
「あぁ、一応匂いとか気になるから濡らしたタオルで体拭くぐらいはさせてもらったけど…平気?」
「えぇ、カゴに入れて頂いたなら…!?」
何気なく風呂を使わせてもらったのだがやっぱり不味かっただろうか…まぁ女の子が入った後の風呂に男が入るのはなぁ…悪いことしたなぁ…
「ま、まさかか、かかか…カゴの中見ました?」
「いや?普通に昨日レベッカちゃんが来てた服入ってたからそこに入れておくのかなぁってタオル…?」
「て、てことはあれは見てないんですね!?」
「なにが?」
どうしたんだろう、カゴに何か見られたらまずいものでも入ってたのか_なぁ…?……あっ……
「あ、あの、そそ、その…し、しした…」
「わーっ!待った待った!ごめんごめんよ!違う!見てないよ!本当に見てない!信じてくれ!」
「へっ!?そ!そうですよね!ごめんなさい疑ってしまって…こんなダメダメな私を許してくださったアイリス様のように慈悲深い方がそんなことしませんよね…!」
アイリス様…ってのは昨日飯食う前に行ってたエルフの神か何かかな…?まぁそこまで信じられて尊敬されると困るなぁ…俺だって多分あの時気にしていなかったけど下着落ちてるなんて知ってたら30分ぐらい硬直してた自信あるしな…
「ま、まぁ飯食おうぜ!サンドイッチとコーンポタージュだ!」
「はい!」
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「大地に恵みをもたらすエルフの神よ、私にお恵みを与えてくださって感謝します…いただきます!」
昨日の夜と同じようなセリフでお祈りをしてまずサンドイッチに手を伸ばすレベッカちゃん。
「これは…パンの耳を落とした食パンですか?」
「おう、きっと気に入ってもらえると思うんだ、ささ、召し上がれ」
「はい!…はむっ…」
小さな口を懸命に開けて俺の作った卵サンドに一口かぶりつく、どれ俺も食べようか…うん、美味い。
「こ、この卵と一緒に混ざっているペースト…と言うには柔らかいですね…これは何ですか?」
「それねーマ…」
ここで俺はちょっと面白いことを考えつく、まぁちょっとくらいなら意地悪しても平気だろう、てか…からかってみたい。
「レベッカちゃん…それを…食べてしまったね?」
「え、えぇ…この優しいと言いますか…柔らかい酸味が癖になりそうな味ですねこれ…」
「それね、食べた人をたちまち肥満にしてしまう危ない調味料なんだ…なのにその癖になってしまいそうな美味さ…食べてしまったね、レベッカちゃん…」
「えっ!えっ!…わ、私…タカシさんのこと信じてたのに…毒なんですか!?な!なにが要求ですか!?」
おーおー面白い具合に反応してくれるね…やっぱりリアクションてのはこうでなくちゃあね
「はは、別にそんな大したものではないさ、ただその悪魔の調味料をせっかくだしレベッカちゃんにも味わってもらおうとね…」
「そ!そんな酷いです!こ!こんなに癖になってしまいそうなのに…」
「もう遅いよ、残念だったね、肥満の人に質問をしたところこの悪魔の調味料を食してしまった人は99.9%以上なんだよ…!」
………嘘は言ってない、けどまぁオロオロしちゃって可愛いなぁ、もう少しだけ見てたいけどそろそろ種明かしかな。
「…なんてね、これはね、マヨネーズって言うんだ、卵の黄身の部分と油、お酢を混ぜるだけで簡単に作れる美味しいものさ、けどまぁ確かに油が多いから食べ過ぎはやっぱり体に毒だけどね」
「な!騙したんですか!?酷いです!私すごく焦っちゃったんですよ!?」
「ごめんごめんって、ちょっと反応を見てみたくなっちゃってさ、怒った?」
「…もう…タカシさんは…しかし確かにこれ美味しいですね…ゆで卵にそのまよねいずと言うのを混ぜただけなんですね?」
「そうだよーあとはパンにバターを塗っただけ、まぁ確かに卵にマヨネーズ、マヨネーズとバターだしエンゲル係数と油分とんでもねえなこれ…あんまり食べるのもまずいかもな…」
「えぇっ!?…まぁ確かに何事も適量ですからね…」
そう言って素直に食べかけのサンドイッチをさらに戻そうとする…てかあれ?俺一つしかまだ食べてないよ?俺全部で8つ用意したよな?もう今戻すの含めても3つしかないんだけど…?どんだけ気に入ってたんだ…
「ま、まぁそこの皿にある分くらいなら大丈夫じゃないかな、多分」
「そ!そうですか!?」
そう言って目を輝かせながらまたサンドイッチをぱくつくレベッカちゃん、本当ならハムサンドとかも用意したかったんだけどねえ。
「ま、まぁ…てか待って!俺一つしか食ってない!」
「あ!あぁ!すみません!あまりに美味しくて…はしたない真似をしちゃいましたね…」
「いやいや、気に入ってもらえたようで何よりだよ、またいつか作るからね…で、最後の一つは食べさせて…お腹すいちゃうから…」
「は、はい………」
顔を真っ赤にしてうつむきながら俺に皿を押し出してくる、そういう一つ一つの仕草がとっても可愛らしいと思う。
「で、これがこーんぽたぁじゅってスープなのですよね」
「あぁ、まぁコーンクリームスープ…トウモロコシのスープだよ、召し上がれ」
「はい!では…」
スプーンでスープをすくい、ふぅふぅと冷ましてから一口、するとレベッカちゃんはまたキラキラとした顔をしてもう一口すする、気に入ってもらえたかな。
「こ!これ…すっごく甘いですね!けど…砂糖とは違って…トウモロコシのスープですかこれ!?」
「うぅん違う…かな、それね、牛乳と生クリームも入れてるの」
「はあぁ…トウモロコシとミルクのスープですか…」
「ポタージュってよりかコーンクリームスープの方が正しいかもね…まぁわからないか」
「?…茹でるか焼いて食べるしか無いと思ってましたが…トウモロコシにはこんな食べ方があるのですね」
あぁ、やっぱりこの世界のトウモロコシは煮るか焼くかあとは家畜の餌…ってところなのかな。
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「はぁ…とっても美味しかったです…やっぱり料理お上手なんですね…」
「おーありがとう、褒められてもパンの耳をおやつにするくらいしか出すもの無いぞ?」
「えぇ!?パンの耳をおやつにですか!?…はあぁ…凄いですね…」
「じゃあ片付けたら一度ギルド行こう?帰ってきたらそのパンの耳のおやつ作ってあげるからさ」
「は!はい!」
まぁ、昨日のは流石に冗談で言ったんだと思うけどこの世界ならあながち料理屋を開いても食っていけるのでは無いかと思う。まずは一度ギルドに行ってダメだったと報告、ついでに歩きながらこの世界のことについてレベッカちゃんに色々と聞いてみよう、うん。
忘れてたけどそういえばレベッカちゃんはなぜ朝俺の隣で寝てたんだろう?まぁついでに後で聞いてみようかな。