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始まりの景色
未来が見ない。
それが酷く当たり前だということに、俺は気が付けないでいた。それもそうだろう。俺の左目は常に未来だけを映しているのだから。
「ユーイチっ!!」
それは事故だった。誰も悪くなかった。それでいて神様や悪魔からも見放された末の結末だった。
そう、これは過去の出来事。
あの一戦が最初で最後の敗北……いや勝利だったのだろう。
そして終わりのブザーとともに俺の未来は奪われた。
後悔はしていない。だが、もっと早くに気がついていたならば、俺はきっと……いや絶対に後悔していただろうから。