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体重計

作者: 白樺セツ
掲載日:2015/01/10

ああ、ああ。


それはただ一言で始まった。


「太ってんなぁ」


ははは、と笑って私の腕の肉を掴む。

きっと悪気はないんだろう。

それでもデリカシーの欠片もない彼のその一言で、私は決めた。

たった今から決めた。


痩せる。

ただそのゴールだけを見つめて、痩せる。

痩せていく。ダイエットだ!

そうと決まれば、その日のうちに家でネットをした。

様々なダイエット法があった。無茶な物から簡単な物まで。

詐欺臭い物もある。


私は決めた。

全部やろう。

そうすれば短期間の内に痩せられるはずだ。

痩せたその後は、もしかしたらリバウンドなんかがあるかもしれないが、関係ない。

痩せることこそが何よりの目的だ。

その日からダイエット生活は始まった。

早寝早起きは勿論、朝だけなんちゃらダイエット。

フルーツだけダイエット。

ラップをひたすら腹に巻くダイエット。

下剤、花の栄養剤、怪しげな薬、寄生虫、痩せる薬やお茶。

とにかく全部やった。全部。

でも流石に断食はやらなかった。

痩せる前に倒れて、病院で栄養食で栄養を付けてしまいそうだからだ。

それじゃ駄目だ。

栄養はとっては駄目だ。

肉を食べては駄目だ。

滋養のあるものを食べては駄目だ。水を飲んでは駄目だ。

油は一切とってはいけない。

体にいるのは空気だけ!

そしてようやく。


――やったー!


体重計は以前よりもずっと低い数字を示した。

 と、それを確認すると同時に、肩にポン、と手を置かれた。


――え?


振り向くとそこには営業スマイルの男の人がいた。

暑苦しい黒く大きなコートを着て、背中に何か大きな棒のような物を背負っていた。

その先にある物は生憎見る暇は無く、男の人はただこう言った。


「じゃ、いきましょうか」


――え?


男の人に引きずられるがまま、自分の家を後にした。

だからデジタルの体重計が表示していた「0」の数字は、そのまんまだった。


風刺というか、何かそこらへんを考えながら書いたのですが、この話を口頭で友人に話すと「……それホラー」と言われました。なのでキーワードにつけました。(「ホラーじゃない……」と感じるかもしれません。すみません)

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