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交渉の結果

前回のあらすじ

お姫様とあいさつ、交渉

がたごとと揺られる。

しかしその振動が私をさいなむことはない。

馬車が高性能で揺れを軽減してくれているという事もある。

だけど一番の理由は膝の上に載っているという事だろう。

ちなみに誰の膝の上かというとアレイシアの上。つまり王女の膝の上。


とはいえ別にそのこと自体は何ら気にする必要はない。

交渉でアンニカさんがコテンパンにやり込められて同行することになったけどこの人は大丈夫。

アンニカさんやシャーリーさん、シャーリーさんのお母さんと共通する雰囲気がする。

だから私はこの王女の事を警戒してない。

アンニカさんは恨めしそうに見てるけど。

ついでにアンニカさんはアレイシアから交渉のいろはについて学んでる。


「だから交渉するときは相手が自分をどう扱ってほしいか、という事を読み取ることが重要なんだ。

 例えば貴族が公人としての名前を使った時、私人としての名前を使った時、

 それぞれ違った対応が必要になる。先ほどの交渉などがそうだな。

 私はあえてアレイシアという私人としての名前を使ったのだが、それを全く意に介さなかっただろう。

 ああいうのは少しまずい。もちろんあえて無視するという手法も存在するがそれは例外だ。

 何も考えずに無視するというのは愚の骨頂だ。」

「そうです。だから私はあなたの事は知っている、帝室のいざこざに巻き込まれたのにそれを

 ただの盗賊に襲われた一般人として対応するのは許さないぞ、

 というパフォーマンスとしてわざわざ正式名称を言ったんです。

 そうじゃないならあんな長い名前をわざわざ言うわけないじゃないですか。」


ちなみにアンニカさんの成長は著しい。

交渉のこの字も知らなかったアンニカさんが半日でかなり知識を身に着けている。

アレイシアに対しても妙に対抗心を燃やしていて、アレイシアに対しては人見知りを発揮してないし。


「ふむ、それらしい理由をつける事はできるようになったな。

 だが、それを交渉の時に考え、実行できなければ意味はない。

 私にはある程度慣れたから大丈夫だろうが初対面のものと交渉は難しいのではないか?」

「うう、たぶん、きっと、おそらく、だいじょうぶ、です。できるはず。」

とはいえ、アレイシアにはやり込められてるけど。

まあ、交渉はアンニカさんの人見知りを直さないと厳しいよね。交渉の知識がないよりはましだろうけど。


アレイシアの交渉講座も一段落ついたみたいだし、さっきから気になっていたことを聞いてみる。

【なんで私は膝の上に乗せられて頭を撫でられてるんですか?】

私と同じくあまり表情が動かないアレイシアの突然とった行動に私は結構驚いている。

「だめなのか?」

【いえ、かまいませんけど。なんでなのか少し気になりまして】


アンニカさんがアレイシアにやり込められて同行することになり馬車に乗り込んだ私。

適当に座ったところ目の前にアレイシアが立つ。

そして私の胴をつかんで持ち上げて私が座っていたところに座るアレイシア。

そしてつかんだままだった私を膝の上に。

そしてなぜか頭を撫でられている。


今までの経緯を簡単に語るとこうなる。

ちなみにここまで一切説明はなかった。

まあ、ダンジョンを出た私の目的は、人と触れ合う事なので、膝の上に座るのも、

頭を撫でられるのもいいのだけど気にはなる。表情があまり変わらないのでなおさらだ。


「私は君と仲良くなる必要がある。これからの関係をより良いものにするためにも。

 そちらの大きい方の手綱を握っているのもどうやら君のようだからね。

 だからこういった事が必要なのだ。」

なんともビジネスライクな物言いで。

でもなんとなくわかる。たぶん建前なんじゃないかな、と。

この人はそういった打算から私にかまっているんじゃないと思う。

お世話好きなのか、子供好きか。

どういう理由からか分からないけどアレイシアからは温かい感じがするし。


【だめですよ。そういう言い方をしては私の好感度を稼げませんよ。

 そこは私に構いたいから構っているとか、何かそういった理由で構ってくれないと。】

「そうか。

 ・・・・・意外かもしれんが私はかわいいものや子供が好きでな。それでつい、な。気に障ったか?

 ・・・・・・といった感じか?」

【はい、それでいいです】

たぶんこっちの方が本音に近いことだと思う。

違ったら接待を強要したみたいで恥ずかしいけどそれはたぶん大丈夫。

照れ隠しが混ざってるけど大丈夫、なはず。


好意を向けられたら好意を。

悪意を向けられたら悪意を。


私の精神構造はたぶんこんな感じで単純なんだと思っている。相手を映す鏡のように。

だとしたら好意を向けられているなら私も好意を持っている。

つまり私が好意を持っているなら相手も好意を持っていると言える・・・言えない、たぶん言える。

だから私がアレイシアを好ましいと思っているのだから大丈夫。

ちょっと暴論気味だけど。


【もう一つ聞きたいことがあるんですけどいいですか?】

「なんだ?」

もう一つというよりこちらの方がより重要な質問なんだけど、


【この精霊の子はどこでどのように拾ったんですか?】

「はっ?えっと、この子供は精霊の子なのか?」

私とアレイシアの話に入ってこれなかったアンニカさんがここぞとばかりに説明しだす。


「この子は精霊の子ですね。それもおそらく一級、もしかすると特級クラスの精霊の子供ですね。

 このぐらいの大きさだとまだ満足に力も使えないはずなので親の精霊と離される事はないはずです。

 どういった経緯でここにいるのか分からないですけど下手をしたら、いや、

 下手をしなくても精霊の怒りを買うかもしれませんね。精霊の親はたいてい過保護ですから。」

アンニカさんは私をとられたみたいでアレイシアに妙に対抗心を燃やしていたんじゃないかな、

と勝手に想像してみる。私のために争わないで、的なポジション?うれしい。


まあ、そんな私の想像、というより妄想は置いといて、アレイシアの顔は青ざめている。

精霊というのは普通人では到底かなわないような強大な存在だ。

その猛威が振るわれれば人はその怒りが過ぎ去るまで待つしかない。

災害と同じようなものというのが一般の認識だ。。

もし、この精霊の子がさらわれてきたのだとしたら・・・・・・


「・・・・・下手をしたら国が滅んでしまう。

 どうすればいい?被害が一番少なくなる方法を一緒に考えてくれないか?」 

【そうですね、この精霊の子が自分で親元から離れたという場合が一番楽です。

 それならそのうち親が迎えに来るかもしれませんし、争いにもなりにくいです】

私たちは保護していただけ。親精霊も子精霊が勝手に動いただけとなれば怒るのは子精霊だけとなる。

実際にそうなるかは知らないが理屈の上では。


「ああ、その通りだな。そうである事を祈る。

 しかしそうではない場合の対処についても考えねばなるまい。」

「その通りです。むしろ今言われた事の可能性は低いかと。

 子精霊はこれぐらいの大きさだと親から進んで離れる事はありません。

 むしろある程度成長しても親精霊が離そうとしても離れまいとするぐらい親から離れません。

 精霊の子供は親のことを盲目的なほど好きですから。」

アンニカさんがすごく精霊の生態にに詳しくて助かる。


【だとしたら誘拐、とかでしょうか?その場合は犯人を見つけるのが最善ですね。

 怒りの矛先は犯人にのみ向けさせるという案ですね。】

「とはいってもそれは難しいぞ。この子を拾ったのは二日ほど前だ。

 しかしこの子がいた辺りには何の痕跡もなかった。戦闘の後も野営の後も。手掛かりはないに等しい。」

なるほど、確かに厳しそうだ。


【そうはいっても探すしかないでしょうね。そのうち精霊の親が来るでしょうけど、

 犯人を捜そうとしていたという事実があればまだましな状況になるでしょうから。】

「そう、だな。温和な精霊だといいのだが。」


そうやって話しているとアンニカさんが顔を進行方向に向けてじっと見つめだした。

【アンニカさん?】

アンニカさんの向いている方に回り込むようにして書いたけど私の文字は目に入っていないようだ。


「どうやら、すぐに分かりそうです。」

私はアンニカさんが何が分かるのか言っている内容が分からなかった。

けどアンニカさんの言っているようにすぐに分かった。

進行方向から大きな力の高まりを感じる。おそらく今話していた精霊の親が来るのだろう。


【馬車を止めてください】

私の指示でアレイシアが馬車を止めるべく魔道具で馬に指示を出す。


「これは、まさか、精霊の親か?」

「はい。来ます。」

アレイシアの問いに簡潔に答えたアンニカさんの声が妙に耳に残った。



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