05
彼女の見つめる先には二人の少年。
一方は先ほどの初心者マークの少年。
もう一方は褐色に日焼けした金髪の少年。
――――と言ってもここはゲーム世界なので、本当に中身が少年なのかどうかという判断をすることはできない。本来はいい歳した成人男性かもしれないのだ。
と、彼女の視線に気が付いたのか、二人が彼女の方を見る。
びっくりした彼女は木の影に身を縮こませて2人が自分に気が付いていないことを祈った。
しかしここは初心者の少年のFA。
訪問者が来たとき、FAの持ち主にはその事実と訪問した人物の名前が伝えられる仕組みになっている。
つまり彼には、彼女のがFAを訪問したときから居ることがわかっているわけで……。
彼女が体に光が当たるのを感じて俯けていた顔を上げると、そこにはもう彼女が隠れていたはずの木はどこにもなかった。
そのFAの主である初心者の少年が、日焼けの少年にやり方を教えられつつ片付けてしまったのだ。
「おい、ハクさん。なんで隠れてんだ?」
日に焼けた方の少年が彼女に呼び掛ける。
(な、なんで私の名前……。そ、それよりも、早く帰らないと……。)
彼女はペコリとお辞儀をすると袖を巻り時計型のタッチパネル、『SD時計』を操作した。