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“クエスト”というアイコンを開いた彼女は一つため息を吐くと、またタッチパネルを操作し、その場から一瞬で姿を消した。
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彼女が街で買い物を終えて自分のFAへと戻ろうと思い店を出ると、ふと初心者マークを付けたプレイヤーに気付いた。
少しの間彼を眺め、何か困っているみたいだと察した彼女は彼に近づき、声をかける。
「……ぁ……あ、あの………………。」
何日かぶりに出した声は弱々しくか細い。
しかし、相手の耳にはちゃんと届いたようで、彼は彼女に視線を向けた。