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ただっ広い静かな草原。
そこにポロリン♪と、この空間に似つかわしくない軽快な機械音が響き渡る。
小屋の中でボーっと紅茶を飲んでいた彼女は、その音を聴くと面倒くさそうに椅子から立ち上がり、外に出る。
彼女が向かった先は銀色に鈍く光る鉄製の門のすぐそば。
門には3本ほど植物のツルが絡み付いてあちらこちらで色とりどりの花を咲かせており、鉄特有の冷たい雰囲気は感じられない。
彼女の立ったその前には木製の譜面台のようなもの。
彼女はそれに手を伸ばして、本来なら楽譜を置くであろう場所にはめ込まれているタッチパネルに人差し指で触れた。
タッチパネルには8つの四角いアイコン。その内の1つ“クエスト”という文字が書かれた黄色いアイコンが開かれる。