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そのエリアにいるのは、彼女ただ一人。
ただっ広い草原の中にポツリと建っている、小さな丸太小屋が彼女の家。
他にそこにあるものと言えば、細い街道と周りを囲い尽くすたくさんの木々だけ。
しかも、街道と言っても人は全く通らない。
通る人がいるとすれば、街から街に移動して商売をする商人くらい。
周りを囲む森から動物などの生き物が出てきたことも、ただの1度もない。
もちろん、鳥などの動物の鳴き声やシルエットすらもない。
つまりその空間には、彼女の他に誰も何もいない。そんな空間。
それもそのはず。
そこは人工的に作られた空間。実はゲーム世界の中。
やりようによっては賑やかにもなるけれど、彼女はそれを頑なに拒んだ。
そんな寂しくも静かな場所でひっそり静かに暮らす、少女の物語。