Naoki Katayama Will Return .
2026年10月―。
夕暮れ。羽田空港ではオレンジ色の光が滑走路を染め、ガラス越しに柔らかく部屋へと差し込んでいた。管制保安部の静かな廊下に、控えめなノックの音が響く。
「失礼します。」
片山直樹は扉を開け、静かに一礼した。部屋の奥では佐藤健一が書類に目を通している。デスクの上には、湯気を立てるコーヒーと整然と並んだ書類の束。佐藤はゆっくりと顔を上げ、穏やかな声をかけた。
「来たか、片山。」
その声には、いつもの厳しさと共に、どこかためらいのような柔らかさがあった。
片山がデスクの前に立つと、佐藤は手元の書類を閉じ、ゆっくりと息を吐いた。
「……ああ、実はな。君に異動の内示だ。」
片山はわずかに目を見開き、短く息を止めた。
2027年4月―。
澄み渡る春の朝。
街がまだ完全に目を覚ます前、ひとり静かに走る男がいる。
片山直樹—。
彼にとってランニングは、ただの運動ではない。
呼吸を整え、思考を研ぎ澄まし、今日という一日と向き合うための“儀式”だ。
羽田空港での4年間を終え、新たな新天地へと向かう。
着任当日の朝も、変わらず走る。
桜が舞う住宅街、公園の静けさ、規則正しい足音。
その一歩一歩が、これまでの経験と、これから背負う責任を確かめるかのようだった。
走り終え、スーツに身を包み、家を出る。
歩くこと約20分。
見えてきたのは、近代的なデザインの建物だった。
玄関前には風に揺れる国旗が出迎える。
そして、看板には文字が大きく掲げられていた。
東京航空交通管制部
Naoki Katayama Will Return In AIRPORT 4.
" AIRPORT 4 " で片山直樹は帰ってくる。




