科学部へようこそ! 2
その言葉に、部室の空気が一瞬、静まり返った
霞が関先輩は眼鏡の奥で目を細め、腕を組んだまましばし沈黙した
そして、おもむろに片方の手を、フレミングの法則のようにさせて、眼鏡をクイっと上げる
光が反射してレンズが光った
「なるほど…面白い
実に興味深いテーマだ」
なにそのポーズと言葉…
「いや、面白がることじゃ…」
思わず冷静に突っ込んでしまった
「阿部くん
科学とは、未知を解き明かすための探究
呪いが本当に人を殺すのか…それを検証する価値はある」
それは…
「で、具体的にはどんな呪いなの?」
女子が椅子に座り直しながら、興味深そうに聞いてくる
「はい…
数日前、ネットで見つけた“呪いの儀式”を、冗談半分で試したんです
紙に名前を書いて…まあ、そんなような…」
詳細を言えずに口籠る
「それ、典型的な丑の刻参り系じゃん」
水天宮さんがぼそっと言う
「で、呪った相手が…亡くなった?」
霞が関先輩の言葉に息を飲む
「っ…本人…ではないけど…
その…身内が…」
青砥の事は口に出来ずに、いい淀んだ
「偶然かもしれない
でも、検証する価値はある」
霞が関先輩が白衣のポケットからメモ帳を取り出し、パラパラとめくる
「よし、まずは呪いの構造を分析しよう
儀式の手順、使用した道具、時間帯…全部記録して、再現可能かどうかを調べる」
「再現って…誰かに呪いをかけるんですか?」
「いいや、倫理的にそれはNG
代替手段として、植物や無機物を使って“影響”を測定する
例えば、呪いをかけた種と、かけてない種を育てて、発芽率に差が出るかとか」
「それ、科学っていうよりオカルト農業じゃ…」
「うるさいぞ、水天宮」
「でも面白そう
やってみようよ」
女子が立ち上がり、白衣を羽織る
「じゃあ、阿部くん
君の“呪い”の詳細を、できるだけ正確に教えてくれる?」
結局、言わなきゃならないのか…
「っ…わかり…ました…」
俺は、あの夜のことを思い出しながら…詳細をすべてを語った
霞が関先輩はそれを聞きながら、メモ帳にびっしりと書き込んでいく
「よし、これで“呪いの再現実験”の準備が整った
明日から科学部の本領発揮だ」
こうして俺は、仮入部のまま、科学部の“呪い検証プロジェクト”に巻き込まれていった
呪いは本当に存在するのか
それとも、すべて偶然なのか…
俺たちの実験が、それを証明する




