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奇奇怪怪  作者: 菜園すず
41/41

ニュース 4

夕方のニュース番組

画面右上には「影騒動 対策は進むのか」のテロップ

落ち着いたBGMが流れ、キャスターが真剣な表情でカメラに向き直る


「続いては、相次ぐ、影の接触騒動についてです

防災科学技術研究所で新たな対策技術が試作されているということで、現場の研究員に話を伺いました」


画面が切り替わる

白い壁と無機質な機材が並ぶ研究室

中央に立つのは、落ち着いた雰囲気の男性研究員──

胸元の名札には

『防災科学技術研究所 物理バリア研究部 御茶ノ水』

と記されている


御茶ノ水研究員は、淡々とした口調で語り始める


「現在、影との接触を防ぐための簡易フィールドを試作中です」


画面には、タブレットに映るCGシミュレーション

人の周囲に薄い膜のような光が展開され、近づいてきた黒い影が弾かれる映像が流れる


キャスターのナレーションが重なる


「影が人を襲うというSNSの動画が話題になっていますが、このフィールドはどのような仕組みなのでしょうか」


御茶ノ水研究員は、モニターに映る波形グラフを指し示す


「影の揺らぎには、微弱な圧力変動が伴うケースがあります

そこで、災害対策で研究してきた非接触バリア技術を応用し、影が人体に触れる前に“押し返す”仕組みを検証しています」


キャスターが少し驚いたように眉を上げる


「影が自然現象である可能性が高い中、それでも対策を進めているということですね」


御茶ノ水研究員は静かに頷く


「はい

現時点では危険性が確認されているわけではありません

ただ、国民の不安が高まっていますので、念のための安全装置として研究を進めています」


画面がスタジオに戻り、キャスターがやや引きつった笑顔でまとめる


「影の接触を防ぐフィールドが試作中とのことです

今後の動向が注目されます」



翌日の化学室

実験準備をしながら、クラスはまたニュースの話題


「影の接触を防ぐフィールドって何?」


試験管を持った男子が、隣の男子に言う


「科学の力で影を防げるんだよ」


すぐに、その男子に噛みつく、男二人の傍にいた男子


「いや、フィールドって軍事技術だろ

絶対裏があるって」


男子三人の会話に混ざり出す女子


「え!?それって、国が介入している事件って事!?

だとしたら怖すぎじゃない?」


「いや、陰謀論だろ」


「お前は専門家信じすぎだよ」


眼鏡をかけた、白髪交じりの化学の先生が

諭すように、静かに言う


「化学の授業を真剣に聞いていたら

もしかしたら、真実がわかるかもしれないねえ」



昼休み

屋上から外の景色をぼんやり眺める


俺は、ペットボトルのお茶を一口飲んで苦笑した


「フィールド…バリア…

もうSFだな…」


築地さんは弁当を摘まみながら、少し安心したように笑う


「でも…守れるって言ってくれるの、嬉しいよね

なんか…救われる感じ…」


守れる…か


袖の下で、模様がじんわり熱を持つ


腕を押さえながら撫でた

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