科学部へようこそ! 1
「失礼…します」
目に入って来たのは、黒板前にある教師用の机を囲んでいる集団
一斉に全員がこちらを見て目が合ったよう
その中で一人
先生が着ているのと同じ、白衣を制服の上に纏った人
「やあ!
入部希望者かな?」
「あ、いや…」
訳を説明する間もなく、黒縁眼鏡の男が笑顔を携え、白衣の裾を翻して素早くやって来た
「ようこそ!
科学部へ」
両手を若干広げて、出迎えるような姿勢をする食い気味の相手に、なんとなく気まずくなりながらも言葉を紡ぐ
「あの、入部希望ではないんですが…」
白衣の人の眉毛が動いて、目を大きくさせた
「入部希望では…ない」
次に、まるで信じられないとでも言うように眉をひそめ、訝しそうな表情で言う相手に、事情を説明する
「は、はい…
実は、科学部で、解明して欲しい霊的現象があって…」
そこまで言ったところで、相手は目を輝かせると、無理矢理俺の手を取り、ものすごい勢いで握手を交わして来た
「なんだ、入部希望者じゃないか!
ようこそ科学部へ!」
何この人…圧が…
「いや、だから、違…」
「俺達科学部は、霊的現象を科学で検証、解明する事を目的としている
歓迎するよ、俺は部長の霞が関、三年だ
君は?」
「一年の…阿部です」
「阿部くんか、宜しく
みんな、新入部員を紹介する、阿部くんだ」
と言うと、霞が関先輩は振り返って部員達に声を掛けている
違うっつてるのに、この人全然話聞かないじゃないか
「本当に新入部員なんすか?
また部長が強引に部員に入れただけなんじゃ…?」
「うるさいぞ、水天宮」
水天宮、と呼ばれたその男子は、センターパートで肩までのロン毛で、くせ毛なのか、ふわふわとした髪型
目は一重で全体的に薄い顔をしているけど、一重の黒目がちな瞳が、何だか怖い
猫背で携帯を弄っている姿は、やる気のなさそうな雰囲気
「部員がごっそり抜けて、私達だけじゃ廃部ですもんね」
そう言った女子は、肌寒い気温なのに制服を腕まくりして、褐色の肌が覗いている
短いスカートに目のやり場に困り、視線を逸らした
「霊的現象を科学で解明する目的と言う意志に賛同出来ない人は、いなくてもいい」
うわぁ、メンタル強…
「そう言う所だぞ」
霞が関先輩の言葉に突っ込む男子は、随分男前な顔をしている
腕を組んでため息を吐いたよう
「何とでも言ってくれて構わない
現にこうして阿部くんと言う新入部員が入った
それは俺の活動に賛同する者がいると言う、何よりも証拠だろ?」
「あの…科学部に入ると…決めた訳ではないです」
「ほらー」
と、褐色の腕を伸ばして、伸びをするような姿勢で言う女子
「じゃあ仮入部だね」
いや…ポジティブかよ、霞が関先輩…
「部活入るか入らないかは、今は一旦置いておいて…
霊的現象を科学で解明して欲しくて、科学部の人にお願いできないかと」
「ふぅん…まあいいよ
で、その科学で解明したい霊的現象って?具体的には?」
霞が関先輩は腕を組んで、眼鏡の下から、何か吟味するような目つき
具体的にって
それは…
「人を殺す呪いって、本当にあるのか…」




