曇らせ
「いやあ、これからどうすっかなあ、行く宛もねえし、ま、なんとかなっか」
あー今更後悔とかバカみてぇ、自分で選んだ事なのに、結局、後悔しか残ってねえ、まあいいか、でも、皆には、悪い事しちまったな、流石に言い過ぎたし、でもまあ、信頼を崩すためにはあれくらいがちょうどいいってもんだ。
そう、あれで、良かったんだ、なのになんで、
「なんで、涙が止まんねえんだよ…」
初恋も捨てて、友人も捨てて、恩を仇で返して、関係ねえやつまで巻き込んで、あいつらがどんな顔してたか、俺は知ってる、でも思い出したくもない、思い出すと、多分俺は、壊れちまう。
そんなこんなで徒歩で街中を歩いていると、すっかり暗くなっちまった、今手元にあるのは、充電が残り数%のスマホと、1日を乗り切るには少なすぎる現金が入っていた財布のみ、うん、キツ過ぎないか、これ、後先考えず行動するからこんなことになるんだろうな、そういうところは、昔から変わんねえな、つうか俺、どうすりゃいいんだ、通行人に助け求めるわけにも行かねえしなぁ、自分の家にはもう戻れねえし
「はぁ、結局何がしたいんだよ、俺、アホすぎだろ」
公園のベンチに腰掛けながら、そんなことを呟いた。
今更自分の選択悔いるとか、流石にダセェ、あいつらが見たら、どんな反応すっかな、ざまあみろって感じか、そんなことを考えていると、お腹がなった
「腹、減ったな…」
そういや今日、なんも食ってねえんだっけか、朝ごはんだけでも食っとけば良かったな、あの愛が籠ったご飯も、もう食べることは今後一切ねえんだろうし、でもまあ、食ったら食ったで行きたくなくなっちまうから、そんなこと出来ねえけどな、とは言いつつも、流石に腹減ったな、飲み物でも買って、腹満たすか、
立ち上がり、自販機でコーンポタージュを買った、春とはいえ、流石に夜は冷える、それに、コーンで少しは腹も膨れるだろうしな
「いやあ、うめえな、たかがコンポタなのに、今はめちゃくちゃ美味く感じる、食べ物とか、飲み物とか、当たり前に出てきてたことに感謝しなきゃな、まあもう、当たり前にでてくることはねえけど」
公園の時計を見ると、もう既に高校生が歩いていたら補導されるような時間帯になっていた、流石に通報されたらまずいので公園の木元に隠れて、一夜を明かすことにした。
翌日、確か日曜日のはずだ、俺が退学になったの土曜日だしな、というか、いつか曜日感覚無くなりそうだな、もうスマホの充電ねえし、これじゃ年越してもわかんねえんじゃねえか?、にしても、ちょっと、頭クラクラすんな、ま、慣れないところで一日過ごしたんだ、恐らく風邪だろう、でも、治す方法なんてねえし、スポドリでも飲むか、
そう思った時だった、前から、見覚えのある人影が見えた
「よお、一樹、元気では、なさそう、だな」
「湊、か」
はい?、なんでこいつがここにいるんだよ、ここは俺の家も近くねえし、こいつの家も近くねえ、というかなんで俺の位置がわかるんだよ、ストーカーか?、ストーカーなのか?
「…何のようだ?、用がないならとっとと」
「用があるからここにいる、話をしよう、一樹」
「悪いが、俺はお前と話し合うことなんてねぇよ」
「俺はある、お前と話すことが、話さなきゃ行けねえことが」
こいつ、何で急に、こいつだって俺を憎んでる筈だ
「俺の机に、手紙が入ってた、お前の字でな」
は?、そんなもの、入れた記憶がない、書いたけど、こんなの見せても意味ねえと思って、ゴミ箱に捨てた筈だ、もしかして、誰かが入れたのか?
「ふん、いつ見たんだよ、そんな手紙」
「お前が退学になる前日」
おかしい、絶対におかしい、俺はそんなこと書いた記憶ない、退学前なら尚更だ、俺が手紙を書いたのは、俺が退学になった後に家で書いたもので、もし知っているとしても学校に行く月曜日の筈だ、誰かが、手を回してるのか?、でももしそうなら、何のメリットがあってこんなことをしている?、そもそも何で俺がやったことを知っている?、誰かが俺の行動を見ていたのか?、でもそんな人物…いや、一人だけ、いる、俺の字を、何度も見てきて、俺の事情を知ってそうな奴が、一人だけ
「やってくれたな、ゲーマー」
心の中で呟いた。
恐らく、間違いないと思う、あいつなら、俺の書き方と似せるなんて、造作もないはずだ、あ、待てよ、あいつならワンチャン泊めてくれるんじゃねえか?、俺の事情も知ってて、あいつも引きこもりだから他人に情報を漏らすことはほとんどないだろう、いや、今はそんなこと考えている暇はないな、今はこの状況をどう乗り切るかを考えねえと、
「そうか、残念ながら、その手紙の内容は、全部嘘だ、そんなこと、微塵も思っていない」
「思ってねえなら書かねえだろ?、一樹」
「くっ…」
くそ、内容がわからねえから変にいうと逆にこっちが不利になるな、こうなったらここは…
「邪魔だ、晴がどうなってもいいのか?、あいつをもっと傷つけることだって出来る」
「お前!、それだけは、やめろ…」
「なら、とっとと失せろ、そして、俺のことを追ってくるな二度と」
「…」
「沈黙は承諾とみなすぞ」
そう言い残し、互いにその場を後にしたかったところだった、湊が去った後、俺もゲーマーの家に行こうとした、しかし、体に力が入らず、地面に手をついた
「く、立てねえ、頭、痛ぇ、熱のせいか…」
無理に意地張って我慢してたせいで、余計痛みが悪化したような気がする、すると、泣きじゃくりながら走ってくる人影が見えた、そこで、俺の意識は途切れた。
「ここは…」
目を覚ますと、見慣れた病院の天井が視界に映った、それと…
「お、お兄ちゃん、ごめんね?、信用してあげられなくて、私、妹失格だよね、お兄ちゃん、でも大丈夫、ご飯を食べる時も、起きる時も、死ぬ時も、息をする時もずうっと、側にいてあげるからね?、もう離さないよ?、お兄ちゃん…」
「妹さんと早乙女さんから聞いたよ?、一樹、やっぱり、一人で抱え込んでたんだね?、気付けなくてごめんね?、もうぜぇっっったいこの手、離さないから、安心して?、もう一人にはしないから…」
「ご、ごめんね?、僕が君を傷つけたから、君はこんなことになってしまったんだよね?、大丈夫、もう絶対離れないから、僕がずっとそばにいるから、だから、一人で死のうとしないでくれ…」
あれ、なんか、考え得うる限り最悪な展開になってないか?、これ、結衣は俺に跨って動けなくしてるし、両サイドは早乙女と晴ががっちり俺の手掴んで離そうとしねえし、しかも、全員ちょっと目が怖えぇ、いや、ちょっとどころじゃないほど怖えぇ、ん?でも待てよ、そもそも何で俺が今までやってきたこと知ってんだ?、ちょっと思い返してみる、か
ああ、なるほど、理解した、つまりこれは、全部俺のやったことが空回ったってことか、でも湊はいねえのか、まあそりゃ、あんなこと言ったら、会いたくも無くなるか、それより、この人達に少し離れてもらいたい、顔が近くて全然落ち着かない、
「あ、あの、ちょっと離れてくれたり、とか…」
『『『 無理 』』』
んー、どうしよっか、この状況、正直、美人三人に囲まれるのは、悪い気はしねえけど、でも、色々と不味い気がする、何というか、犯罪の匂いがする。
黒髪ロングの清楚系で素直な幼馴染の晴、逆プリンがよく似合うウルフカットのクール系の美人、早乙女、金髪ボブでこの中だと一番身長が低い可愛げのある妹の結衣、どれもスペックはめちゃくちゃ良い、自覚していない部分はあるかもしれないがこの三人の才能は凡人の才覚を凌駕している、それを昔から知っていたし、別に変だとも思わなかったけど、バカと天才は紙一重ってやつか?、こんな男の看病を三人でするのは、流石に、な?
「と、とりあえず、またがるのと、両手をがっちりホールドするのはやめような?、痛いから、うおぉ!?、余計強くするなって、俺は逃げねえから」
すると、俺の妹である結衣が今にも泣き出しそうな声で
「いやだぁ、こうしないとお兄ちゃん、またどっか行っちゃうもん…」
他の二人も頷きながら
「そうだよ?、一樹は前科があるんだから、大人しく私たちに掴まれてて」
人生で初めて聞く言葉だよ、何だよ捕まれててって、そもそも、こんなことしてたら熱移っちまうし、それに、
「その、看護師さんが見てるところでそういうことすんのはやめような?、いや、誰もいなかったらやっても良いわけじゃないけど」
三人がめちゃめちゃ不満そうに俺の体から離れた、そしてしばらく、看護師の話を聞くと、幸いただの風邪だったらしい、熱は高いが、症状はなかったとのこと、念のため一週間は入院するそうだ、そして結局、俺が意識を失っている間に、両親も来ていたらしい、まあ、そりゃそうだよな…
「俺は、どこでミスったんだろうな、いや、そもそも生まれてきたことがミスだったのか…」
そんな独り言を小さな声で呟いた、恐らく彼女には聞こえていないと思う、晴と結衣は今は居ない、早乙女もちょっと遠くで本を読んでいる、だから聞こえてないと信じてる、今の言葉を聞いたら、今度こそ彼女たちは俺から離れてくれないだろうしな、にしても、どうすっかな、退院しても、どこに行けば良いんだろうな
「一樹くん、お願いだ、そんなこと、もう二度と言わないでくれ…」
「ご、ごめん、もう言わないから、泣きそうな目になるのはやめてくれ、頼むって」
「だ、だってぇ、君がいなくなるなんて考えたくないんだ」
はい?、聞こえてたのか?、え?、いや、耳よすぎじゃないか?、結構俺から離れてるよな?、あれ?、というか、なんか早乙女って、聞いたことあるような、気が、まさか
「え、ちょ、ま、まさか、早乙女って、俺が昼休みの時に話してた、あの?」
「うん、そうだよ、隠しててごめんね、これが本当の僕なんだ」
あーなるほどなるほど、え?、変わりすぎじゃない?、そういうもの、なのか?、ていうか、だったら俺、会った時に、最悪なこと言ってないか?、ちょっと記憶を遡ってみよう
「なーにしてるの?一樹くん」
「誰だよ、お前、邪魔なんだけど、というか馴れ馴れしく話しかけてくんなよ」
「な、なんでそんなこと、初対面だからって、そこまで言わなくったっていいんじゃないかな?、友達になりたくて話しかけてみただけ…なんだけど」
「それが迷惑だって言ってんだよ、いいから、どっか行けよ」
「ぐっ!…」
「大丈夫かい!?、一樹くん!?」
「ああ、大丈夫だ、問題ない」
吐きそうになって、口元を押さえた、幸い吐くことはしなかったけど、そうか、俺、最低なこと、してたんだな、なのに、こうやって今俺のそばにいてくれて、めちゃくちゃ優しい子じゃないか、そんな子を、俺は、悲しませたんだな、マジ、クズじゃねえか…
妹と晴は、どうやら買い物をしているらしい、少しでも俺に食べて欲しいからと、近くのスーパーに行っている
「なぁ、さおとm、じゃねぇ、琴音、一つ、聞いてもいいか?」
彼女は少し驚きながらもすぐに返答をした
「どうしたんだい?、僕に言えることなら何だって言うよ」
「何で、俺のことを憎まないんだ?、もちろん、俺がしたことを知ってるってことは知ってる、でも、それでも、憎いと、思うはずだ、なのになんで」
「救ってくれたから」
救った?、俺が?
「僕はこう見えても、小中学校はいじめられて過ごしてきたんだ、だから、学校は嫌いだった、でもね、それを救ってくれたのが、君だったんだよ、君の言葉に、僕は救われた、救われたのに、僕はその恩を、仇で返した、だから、もう同じ過ちを繰り返したくないから、今僕は、こうやって君の側にいる、これだけじゃ、理由としては不十分かな?」
「…いや、十分だと、思う」
そう…か、俺の言葉で、琴音は、救われたのか。
「ありがとう、琴音、お前のおかげで、目が覚めた」
「いいよ、一樹くん、でも、一つ約束して欲しいことがある」
「何だ?」
「もう二度と、自分を傷つけるようなことはしないでくれ」
「あぁ、わかった、約束だ」
少しだけ、間を空けて、自分にも言い聞かせるように発言した
「これからは、俺を傷つけることもしないし、皆を傷つけることもしない、約束だ」
「それでこそ、僕の一樹くんだ。」
あれ、なんか一言、気のせいか。
最近見てくれている人が増えてきて、ランキングが徐々に上がっています、これは見てくれている皆様の協力あってのことです、これからも、マイペースに投稿できたら良いなと思っておりますので、引き続きこの作品を見ていただけると幸いです




