episode湊
俺の名前は、海堂湊、16歳、俺には好きな人がいる、それが、幼馴染の朝比奈晴だ、彼女とは、家族ぐるみの付き合いで、会話をしなくても相手のしたいことや欲しいものがわかる、そのくらいには仲が良い、そして、そのことを俺の親友である、柊一樹は知っていた、俺の小学校からの親友で何を考えてるのか全てお見通し、みたいなやつだった、でも、悪いやつじゃなかった、頭が良かったから、よく俺と晴に勉強を教えてくれていたし、時にはお泊まりもした、でも、自分の本心は、ほとんど喋ることがなかった、いつも他人のことばかりで、自分は二の次くらいに考える、でも、そんな性格がいいと思った、俺にはない性格で、俺にはないものを持っていて、一度は嫉妬もした、そんないい関係を築けていたはずなのに
「お前ってさ、だせえよな、湊にくっついて、ひっつき虫かよ?、湊も言ってたぞ、『くっつかれすぎてキモい』ってな!」
「ち、ちが、湊がそんなこと言うわけ」
「マジでだせえよな、ひっつき虫みたいにくっついてるお前も、お前みたいなやつの隣にいる湊もよ!」
そんな言葉が聞こえて来た、その前日から、一樹は変だった、俺の好きな人を教えてから、まるで人が変わったかのように思えた、噂によれば、この学園のマドンナ的な存在、早乙女琴音に強く当たって泣かせたらしい、でもこれはあくまでも噂で、信憑性に欠ける、確かにその日は早乙女琴音は泣いて教室に戻ってきた、でも、早乙女が嘘をついている可能性も捨てきれない、だから、自分の目で見るまではどうしても信用できなかった、そんなときに、俺の幼馴染である朝比奈晴が一樹に『放課後空き教室に来てくれ』と言っていることをたまたま聞いてしまった、でも、それでも、まだ信用していた、もしかしたら、本当にただの用事かもしれないと、そう思っていた矢先に
「でもまあ、強いて言うなら、体だけは褒めてやるよ」
「や、やめて…」
思わず、扉を開いた、そこから先は、自分でもよく覚えていない、いや、思い出したくもない、確か、一樹を力いっぱいに殴ったような気がする、そこから飛んできた一樹の言葉は、まるで、人格が変わったかのだった、でも、一つ、疑問に思っていることがある、何故一樹は、表情を隠している時に涙を流していたのだろう?、その時、彼は下を向いていて表情はわからなかった、でも、見間違いじゃなければ、一樹は、涙をこぼしていた、それだけが、心残りだ、昔から、大事なことは何も言わない、だから、正直なところ、俺は一樹を信じているところがある、数十年の信用は、そう簡単には無くならない
「でも、手を出したのは、事実で、」
「ん?、なんだ、この紙」
自分の机の中に手紙?、らしき物が入っていた、宛名は、無いが、この綺麗な書き方は多分一樹だろうな、一応、内容でも見ておくか
「…は?」
なんだよ、これ…
『親友でいてくれてありがとう、俺は、許されないことをした、でも、後悔はしてない、それには意味がある、それが、俺の選んだ道だ、だから、俺の事を憎むなら、憎め、その判断は、なにも悪いことじゃない、だから…幸せになれよ』
手紙の内容は、ここで途切れている
「…ふざけんなよ」
…あぁ、あいつはいつもそうだ、一人で抱え込んで、結局俺らにはなにも背負わせてくれない、今回だって、絶対に理由があった筈なのに、何故、信じれなかった、そりゃそうだ、たった1日で、変わるわけがない、一番辛いのは、アイツ…なのか?、でも、この手紙の内容だけじゃ分からない、だから、だから!
「もう一度だけ、あいつと話が、したい、下らない話しでも、なんでもいい、だから、もう一度だけ、会わせてくれ…」
俺は、最低なことをした、アイツを、殴った、なにか、理由があった筈なのに、なぜ理由も聞かずに俺は!
あぁ、もう、戻ってこねぇんだな
さぁ、皆さん、ここから…ですよね?




