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ロッカバイ 母子に捧ぐ

作者:文園そら
大学生の青年と母子、四週間の出来事。
『芸術家は、もともと弱い者の味方だったはずなんだ』太宰治

※本作は文学賞二次落選作品です。


↓以下、ネタバレありの概要↓
喪失とは何か。それを知り、青春は終わり大人になる。
本作は、主人公の中原治が、初めての喪失を知るまでの物語である。舞台は平成最後の夏、京都。治はいきつけのバーで、晶子という女性と出会い、酒を奢ってもらう。晶子は「バツイチシンママで酒カスのヘビースモーカー、へそにピアスあいてるろくでなし」と自己紹介するが、治は晶子から目が離せない。趣味の合うことが分かった二人は、何度も会う中で、ヘッセ、サガン、太宰治、芥川龍之介らの作品を引用した会話や、90年代の洋楽を楽しむ。二人が唯一合わなかったのは、治は晶子を異性として見ていたが、晶子はそうでなかったこと。中盤以降は晶子の娘である高校生、陽葵とも仲良くなる。晶子に対し、治は自身の気持ちに素直な言動を繰り返すが、体の関係や恋人関係には発展しないまま、夏は進む。終盤、晶子は倒れ、入院する。タバコや酒や、昼夜働いた疲労、休養のあまりの少なさから、既に複数持病があったことが、明らかになる。見舞いで二人きりになったとき、治は晶子から、過去の離婚について詳しい経緯を明かされる。「晶子の結婚は、妊娠が判明したあとだった。結婚していた当時から、元夫は家事も金を稼ぐこともしていなかったから、陽葵の世話も、仕事も晶子がしていた。ある日から、晶子は職場の少年に慕われるようになるが、健全な友人関係を続けた。だが、それに勘違いとヒステリーを起こした元夫は、少年を刺し殺し、そのあと同じ刃で自殺した。それから晶子は陽葵を連れて当時の家を離れ、京都に住んだ」ことを話されるのだった。その後、晶子は死に、葬式が行われた。治は、彼女と良く話した、太宰や芥川の短編集を棺に入れた。治は最後、二人でよく行ったバーに行き、その壁にスプレーで書かれてあった『芸術家は、もともと弱い者の味方だったはずなんだ』という太宰の言葉に、一言書き加えた。『今でもそうだ』。
本文1
2025/10/30 21:38
本文2
2025/10/31 21:31
本文3(完結)
2025/11/01 18:49
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