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第2次政権で転生させられ、支持率が戦闘力になりました  作者: りにー
第3章 雨宮内閣の支持率を証明するとき
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39 危険はすぐそこに

「な、なんでここに?」


 福本は、一息ついて説明し始めた。まるで、学校の先生が生徒に対して話すような雰囲気があった。

 雨宮は、思わず居住まいを正した。


「実は、総理があの妖精さんに連れて行かれた後、ゴブリンさんから支持率の伸び率が悪いからと言われ、総理の後ろから見守ってあげてほしいと言われました。

 それで、ピンチになったら後ろから援撃してあげてほしいと」


 言い終えた福本は、少しホッとしたような顔をした。


「そ、そうだったのか。それはありがとう」


 礼を言うと、福本はこれからは総理の側で戦うと言ってくれた。

 確かに、雨宮単体の戦闘力は皆無に等しいだろう。それに代わって、支持率とは無関係の閣僚なら己の度胸と魔法の才能があれば、いくらでも応戦できるだろう。


 総理としての素質はあるのかと、雨宮は自問したが、それは福本に遮られた。


「総理、一旦退きましょうか。また攻めてきたら私の隕石で吹き飛ばします」


 冷静かつ力強い表情で恐ろしいことを言ったのだ、雨宮は一瞬怖くなった。

 あんなに恐ろしい技をもう使いこなせているなんて。


 一度、地面に降り立つと、先ほどまでの緊張が下から流れ込んできた。ガクガクと膝は揺れ、腰も痛くなった。


「イタタ、浮いていた分、身体の負担はなくなるけど、降りたら一気に来るな」


「あ、確かに。私も少し腰が」


 宇宙飛行を試みた人のようなセリフを言う。自分で言っておきながら、少し笑ってしまう。


 すると、背後の森からガサゴソと言う音が聞こえてきた。

 福本が「キャッ!」と声を上げ、雨宮はその場に固まる。まさか、倒し損ねた敵がいたか。

 いや、吹き飛ばされたやつがこの辺に落ちて、反撃しにきたのだろうか。


 しかし、相手と頓狂な声を上げて驚いていた。


------


 その頃、原幹事長(現王室大臣)は、足元にたくさん転がっている小石を蹴りながら時間を潰していた。


「あぁー。こんなとこ敵なんて来ねぇだろぉ」


 小石を蹴ったり投げたり、子どものような遊びしかすることがない原は、早く日が落ちるのを今か今かと待っていた。


 その時、背後から大きな黒い影が現れた。


「うわぁ! なんだ⁉︎」


 原は思わず頭を守るように抱えた。それは、巨大な彗星か隕石なようなものだったが、運良く原がいる場所には落ちては来なかった。

 あっという間に過ぎ去った恐怖は、原の寿命をかなり縮めたかもしれない。


 結構な動悸を感じながら、原は物体の行方を目で追った。途中、大きな山脈を越え、それは見えなくなった。


「なんだよあれ……」


 今の今まで平和で暇だった原は、すぐに恐怖心と緊張感を引き出した。今までどこに放り出していたのか、今まで以上に気を引き締めた。頭も痛くなってきたように感じる。


「なっ! あ、あれは!」


 一旦落ち着いたかと思い、その辺に腰掛けようとすると、恐怖は次々とやってくるのである。人生とはそういうもので、苦あれば楽ありとよく言ったものだ。


 しかし、次の恐怖は原の寿命をさらに縮めるものだった。

 それは、十二の大きなドラゴンに乗ったバケモノがこちらに向かってくるではないか。先ほどの飛来物を調査しにきたのだろうか。

 真相はわからないが、原の元に向かってきているのは明らかだった。


「いやいやいや、マジかよ!」


 原はどうしようかと辺りを見回す。しかし、小さな小石が転がっているだけで、何の戦略にもならないのは確実だ。


 その時、先頭のドラゴンが火を吹いた。それは、原を目掛けて発射している。

 いきなり高温の炎を感じ、原は寿命が縮むという感覚より、死ぬのではないかと思うほどだ。


 残りのドラゴンの隊列は口を大きく開き、何なら青い光を放っている。

 おそらく、何かの弾を放ってくるに違いない。

 そしてその危険な予測は、杞憂では終わらなかった。

 全体が同時にそれを放つと、すさまじい光が放たれ、原を目掛けて飛んでくる。


 絶体絶命のピンチ。

 その瞬間、原は自らのスキルを思い出した。


「そ、そうだ!」


------


 勘解由小路は、先ほどの揺れを地震のように感じていた。

 しかし、揺れた時、陽の光が時々遮られた。気になって見上げると、頭上には無数の鳥のようなものが飛んでいくのが見えた。


「なんだ、やっぱり地震か」


 勘解由小路は、地震前後に動物たちがおかしな行動をするというのを、予算委員会や国会の休憩時間に暇つぶしに見ていたインスタグラムのリール動画で観たことがあった。


「この世界でも地震とかあるのかよ……。なんだ今の?」


 勘解由小路が視線を水平に戻そうとした時、一瞬巨大な何かが、鳥たちと同様に飛んでいくのが見えた。

 一瞬しか見えなかったから、何かはわからない。また飛んで来ないだろうか。


 何かを確認したくなれば、しなければ気が済まない性分の勘解由小路は、再び巨大な物体が飛んでくるのを期待して見上げていた。


 すると、しばらく経って再び巨大な物体が頭上をものすごい速度で飛んでいった。

 しかし、今回はその姿を捉えることができた。それは、明らかにヒトのようなものが乗っており、漫画やアニメに出てくるような、いかにも悪そうな集団が使うドラゴンに瓜二つだった。


「ま、まさか。も、もう来たのか……。あ!」


 勘解由小路は、そのまさかを推測すると、ある考えが浮かんだ。

 もう誰かが戦っているのではないか?


 勘解由小路は、確認したくなり、ゆっくりと足音を立てないように、バケモノが飛んできた方向に歩を進めた。

 しかし、思ったよりも足元の草木はカサカサと音を立てる。


 しっかりとかかとから足を下ろし、ゆっくりとつま先を下ろす。通常よりも時間はかかるが、音は出にくくなった。


 だんだんと木の数が減ってきた。前方五十メートルほど先は、もう平地のような場所が見えている。


「もうすぐだ……」


 ゆっくりと進んで行く。

 しかし、ここで勘解由小路はある考えが浮かんだ。

 もし、この森を抜けたら、目の前には夥しい数の敵がいたりはしないだろうか。

 その考えが勘解由小路の足を固めた。


「いや、森から出なければいい……」


 ゆっくり前に進む。まもなく抜ける。


「どれどれ?」


 ゆっくりと草木を掻き分けようと、手に集中したその瞬間、足元の緊張が抜けてしまい、ガサッという大きな音が響いた。

 それは、驚くほど場違いな音量で、勘解由小路の心臓を痛めつけた。


「ぐっ……!」


 勘解由小路は、緊張と心臓の痛みに堪えながら、その場にしゃがんだ。


 すると、あちら側からも悲鳴のような声が上がった。まさか、こんな深い森に何かいるなんて思わなかったのだろう。

 いや、動物ならいそうではあるが。


 頓狂な声を上げた主は、高い音だった気がする。もしやと思い、意を決して一か八か、勘解由小路は森を抜けることを選択する。

 そしてそれは、功を奏した。


「キャッ!」


「え?」


 驚きの声を上げたのは、まさかの福本官房長官だった。

 それに、隣には雨宮総理もいた。ただ、総理の顔は死にかけていたが。


「え⁉︎ な、なにしてるんですか、こんなとこで!」


 勘解由小路は、矢継ぎ早に質問を浴びさせかけた。


「総理が襲われそうになっていたので、助けていたんです。かでさんは何を?」


 勘解由小路は、官房長官から「かでさん」と呼ばれている。


「いや、地震かと思ったら、訳のわからんやつが空を飛んで行ったしで、テンパったんだよ」


「そうだったんですね。その自信は、私の隕石で……。吹っ飛んで行ったのも敵の軍勢です……」


「なっ。そうだったのか。総理大丈夫ですか?」


 隣に立つ雨宮は、何も言葉を発しなかった。ただ頷くだけで、二人の話を聞いていた。


「これからどうすんだ?」


「取り敢えず、三人で行動しよう。一人ずつじゃ心配だ」


 勘解由小路の問いかけに、雨宮が答えた。その自らの答えに、雨宮は少し面目なさそうにしていた。

 福本と勘解由小路、雨宮の三人は近くにあった大きな丸太の上に腰掛けた。キノコのような植物が生えていたが、雨宮と勘解由小路は気にせずに靴で払って座った。

 福本は、少し離れたところに生えていた大きな木の葉をちぎってそれを敷物代わりにして座った。

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