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第2次政権で転生させられ、支持率が戦闘力になりました  作者: りにー
第2章 第2次雨宮内閣は異世界で
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19 妖精から告げられる事実は無茶苦茶

 雨宮は知らない間に、眠りについていたようだ。しかし、お腹が痛い。

 目を覚ますと、森川がだらしない姿で雨宮の腹を枕にして眠っている。


「もう、俺を枕にするな」


 雨宮は、森川を左手で弾いてからゆっくりと起き上がった。硬い床に頭が落ち、鈍い音が鳴った。まだ眠っている大臣がほとんどで、堂前と高尾、福本の三人はすでに起きていて、身支度まで整えていた。


「総理、おはようございます。眠れました?」


 堂前が、何かを切りながら訊いてきた。なにやら、食事を用意しているようだった。この世界の料理というのは、昨日、妖精からもらったお粥のようなものしか食べていない。そう考えると、お腹がグーッと鳴った。


「いや、眠れなかった……そういえば、坂本はどしてるんだろう」


「確かに、片岡や原さんも何してるんだろ。急に内閣が消えたんだから、相当焦ってるだろうな」


 いつの間に起きたのか、森川が会話に入ってきた。言われてみれば、現政権がいきなりどこかへ行ってしまったなんて、国民は信じてくれるのだろうか。政権与党は、支持率を急落させているに違いない。

 真面目な秘書の坂本も、今は焦りに焦って走り回っているかもしれない。

 幹事長の原も、訳も分からず説明責任に追われていることだろう。

 そう考えると、雨宮は申し訳なくなった。しかし、雨宮もいきなり飛ばされたのだからどうしようもない。それに、元の世界に戻れたら、前のようにいくとは限らない。

 いや、もう議員資格は剥奪されているかもしれない。


「あー、どうなっちまうんだ俺ら」


 森川があくびをしながら言う。呑気なやつだ。


「そうですね。もう、野党が政権握ってたりして」


 高尾がケラケラと笑ったが、堂前に睨まれて、すぐに静まった。

 先ほどの高尾の高い笑い声に目覚めたのか、林農林水産大臣と杉林環境大臣が目を覚ました。


「おお、おはよう。どう、眠れたか?」


 森川が二人に問うと、林はよく眠れたと言い、杉林は枕にしていた川畑の足が臭くてあまり眠れなかったと言った。

 噂をされ、何かに勘付いたのか、川畑法務大臣も目を覚ました。


「いま、俺の話してなかったかぁ?」


「いや、してない。むしろ、もっと真剣な話をしてた」と、森川は咄嗟に嘘を言った。それが功を奏し、喧嘩にはならなかった。

 川畑は足が臭いので有名だが、それを指摘するとネチネチ怒ってくるのだから厄介だ。


「そんなことより、あの胡散臭い妖精はどこ行った?」


 森川が急に思い出したように言った。


「そうだ、あいつどこ行ったんだよ」と、川畑。


「私たちが目覚めた時もいませんでした」


 高尾と堂前は、日が昇る頃と同時に目覚めたらしい。その時にもあの妖精はいなかったようだ。


「なんだよアイツー。本当にアイツ役立たずだな」


 数人の大臣がボソボソと文句を言い始めた頃。噂をすればか、妖精は姿を現した。


「いやいや。失礼してました。さっきまで、国王の元で宴会やってたもんで」


「「「は⁉︎」」」


 起きていた一同は、大声で驚きの声をあげる。その声で、ビクッと目を覚ましたのが、大財財務大臣と車田国土交通大臣だ。

 触れていなかったが、車田と国破防衛大臣のイビキはずっと響いていた。そのうちの一つが消えたことでも、ストレスの根源は二分の一になった。


「おいおい、宴会ってなんだよ! 俺たちこんな豚箱みたいなとこで一晩過ごしたんだぞ!」


「そうだ」


 まるで、国会のような響きを持つ「そうだ」が、部屋中に響く。


 雨宮は、取り敢えず妖精の話を聞こうと、一同を鎮める。森川と川畑、車田はまだ眠っている勘解由小路総務大臣、大場厚生労働大臣を起こし、妖精の話を聞く準備を整えた。


「おい、説明してもらおうか」


 森川が、妖精を中心に座らせ、昨日の夜からの出来事を一から言わせることにした。


「すいません。みなさん。昨日、国王にアメミヤというおっさんらがやってきたことを伝えると、是非とも政権交代をしたいと仰っていました」


「政権交代?」


「ええ。つまり、アメミヤを筆頭に、次期政権を任せたいとのことです」


「いやいや、それじゃ俺たちがヒーライって魔王と闘わないといけなくなるじゃねぇか!」


「はい。今の内閣は、高齢でスキルも非常に弱いのです。だから、バランスの良かったアメミヤたちを利用しようということになったのです」


「なんだそれ。俺たちのバランス?」


「はい。女が三人。ガタイのいいのが二人。おっさんが四人。中途半端が一人。若いのが三人。これほど、バランスの取れたチームはないでしょう!」


 女というのは、高尾外務大臣、堂前文部科学大臣、そして福本官房長官である。

 ガタイのいいというのは、言うまでもなく車田国交大臣と国破防衛大臣であろう。

 一方の、おっさん呼ばわりされた四名は、雨宮内閣総理大臣、大財財務大臣、川畑法務大臣、森川経済産業大臣のことらしい。中途半端が、勘解由小路総務大臣、残りの若いの三人というのが、大場厚生労働大臣、林農林水産大臣、杉林環境大臣のことらしい。


 おっさんと呼ばれた大財は、少し嫌そうな顔をしていた。大財はまだ自分は若いと思っている節がある。

 若いと言われた三人は、満更でもなさそうにニヤニヤしていた。


「あのな、俺たちはチームじゃない。内閣だ」


「へいへい。内閣ですね。そちらの内閣は、そのままこの国の内閣になるということで、合意しました。アメミヤには、来週に特例で新内閣を運営してもらいます」


「いやいや、いきなりすぎるだろ」


「はい。でも時間がないんです。ヒーライ魔王は、各国に高い関税をかけて、それが払えなかったら属国になれって、無茶を言ってるんです。我々はそれが嫌なので、魔王を倒そうとしているんです」


「それはわかったけど、そんなすぐに政権交代なんでできるのか?」


「はい。国王の勅令ですぐできます。すぐに現内閣に総辞職していただき、新たにアメミヤ内閣が発足するのです!」

 

「なんだよそれ。なんか適当だな」


 ところどころ、ブツブツと文句を言う大臣もいる。

 確かに、この妖精の言うことは無茶苦茶な気がする。


「あ! そういえば、あの時の写真撮影。こっち向いてくださいって言ってたカメラマン。お前に似てないか?」


「「「え?」」」


 国破防衛大臣が思い出したように指摘し、一同は目の前にある妖精に目を向ける。すると、その妖精は、いやー、バレてしまいましたかーと呑気にケラケラ笑っている。


 森川は、拳をきつく握り、今にも妖精にグーパンチを与えそうだ。

 林がまあまあと、森川を宥めている。


「そうなんです。私が、あっちに行って皆さんを連れてきました」


 雨宮は、あの時のことを思い出す。そういえば、あのカメラマンだけ異様に背が小さかった気がする。カメラも上を見上げる形でセットされていた。

 あの時のカメラマンは、今目の前ヘラヘラしているこの妖精だったのだ!

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