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第2次政権で転生させられ、支持率が戦闘力になりました  作者: りにー
第2章 第2次雨宮内閣は異世界で
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17 胡散臭い妖精の要請

 雨宮総理と彼の新たな閣僚たちは、記念撮影のために官邸の赤い絨毯をゆっくりと歩んでいた。国破防衛大臣が左側に、福本方代官房長官が右側に構える形で、雨宮総理が中央を歩む。背後には錚々たる閣僚たちが続き、彼らの表情はこれからの政権運営への決意と希望に満ちていた。


 雨宮総理は緊張しているが、それを表に出さず、落ち着いた表情でカメラに向かって微笑んだ。彼の心中は複雑で、大勝した選挙の喜びと、これからの重責のプレッシャーが交錯していた。カメラマンたちは、その歴史的な瞬間を捉えるべく、フラッシュを焚きながら次々とシャッターを切っていった。


「ちょっとこちらを向いてください、総理。そうです、そのままです」とカメラマンが指示を出す。雨宮総理と閣僚たちは指示に従い、何度もポーズを変えながら撮影に応じた。このシーンは、後に多くの新聞やニュースで取り上げられることになる。


 撮影が一段落すると、突如としてカメラのフラッシュが異常に明るく光り、雨宮総理と閣僚たちは驚いた。一際大きな閃光が内閣を包み、激しい轟音と共に重力が増している感覚だ。


 そう、そのフラッシュはただの光ではなく、彼らを異世界に転送する魔法の門だったのだ。一瞬のうちに、彼らの視界は白く閃いて、意識が遠のいた。

 その時、最近は感じていなかったこめかみに強い痛みを感じた。

 

 どれくらいの時間が経ったかはわからない。遠く長い空間をと時間を彷徨っていた気がする。不思議と気分は悪くない。あの閃光を浴びたのにも関わらず。


 目が覚めると、雨宮らは見知らぬ土地に立っていた。空は紫がかっており、異形の生物が空を飛び、周囲には幻想的な建物が立ち並ぶ。彼らがいたのは魔法が支配する全く新しい異世界だった。彼らの服装も、なぜかその世界に合ったファンタジーな装束に変わっていた。


「これは……一体どういうことですか!!」と国破防衛大臣が戸惑いの声を上げる。


「それは私が聞きたいですよ!」と福本官房長官が静かに分析する。


 突然、彼らの前に現れたのは、この異世界の案内人と自称する小柄な妖精。身体は非常に小さく、雨宮の顔の大きさくらいしかない。縦はテッシュの箱ほど、横は一般的な男性の手のひらサイズだ。


「皆さん、異世界へようこそ! ここでは皆さんが英雄として召喚されました。魔王を倒し、この世界を救うのです!」と妖精は明るく説明した。


「「「は!?」」」


「いやいや、こいつ可愛くないなー」


 森川経済産業大臣がボソッと言う。それを聞いた周りの数名がクスクスと笑う。妖精は、「可愛くない」という単語を知らないのか、はたまた意味を知らないのかは分からないが、それを聞いてケラケラ笑っていた。馬鹿にされているとも知らずに。


 兎にも角にも、雨宮内閣は混乱しつつも、この状況を受け入れ、何とかこの世界の問題を解決して元の世界に戻る方法を探そうと考えた。

 長い人生を歩んできた閣僚たちは、子どものように言い争いや責任転嫁などはせず、真剣に現状を考えていた。しかし、どう考えてもそれはあり得ないことだった。

 雨宮は、混乱する一同に、即座にリーダーシップを発揮し、「皆さん、落ち着きましょう。まずはこの世界で何をすべきか、明確にしましょう。そして、一日も早く日本に戻るために、この魔王を倒す必要があるということらしい」


 妖精は、おお、コイツは話がわかるやつだと言わんばかりに頷き、「そうです! このおっさんの言う通りです!」と、意気揚々に話し始める。


 雨宮は、自分のことをおっさん呼ばわりされたことはサラッと流せたが、指をさされたことにはイラっとした。


(しかし、まさか、俺がいつも妄想していた異世界に飛ばされた?)


 雨宮はありえない妄想を始める。最近、選挙戦で忙しかったため、妄想なんてしていなかったのに……


「まさか、総理。あんなの間に受けてないよな?」


 森川が鋭い目で問う。確かに、雨宮はあんなのを間に受けてはいない。しかし、周りを見れば明らかに現実世界ではない。

 もしや、本当なのではと思ったのだ。


「ちょっと、時間をくれ!」


 雨宮がそう言うと、妖精はやれやれと首をすくめ、仕方なく十分をくれた。

 すぐに内閣閣僚一同は、閣議のようにそれぞれ向かい合い、これからどうするかを真剣に検討し合った。


 森川は「あんなのデタラメだ」と言い、川畑は「いや、これはリアルかもしらん」と言う。

 高尾は魂が抜けたような顔をして、車田は魔法が使えるのではないかと、子どものように楽しそうにしている。やはり、人間というものは十人十色なのだと、雨宮は思った。


 しかし、気になることもあった。それは、今まであまり感じていなかった頭痛をみんなが感じていたことだった。

 そして、少し妖精に訊いてみると、それはやはりこの世界に来させるための前段階であるということがわかった。

 さらには、最近は衆議院の選挙や第二次内閣発足などで、忙しくて読めていなかった、雨宮のお気に入りの小説「異世界で俺だけ関税同盟を制覇する話」は、この妖精が用意したものだったらしい。

 どうやら、それを読んでいるうちに、雨宮はこの世界に行くための素質を高めていったと、妖精は説明した。


 それから、十分に渡る閣議の末、内閣の方針として、この世界で魔王とやらをぶちのめすと言う結論に至った。どうせ大したことない連中だろうという舐めたような意見が多かった。


 中には、まだこの状況を飲み込めていない大臣もいたが、雨宮は早く現実の世界に戻りたいがために、胡散臭い妖精の要請を聞くことにした。


「ありがとうございます! それではみなさんには、それぞれのスキルがあると思いますので、日常生活を送ってそれを知ってください!」


「「「は⁉︎」」」


「今教えてくれないのかよ!」と、林農林水産大臣。


「そうよ! 分からないのにどうすればいいのよ!」と、堂前文部科学大臣。


 再び、胡散臭い妖精は、大臣の質問攻めに遭い、苦慮していたが、何を思ったのか、チッチッチと指を振り、それはまたのお楽しみと内閣を苛立たせた。


 それから、仕方なく納得したような面持ちをして、内閣一同はこの国の首都と思われる大きな城のある街まで歩かされた。


 それにしても、異世界での生活は困難であった。

 しばらく、この世界に馴染まないといけないという理由で、妖精は狭い部屋に閣僚を放り込んだ。十三人の雨宮内閣には、かなり窮屈に感じられた。

 特に、車田国交大臣と国破防衛大臣は、身長が百九十を超えるため、肩身の狭い思いをした。


 そして、妖精から「まほう」と雑に書かれた数枚の紙束をそれぞれに渡された。

 そこには、「ぶったい浮遊」と「ぶったい消去」と書かれていた。

 そう、まずは基本的な魔法を覚えなければならなかった。基本的と言っても、それはそれは大変なもので、物体を浮遊させる呪文は、「寿限無」の半分くらいの長さだし、物を消す呪文なんてピカソの本名くらい長かった。

 それに、この妖精が書いたと思われる雑な紙は、読みにくくいろんな角度から読んでようやく理解できるほど字が汚かった。


 ただ、灯りを消す魔法とか、近くの虫を殺す魔法といった、些細であまり役に立たなそうな呪文はすぐに覚えられた。

 物体浮遊に興味があったという車田国交大臣は、長ったらしい呪文を覚えるのが億劫になったのか、魔法の杖をプラプラ揺らして遊んでいた。


 森川は、もっと面白い魔法がないかと妖精が眠っている間に、棚に積まれていた書物を読もうと思ったが、記されている文字が、なにやら古代文字のようにぐにゃぐにゃしていて読めなかった。

 仕方なく、一同は妖精に覚えろと言われた物体浮遊と物体消去術を覚えることに専念した。


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