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11 選挙戦スタート!?

 衆議院解散を表明してから早くも一日が経過し、選挙戦が事実上始まった。各政党は、有権者の支持を集めるために懸命にアピールを強化している。この重要な時期に、雨宮が率いる与党も選挙対策に本腰を入れる必要があった。


 彼は選挙対策委員長の前田清孝と密に連携を取り、効果的な戦略を練るための打ち合わせを行った。戦略会議では、対象地域の選定、キーメッセージの精緻化、そして対抗党の動向を分析することが中心テーマとなり、選挙戦の準備が着々と進められた。


「これで、よろしいですか? 総理」


「ええ。それで行きましょう」


 前田清孝との打ち合わせを終えた雨宮総理は、選挙戦に向けた心の準備を固めつつ、記者団が集まる討論会場へと足を進めた。


 会場にはすでに野党の平井が到着しており、自信に満ち溢れた様子で腕を組み、堂々と踏ん反り返っていた。その姿は、メディアのカメラに向けてアピールを行っているかのようだった。


 雨宮は、その光景を目の当たりにしながら、これから始まる討論の重要性を改めて認識し、自らも戦闘態勢を整えた。


(よく、そんな態度でいられるな)


 雨宮総理は、平井の誇張された態度に苦笑いを浮かべた。カメラが回っていない間にも関わらず、その振る舞いはやや見栄を張っているように映った。


 実際、国立主民党は平井が代表となってから支持率が低迷しており、その姿勢が有権者にどう映っているのかを雨宮は推測した。


 彼は心の中で考えた。「これで、今回の衆議院選挙は案外好調かもしれない」と。


 このままでは、彼の党が有利に選挙戦を進められる可能性が高いと感じた。


 開始までは、控え室で他の人間と会話する。


「雨宮、頑張れよ。まあ、予算委員会乗り切ったからいけるとは思うが、今回は閣僚はいない。お前一人で戦うんだぞ」


 片岡に肩を叩かれ、そしてその言われた内容で、雨宮はハッとした。そうだ、今日は俺一人じゃないか!


 雨宮は、訊かれるであろう質問をまとめた書類をまとめた。坂本にも手伝ってもらう。


「総理、ちゃんとまとめといてくださいよ」


「すまん、今日俺一人なの忘れてた」


「えー? 総理、しっかりしてくださいよ」


「すまんすまん」


 雨宮は、汗を拭い、必死にまとめた。


 まもなく党首討論が始まるということで、雨宮総理の緊張は一層高まっていた。国会中継とは異なり、この討論はテレビやインターネットを通じてより広範な視聴者に届けられる。彼は自らの心に言い聞かせるように考えた。


 「この重要な場で失敗すれば、ただ笑い物にされるだけでなく、票が野党に流れる可能性もある。それだけは何としても避けなければ」と。


 全国の視聴者に向けて我が党の政策をしっかりとアピールし、信頼を勝ち取ることが、この討論の最大の目的だった。


 党首討論が定刻に始まると、会場は緊張で静まり返った。記者団の後方では、原幹事長や片岡衆議院議長、前田選挙管理委員長、森川経済産業大臣がこっそりと様子を伺っているのが雨宮総理の目に留まった。


(ちょ、なんで見てんだよ……)


 彼は内心で驚きつつも、彼らの存在がプレッシャーとなり、初めての回答では声が裏返ってしまうほどの緊張を感じてしまった。


(ちょっと、集中しないと……あいつら……)と自分に言い聞かせ、雨宮総理はすぐに心を落ち着けることに努めた。


 次第に自身の立場と任務を再確認し、深呼吸を一つ。質問には確かな知識と政策の理解をもって答え、徐々に流暢さを取り戻していった。


 討論は、激しい攻防が続いたが、雨宮総理はしっかりとした姿勢で反論し、自党の政策を力強く主張した。対立候補たちからは鋭い批判が飛び交ったが、それに対しても落ち着いて、時には鋭い洞察で応じることができた。


 討論が進むにつれて、彼の自信とリーダーシップが際立ち、党首としての存在感を示すことができた。


 討論の最後には、自身の政策に対する熱いビジョンを述べ、有権者に訴えかける力強いメッセージを発信。党首討論を乗り切った雨宮は、多くの疲労とともに、一定の達成感と自信を持ってステージを後にした。


「ちょっと怪しかったが、なんとか乗り切ったな。よくやった」


 原に励まされ、雨宮はなんとか一息ついた。

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