08 どうする、雨宮!?
衆議院解散という重大な決断が、雨宮総理の心を揺さぶっていた。彼自身、この決断が急ぎ過ぎではないかとの疑念を抱いており、この緊急の選択が果たして賢明なのか、自問自答を繰り返していた。
解散に踏み切るべきかどうか、より広範な意見を求めて、彼は閣内の各大臣に意見を求めることにした。一人一人の閣僚に意見を聞き、彼らの見解とその理由を慎重に評価することで、最終的な判断材料を集めていった。このプロセスは、雨宮にとって政治的な勘と経験の試練となり、彼のリーダーシップにとっても重要な瞬間であった。
「衆議院解散ってどう思う?」
「別にいいんじゃないか? 圧勝だろう」
夜食を共にしながら、雨宮総理は森川経済産業大臣に衆議院解散の是非をさりげなく問いかけた。森川大臣は解散に賛成の立場を示し、多くの議員も勝算があると考えていると語った。しかし、雨宮にとって、もし解散が大敗に終わればその責任は全て自分に降りかかる。与党の大敗は考えにくいものの、その可能性を考えるだけで、彼の胸は不安で重くなった。
雨宮総理は、夜が更けるにつれ、自らの政治的な決断に対する各閣僚の意見を慎重に聞いて回った。
まず大財財務大臣に衆議院解散の賛否を訊ねたところ、彼もまた解散に肯定的な見解を示した。この一連の動きは、雨宮にとってさらなる確信をもたらすものだったが、同時に負担も大きかった。
その後、信頼を置いている同期の川畑法務大臣と高尾外務大臣にも意見を求めた。彼らは雨宮の長年の戦友であり、その答えもやはり解散に賛成で一致していた。彼らからの支持を得たことで、雨宮の決意はさらに固まり、衆議院解散への道が現実のものとなっていった。
しかし、この重大な動きについての情報は、どうやらすでにマスコミの耳に入っていたようで、テレビやインターネット上では、解散論が活発に討論されており、一部では「まもなく解散か」との憶測が飛び交っていた。
雨宮はこれを知り、「え、もう漏れてんの?」と驚愕しつつも、自分がまだ具体的な解散日を決めていない事実に安堵しつつ、マスコミの推測が先行している状況を見て、彼は解散の必要性をさらに強く感じるようになった。
解散が現実味を帯びる中、雨宮の心中は複雑であった。確かに、解散を推進する理由は多く、政治的な勝算もあると評価されていた。
しかし、もし選挙で大敗すれば、その責任はすべて自分に帰結する。政治家としてのキャリア、さらには政党の未来にも大きな影響を及ぼすだろう。
この日、雨宮総理はひとり官邸で深夜まで悩み続けた。解散を進めるべきか、それとももう少し様子を見るべきか。外の闇夜に映える都市の灯りを眺めながら、彼は国家の舵取りという重責の重さを痛感していた。
身体的な疲労とは別に、心理的な圧迫感が彼を一層苦しめていた。それは、国家の未来を左右する決断を下すことの難しさと、それに伴う孤独から来るものだった。
そして、雨宮は再び左側のこめかみに鋭い頭痛を感じ、その不快感に顔をしかめた。
果たして、雨宮の判断やいかに。




